【経営で必要な重要指標】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事も行政書士の補助金業務についての記事を書いていきます。コロナ時期には様々な補助金があり各種士業が新たな業務として取り入れました。最近では、補助金申請を代行することに規制がかかり始めましたが、補助金申請コンサルは未だに可能です。
今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、経営をしているの知識が増えてもらえればと思います。
今回の記事は事業計画や事業期間の伸び率などを分析するために必要な重要指標についてご紹介したいと思います。重要指標を意識することによってより良い成果を出せるようになるはずです。

重要指標とは

事業期間の伸び率を分析するために必要な重要指標をご紹介します。会社全体の損益がどのように変化するのかを①売り上げ伸び率②営業利益伸び率③人件費伸び率④累積経常利益➄費用対効果⑥従業員一人あたりの付加価値額伸び率で分析することが重要となります。

売り上げ伸び率

売上高成長率(売上増加率)は、比較する期間で売上がどれだけ成長したかを示す指標です。例えば昨年からこの1年間で比較する場合の計算式は以下になります。

売上高成長率(%) = ((当期の売上額 – 前期の売上額) / 前期の売上額) × 100

得られるメリット

 融資と信用性

売上高成長率は企業の信用性を判断する一つの要因になり、融資や企業の信用調査に関わります。融資には公的融資と民間融資があり、公的融資は国や地方自治体などの公的な組織が行う融資のことです。民間の金融機関からの融資とは異なり、公共の利益や社会的な目的を追求するために行われるため、前年より売上が落ちているという条件の融資もあります。しかし、公的融資は種類が非常に多く、条件も複雑なため慎重に検討が必要です。
民間融資は営利目的売上で民間の金融機関が行う融資です。売上高成長率の高い企業は、借りられる金額、返済期間、金利の条件に関してより有利な条件で融資を受けることができます。

競争力の向上

成長率の高い企業は市場での競争力が高まります。売上成長に伴い、リソースを拡充し、競合他社との差別化を図ることが可能です。また、新しい市場への進出や新製品・サービスの開発により、競合他社に先駆けて市場をリードすることができる可能性があります。

営業利益伸び率

営業利益成長率とは、営業利益が複利を加味して平均的に 何%成長しているかを測定する指標です。

売上 – 売上原価 – 販売費及び一般管理費 = 営業利益

営業利益率が高ければ良いというわけではありません。業界や業種によって営業利益率の目安や適正値が異なります。

危険:0%以下

営業利益率が0%以下だと経営状況が赤字ですので、早急な事業改善が必要です。このまま0%以下ですと、事業を存続できなかったり、既存の赤字が膨らんだりするリスクが高まります。

標準:0~5%

営業利益率0〜5%未満は平均的な値です。経済産業省が2021年に行った企業活動基本調査によると、製造業やIT産業などの主要産業における、平均的な売上高営業利益率は3.2%です。

優良:5~10%

営業利益率が5〜10%以上の場合、経営状況の状態が良いと考えられます。主にITに関連した事業などが当てはまります。

超優良:10~15%

営業利益率が110〜15%未満の企業は、非常に素晴らしい経営状況と考えられるでしょう。営業利益率が10%を超えると、効率的に利益を得られるビジネスモデルを構築できたといえます。

要注意:15%以上

営業利益率が15%以上の企業は、業界でもトップクラスの利益率を出しています。しかし利益を追い求めるあまり、自社の従業員や取引先に大きな負担をかけている可能性もあります。

人件費伸び率

人件費とは、従業員に支払う給与や賞与、福利厚生費などの総額のこと。人件費は、企業の経営において最も重要なコストの一つですが、その適正値は業種や規模によって異なります。一方、人件費率は人件費を売上高で割った値で、人件費の効率性を測る指標です。人件費率が高いということは、売上に対して人件費が多くかかっているということで、利益率が低下する可能性があります。逆に、人件費率が低すぎるということは、従業員の能力やモチベーションが低く、サービスや品質が低下する可能性があります。

人件費率 (%) = 人件費 ÷ 売上 × 100

人件費に含まれる項目

人件費に含まれる主な項目は以下の通りです。

給与・各種手当:従業員に支払われる基本給や役職手当、通勤手当、残業手当などです。

賞与:定期的に給与とは別に支払われる臨時の給与です。ボーナスや一時金などが該当します。

役員報酬:取締役や監査役などの会社役員に支払われる報酬です。一般の従業員とは異なる立場であるため、別項目で計上されます。

退職金:役員や従業員が退職する際に支払われる賃金です。退職一時金と退職年金の2種類があります。

法定福利費:健康保険・厚生年金保険・介護保険といった社会保険料や、労災保険・雇用保険といった労働保険料のうち、会社負担分を指します。

福利厚生費:従業員の福利厚生のための費用です。健康診断や社員旅行、忘年会などが該当します。

累積経常利益

経常利益とは、企業が本業で得た利益に運用利益などの「本業以外から得た収益(営業外収益)」を加え、その費用(営業外費用)を差し引いたものです。経営利益には「本業以外から得た損益」も含まれますが、固定資産の売却や災害による損失など、臨時的に発生した損益は含まれません。そのため、経常利益は「企業が通常の経営活動でどれくらい儲けているか」がわかる指標だといえます。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

営業利益とは「企業が本業によって得た利益」を意味し、売上高から売上原価と販管費を差し引いた額を指します。営業外収益とは「本業以外での収益」であり、営業外費用とは「本業以外で発生する費用」のことです。

費用対効果

費用対効果とは、ある施策にかかる費用や時間によって得られる効果のことです。投入した資源に対して得られる成果や価値を考慮したうえで、もっとも効率的な選択をするための指標となります。多くの場合、金額で測定しますが、時間やリソースも考慮されることがあります。

単に「費用対効果」という場合、基本的には利益から費用を差し引いて金額を求めます。

費用対効果(円)= 利益(効果)- 費用

上記の計算式に用いる「効果」は、お金のほか時間や人数、工数なども含まれます。ただし、費用対効果の計算式は、どの指標を採用するかによって異なります。詳しくは後述する「費用対効果を測る主な指標・計算式」で解説します。

従業員一人あたりの付加価値額伸び率

付加価値とは、その文字のとおり新たに付加された価値です。企業が仕入をして、生産・販売し新たに生み出した価値のことです。付加価値を簡単に説明すると、「付加価値とは販売価格と原価の差額」ということになります。この付加価値をきちんとした数値にあらわす計算方法としては、①控除法と②積上法(加算法)の2つの方法があります。

付加価値の計算方法①「控除法」

控除法とは、総生産高から外部購入価額を控除することで、付加価値を計算する方法です。

付加価値 = 総生産高 - 外部購入価額

外部購入価額とは、直接・間接材料費+買入部品費+外注加工費+運賃などです。販売業であれば、商品仕入額なども該当します。

付加価値の計算方法②「積上法」

積上法は、加算法とも呼ばれるもので、付加価値が経営資源に分配される側面に注目する計算方法で、以下の計算式で計算します。

付加価値=人件費+金融費用+減価償却費+賃借料+租税公課+当期純利益

付加価値の中身を、会社の利益と人件費などの費用と考え、これらを積み上げていくことで、付加価値を計算していきます。
つまり積上法では、付加価値は税金を差し引かれたあと、ヒトには人件費、借りているカネには金融費用、所有しているものには減価償却費、借りているものには賃借料、そして所有している利益へと分配されており、これらを集計(積み上げる)すると考えます。

まとめ

今回は経営状況を確認するための指標をいくつかご紹介しました。この他にも指標はあると思いますので、それぞれの事業に合わせた指標をかかげ、分析してみてくださいね。

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