今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多くありますが、行政書士業務の花形業務と呼ばれている建築業許可についての記事を書いていきたいと思います。今回は基本の型となる一般建築+知事許可の要件について説明します。
許可を得るためには
建設業の許可を取得するには、許可要件(建設業許可取得のための条件)を満たすことが必要があります。監督官庁は、申請人が提出した許可申請書に基づいて 許可要件を満たしているか否かを確認しまっすので、確認できない場合、許可を取得す ることは当然できないことになります。
監督官庁は、「人材」「施設」「財産」の「3つの観点」から検討しています。今回は「人的要件」についてご紹介します。
「人材」要件
建設業を営むに必要かつ十分な経験者がいることが要件となっています。
①経営業務管理を適切に行う能力すなわち「経営管理能力」を有する者がい ること(建設業経営経験者の存在)
「建設業の経営経験を十分に有する者」、すなわち、建設業法は「建設業に関する経営面でのプロ」を許可要件として求めています。
「経営管理能力」とは、一定期間、建設業の財務管理・労務管理・業務運営のすべてを業務(経営経験)として行っていることを意味します。その経営経験につき、従来は1人で行うことが必要とされていましたが、組織(常勤役員とこれを直接補佐する者のチー ム)として行うことも認められています。
「経営業務管理責任者」がいる(個人として。従前のもの)、 もしくは、建設業に関する経営体制を備えているという経営体制であれば、ここでの要件を充たすことになります。
1. 建設業で5年以上の経営業務の管理責任者経験がある
2. 建設業で5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位がある者として、経営業務管理経験がある
3. 建設業で6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位がある者として、経営業務管理の補佐経験がある
4. 5年以上役員などの経験があり、建設業で2年以上役員などの経験がある
②営業所に専任の技術者(専任技術者)がいること(資格・実務経験等を有する技術者の配置)
「建設業の技術の資格・実務経験を有する者」、すなわち、建設業法は「建設 業に関する技術面でのプロ」を許可要件として求めています。 すべての営業所に、専任の技術者が居ることが要件となります。
具体的には次の①から③の要件のいずれかを満たすことが必要です
① 取得したい建設業の許可業種に見合った資格を有する者がいること
② 取得したい建設業の許可業種に関し、「10年以上」の技術上の経験を有 する者がいること
③ 取得したい建設業の許可業種に関し、「学歴(指定学科卒業と「一定期間の技術上の経験」を有する者がいるこ と(学歴によって、3年、5年と期間が短縮される)
もっとも②、③につき、電気工事・消防施設工事については、電気工事法, 消防法に基づいて無資格者の実務経験は原則として認められないことに注意が必要です。
特定建設業の場合
1. 国家資格者
2. 一般建設業の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者
3. 大臣特別認定者(指定建設業7業種に関して、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者/現在は実施されていない)
③法人の役員等、個人事業主,支配人,支店長・営業所長などが「欠格要 件」等に該当しないこと
欠格要件の具体例は下記の者を指します。
① 建設業許可の取消処分を受けて欠格期間が5年未満の者
② 営業停止を命じられ、その停止の期間を経過していない者
③ 禁固刑以上の刑の執行に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその 刑の執行を受けることがなくなった日から5年未満の者
④ 建設業法,建築基準法,暴力団対策法,傷害罪・暴行罪・脅迫罪等の刑 法などの法律に違反して、罰金刑以上の刑の執行に処せられ、その刑の執 行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年未 満の者
⑤ 暴力団員でないこと、または暴力団員でなくなった日から5年を経過し ていない者
④許可申請者(個人事業主・法人)の誠実性
許可申請者(個人事業主・法人)が、契約締結・履行の際、詐欺・脅迫等の違 去行為(不正な行為)または工事内容や工期等の請負契約に違反する等の不誠 実な行為をするおそれがないことが必要です。
まとめ
今回は建築業許可の基本となる、一般建築+知事許可の要件の人的要件についてご紹介しました。次回は施設要件と財産的要件についてご紹介します。
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