今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士の行う許認可業務は多岐にわたり存在し、取り扱う書類の数も1万種類あると言われています。許認可業務の数が多くありますが、行政書士業務の花形業務と呼ばれている建築業許可についての記事を書いていきたいと思います。今回は基本の型となる一般建築+知事許可の要件と手続きの流れについて説明します。
許可を得るためには
建設業の許可を取得するには、許可要件(建設業許可取得のための条件)を満たすことが必要があります。監督官庁は、申請人が提出した許可申請書に基づいて 許可要件を満たしているか否かを確認しまっすので、確認できない場合、許可を取得す ることは当然できないことになります。
監督官庁は、「人材」「施設」「財産」の「3つの観点」から検討しています。今回は「施設・財産要件」についてご紹介します。
「施設」要件
① 営業所
営業所とは、本店、支店、または常時建設工事の請負契約を締結する事務所を指します。一般的に、外部から来客を迎え入れ、建設工事の請負契約締結等の業務を行うことができる状況にある場所のことを言います。営業所の所在地により、申請先となる場所が異なります。なお、営業所に経営業務の管理責任者等(建設工事の請負契約締結等の権限を付与された建設業法施行令3条に規定する使用人も含む)、専任技術者が常勤している ことが必要です。
② 社会保険への加入
適切な社会保険(労働災害保険を除く健康保険、厚生年金保険及び雇用保険)に加入していることが許可要件となります。
「財産」要件
財産的基礎・金銭的信用を有することが必要となります。 新規の一般建設業の許可の場合には、次の①②のいずれかが要件となります。
① 直前の決算において、自己資本額(純資産額。資産額から負債額を差し引い た額)が500万円以上であること
② 申請の直近1か月以内の金融機関の預金残高証明書で,500万円以上の資金調達能力を証明できること
なお、都道府県によって、財産要件の取扱いが若干異りますので、判断に迷ったら 申請窓口に事前相談しましょう。
建設業許可の申請の流れ
ここからは、建設業許可を申請する際の流れについて紹介します。
要件の確認
要件について、全て満たしているかを確認します。要件は細かく設定されていますが、一つでも満たせていないと建設業許可の登録ができないためご注意ください。
許可申請書と添付書類の作成
許可行政庁に提出する許可申請書と添付書類を作成します。許可申請書は許可行政庁のホームページからもダウンロードできます。なお、添付書類は法人と個人で提出内容が異なるため、条件を確認して過不足なく準備しましょう。
予備審査と申請書の提出
許可行政庁の建設業課の相談窓口に、許可申請書と添付書類一式を提出します。
具体的には大臣許可の場合は国土交通省の各地方整備局長へ、知事許可の場合は各都道府県知事へ提出します。都道府県ごとの問い合わせ先は国土交通省の下記ページを参照ください。
参考:許可行政庁一覧表
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000088.html
多くの許可行政庁ではその場で予備審査がおこなわれ、問題がなければ書類を正式に提出することになります。その際、手数料も納入することになります。知事許可で建設業許可を取得する場合の手数料は9万円、大臣許可の場合は15万円となっており、その他事務手数料なども必要です。
申請書類やその内容に不備がなければ、建設業許可が登録されます。登録にかかる期間は1ヶ月から3ヶ月程度ですが、混雑状況によって審査期間が長引く可能性もあります。
建建設業許可の有効期限
建設業許可の有効期限は、登録してから5年間です。有効期限満了後も引き続き登録を受けたい場合は、有効期限満了日の90日前から30日前までに、登録の更新申請をおこなう必要があります。申請すると、さらに5年間有効期限が延長されます。
建設業許可が失効した状態で業務を継続すると、業務改善命令や営業停止処分といった罰則の対象となってしまいます。一般的には、建設業許可の有効期限が近づいてくると、行政機関より更新のお知らせが送付されるため、余裕をもって速やかに手続きするようにしましょう。
まとめ
今回は一般建築+知事許可の要件の続きと流れについてご紹介しました。流れをイメージしスムーズな手続きを行いましょう。