今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
今回も建築業許可についての記事となります。建築業許可を取得して事業を運営していたところ、廃業してしまった時の工事はどうなるのかといったマイナーな部分についての説明をします。
建設業許可の一部廃業と全部廃業
廃業の場合は廃業の届出を必ず許可行政厅に提出しなければなりません。廃業届を提出した場合、許可行政庁より許可の取消しの通知がされることとなります。この届出の手続きを怠ると、罰則の対象になります。廃業届を提出するのは以下の場合です。廃業届の提出期限は30日以内とされています。
建設業許可の一部廃業と全部廃業の違いは以下の通りです。
一部廃業
現在、複数の業種で建設業許可を受けている場合に、一部の業種が必要なくなった時などに、その業種を一部廃止することをいいます。例えば、専任技術者が退職し、一部の業種について代わりの専任技術者がいない場合、その業種のみの許可を返納することを一部廃業と言います。
全部廃業
現在受けている建設業許可をすべて辞めることを全部廃業といいます。例えば、経営業務の管理責任者が急な退職等で欠けて、代わりがいない場合も許可を維持することができないので、全部廃業しなければなりません。以下は全部廃業する際の例です。
①建設業者である個人事業主が死亡したとき
②会社合併により建設業者である会社が消滅したとき
③建設業者である会社が破産手続き開始の決定により解散したとき
④②③以外の理由により建設業者である会社が解散したとき
⑤建設業許可の要件を満たさなくなったとき
⑥建設業許可の更新手続きを行わなかったとき
⑦許可を受けた建設業を廃止したとき
(廃業等の届出)
第十二条 許可に係る建設業者が次の各号のいずれかに該当することとなつた場合においては、当該各号に掲げる者は、三十日以内に、国土交通大臣又は都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
一 許可に係る建設業者が死亡したとき(第十七条の三第一項に規定する相続人が同項の認可の申請をしなかつたときに限る。)は、その相続人
二 法人が合併により消滅したとき(当該消滅までに、合併後存続し、又は合併により設立される法人について第十七条の二第二項の認可がされなかつたときに限る。)は、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)であつた者
三 法人が破産手続開始の決定により解散したときは、その破産管財人
四 法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したときは、その清算人
五 許可を受けた建設業を廃止したとき(第十七条の二第一項又は第三項の認可を受けたときを除く。)は、当該許可に係る建設業者であつた個人又は当該許可に係る建設業者であつた法人の役員
(登録の更新)
第二十六条の八 第二十六条第五項の登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2 前三条の規定は、前項の登録の更新について準用する。
建設業法 – e-Gov法令検索より引用
建設工事の施工中に廃業となった場合
請け負った建設工事が施工中に廃業した場合、廃業により建設業許可は取消しとなっているため、 当該建設業者は無許可業者となりますが、すでに施工している工事に限って引き 続き施工することができます。理由は建設業法の目的の一つにある「発注者保護」 です。施工中のものは建設業者が許可を廃業したとしても、工事完成まで施工できることとされています。また施行中の工事だけでなく、建設工事の請負契約を締結した後に廃業となった場合も同様に、その工事に限って施工することが可能です。
建設業法
(許可の取消し等の場合における建設工事の措置)
第二十九条の三 第三条第三項の規定により建設業の許可がその効力を失つた場合に あつては当該許可に係る建設業者であつた者又はその一般承継人は、第二十八条第三 項若しくは第五項の規定により営業の停止を命ぜられた場合又は前二条の規定により 建設業の許可を取り消された場合にあつては当該処分を受けた者又はその一般承継人は、許可がその効力を失う前又は当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る建設工事に限り施工することができる。この場合において、これらの者は、許可がその効力を失った後又は当該処分を受けた後、二週間以内に、その旨を当該建設工事の注文者に通知しなければならない。 2 特定建設業者であつた者又はその一般承継人若しくは特定建設業者の一般承継人が前項の規定により建設工事を施工する場合においては、第十六条の規定は、適用しない。
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定にかかわらず、公益上必要があると認めるときは、当該建設工事の施工の差止めを命ずることができる。
4 第一項の規定により建設工事を施工する者で建設業者であつたもの又はその一般承継人は、当該建設工事を完成する目的の範囲内においては、建設業者とみなす。
5 建設工事の注文者は、第一項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する許可がその効力を失ったこと、若しくは処分があつたことを知つた日から三十日以内に 限り、その建設工事の請負契約を解除することができる。
まとめ
今回は建築業を櫛来も廃業することになった際に必要な手続きである廃業届について紹介しました。廃業届を提出しないと、罰金や再度許可を取得する際などの問題が生じるため必ず手続きはしましょう。