今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
行政書士業務の花形業務と呼ばれている建築業許可について記事を書いていきたいと思います。今回は建築業許可で要件となっている専任技術者とテレワークについて説明します。
テレワークでも常勤性が認められる
建設業許可の要件である経営業務の管理責任者や専任技術者には、常勤性が求められていますが、令和3年12月9日の建設業許可事務ガイドラインの改正により、テレワークによっても常勤性が認められることが明確となりました。令3条使 用人についても同様です。
ここでいうテレワークとは、「営業所等勤務を要する場所以外の場所で、ICTの活用により、 営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、当該所定の 時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下においてその職務に従事することをいう」とされています。
建設業許可事務ガイドライン【第5条及び第6条関係】
(12)建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第十一号)について
~中略~ 原則として、当該営業所において休日その他勤務を要しない日を除き一 定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事(テレワーク (営業所等勤務を要 する場所以外の場所で、ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等 の職務を遂行でき、かつ、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環 境下においてその職務に従事することをいう。以下同じ。)を行う場合を含む。)していることが求められる。
適正な経営体制について(規則第7条第1号)
② 「役員のうち常勤であるもの」とは、原則として本社、本店等において休日その他勤 務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事(テレ ワークを行う場合を含む。)している者がこれに該当する。
専任技術者について(第2号)
(1) 「専任」の者とは、その営業所に常勤 (テレワークを行う場合を含む。)して専らその 職務に従事することを要する者をいう。
実態のない営業所も設置できる?
専任技術者も令3条使用人もテレワークが可能であるとなると、実態のない営業所の設置が可能であるように思えます。しかしながら、専任技術者に関しては、 常識上通勤不可能な場所でのテレワークは「専任」要件を満たさないものとされています。また、1人の専任技術者が複数の営業所の専任技術者を兼務することもできません。
建設業許可事務ガイドラインによると「ただし、次に掲げるような者は、原則として、「専任」の者とはいえないものとして取り扱うものとする。」
① 住所又はテレワークを行う場所の所在地が勤務を要する営業所の所在地から著しく 遠距離にあり、常識上通勤不可能な者
②他の営業所(他の建設業者の営業所を含む。)において専任を要する者
③ 建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事 務所等において専任を要することとされている者 (建設業において専任を要する営業 所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合においてその事務所等に おいて専任を要する者を除く。)
④ 他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について 専任に近い状態にあると認められる者
「テレワークに関するQ&A国土交通省は「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」を公開しており、ご紹介いたします。
営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A
Q1:「ICTの活用により、営業所等で職 務に従事している場合と同等の職 務を遂行でき、かつ、所定の時間中において常時連絡を取ることが可 能な環境」とは、具体的にどのよう な環境ですか。
A1:機器の使用状況等を含め総合的に判断する必要がありますが、例えば、メールを 送受信・確認できることや、契約書、設計 図書等の書面が確認できること、電話が常 時つながること等が必要と考えられます。
Q2:営業所専任技術者に求められる「専 任」の要件について、変更はありませんか。
A2:所専任技術者の「専任」要件自体に変更はございません。「専任」の者とは、「建設 業許可事務ガイドラインについて」 【第7条関係】 2. (1) に記載のとおり、「営業所に常勤して専らその職務に従事することを要す る者」のことを指します。
Q3:営業所専任技術者を含む営業所の 従業員全員がテレワークを実施し、 営業所が無人になっても問題ありませんか。
A3:営業所専任技術者がテレワークを実施する場合は、「ICTの活用により、営業所等で職務に従事している場合と同等の職務を遂行でき、かつ、当該所定の時間中において常時連絡を取ることが可能な環境下」においてその職務に従事する必要があり、営業所が無人となる場合には、テレワーク中の連絡先等を発注者等が把握できるようにしておく必要があります。また、発注者等から対面での対応を求められることも想定されるため、営業所においては、対面での打ち合わせ等が可能な環境を整えておくことが 必要と考えます。
Q4:営業所専任技術者は、緊急時等には対面で の説明・現場確認が求められるケースも考 えられます。また、従来、営業所に常識上通勤不可能な遠距離に居住する者については営業所と著しく距離が離れた場所でテレワークを実施しても問題ありませんか。例えば、沖縄県在住の者が、北海道の営業A4:任技術者に就任することは可能ですか。
A4:「専任」要件を満たさないものと扱っていたことも踏まえ、営業所に常識上通勤不可能な場所でのテレワークについては、「専任」 要件を満たさないものとします(「建設業許 可事務ガイドラインについて」
出典:国土交通省「営業所専任技術者等のテレワークに関するQ&A」 (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/cont)
まとめ
コロナ禍でインターネットの普及したことにより、建築関係にもテレワークという選択肢が出来ました。建築業許可で必要な専任技術者の取り扱いについて定められたため是非テレワークの活用も検討していきましょう。