今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
建築業許可を得るためには建築業法を知る必要があります。建築業法を違反した際の罰則について説明します。
建設業法に違反する例
建設業法や建設業に関連する法令に違反すると、罰則や監督処分が科せられます。どのような場合に罰則や監督処分が科せられるのか、例を挙げて説明していきましょう。
刑法違反の場合
刑法違反の場合、建設業許可の取り消しや営業停止処分が科せられることがあります。例えば、傷害、暴行、脅迫、背任などの刑法違反では、罰金刑であっても建設業の許可が取り消しになります。また、建設業に関連するものとして公契約関係競売等妨害罪、談合罪、贈賄罪、詐欺罪などでは、刑に処せられたのが代表権のある役員の場合最長1年間、代表権のない役員や使用人の場合は120日以上、それ以外の場合には60日以上の営業停止処分が科せられます。
建設業の許可を受ける許可要件のひとつに、「欠格要件に該当しないこと」があります。欠格要件の中には、刑法違反に関連する次の項目があります。
- 禁錮刑以上の刑に処せられ、刑が終わり、または執行猶予期間を満了してから5年を経過していない。
- 建設業法、建築基準法、刑法の一定の法令違反に対して罰金刑以上の刑に処せられ、その刑が終了し、または執行猶予期間を満了してから5年を経過していない。
刑法違反によって欠格要件に該当し、建設業許可が取り消されると、5年間は建設業許可を受けることができないため、500万円未満の工事しかおこなうことができなくなります。刑法違反に関しては、建設業許可を受ける際や、受けた後にも大きく影響がある法律であることを念頭に入れておく必要があるようです。
許可なく一定額を上回る契約を結んだ場合
建設業の許可には、下請契約の規模により「一般建設業」と「特定建設業」の区別があります。下請契約であっても、4,500万円(税込)(建設工事業では7,000万円(税込))以上になる下請契約をおこなう場合には、特定建設業許可が必要です。
特定建設業の許可がない元請業者が、4,500万円以上の下請契約を締結した場合には、「無許可業者等との下請契約」にあたり、建設業法第16条「下請契約の締結の制限」の違反になります。その場合、元請業者は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が、特定建設業許可のない元請業者と契約した下請負事業者には「7日以上の営業停止処分」が科せられることになります。
建設業法違反で罰金刑以上の刑に処せられた場合、欠格要件に該当し、建設業許可が取り消されることになるので注意が必要です。
建築業法の罰則
建設業法に違反した場合には、「罰則」と「監督処分」という制裁があります。建設業法違反よる罰則は以下のとおりです。
建設業法違反による罰則
・建設業許可を受けないで建設業を営んだ場合
・特定建設業許可がないにも関わらず、元請業者となり、 4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上となる下請契約を締結した場合
・営業停止中に営業した場合 ・営業禁止中に営業した場合
・虚偽又は不正の事実に基づいて許可を受けた場合
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金※法人に対しては1億 円以下の罰金
・建設業許可申請書に虚偽の記載をして提出した場合
・変更等の届出を提出しなかった場合
・変更等の届出に虚偽の記載をして提出した場合
・経営状況分析申請書又は経営規模等評価申請書に虚偽の記 載をして提出した場合
6ヶ月以下の懲役又は 100万円以下の罰金
・工事現場に主任技術者又は監理技術者を置かなかった場合
・土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合において、 専門技術者の配置等を行わなかった場合
・許可取消処分や営業停止処分を受けたにも関わらず、2週間以内に注文者に通知しなかった場合
・登録経営状況分析機関から報告又は資料を求められ、報告 若しくは資料の提出をしなかった場合又は虚偽の報告若し くは虚偽の資料の提出をした場合
・許可行政庁から報告を求められ、報告をしなかった場合又は虚偽の報告をした場合
・許可行政庁から検査を求められ、検査を拒否、妨害、忌避した場合
100万円以下の罰金
・廃業等の届出を怠った場合
・ 調停の出頭要求に応じなかった場合
・店舗や工事現場に建設業の許可票を掲げなかった場合
・無許可業者が建設業者であると誤認される表示をした場合
・帳簿を作成しなかった場合、虚偽の記載等をした場合
10万円以下の過料
なお、建設業法違反により罰金以上の刑罰を受けると、建設業許可の欠格要件に該当することとなり、許可の取消しがなされる上、その取消しの日から5年間は建設業許可を取得することができなくなります。建設業法違反による罰則の影響は大きく、「罰金刑くらい怖くない」と考えていると、許可を取り消され再起を図ることも難しくなってしまいますので、十分注意してください。
監督処分とは
建設業者が、建設業法により課せられた義務を履行しない場合や建築業法の規定に違反した場合には、刑罰とは別に許可行政庁による監督処分を受けます。
建設業法違反による監督処分の種類
指示処分:建設業法に違反すると、指示処分の対象となる。法令違反を是正するために監督行政庁が行う命令。
営業停止分:指示処分に従わないときは、営業停止処分の対象となる。指示処分なしで直接営業停止処分となることもある。1年以内の期間で、監督行政庁が決定する。
許可取消処分:不正手段で許可を受けたり、営業停止処分に違反して営業したりすると、許可取消処分の対象となる。情状が特に重いと判断されると、指示処分や営業停止処分なしで直ちに許可取消となる場合もある。
なお、どのような監督処分等を行うかは、不正行為等の内容・程度、社会的影響、 情状等を総合的に勘案して判断されることとなります。許可行政庁は監督処分基準を定めており、どのようなケースでどのような処分が行われるか記載されていますので、確認をしておくのが良いでしょう。
まとめ
今回は建築業法に違反した場合に受ける罰則についてまとめてみました。このようなことが起きないようにしたいですね。