【建築業許可:経営事項審査とは】~行政書士試験合格者が解説~

行政書士業務

今回の記事は行政書士のメイン業務である許認可についていくつかご紹介していきたいと思います。今回の記事を読んでいただくことで、行政書士を目指し受験されている方はもちろんのこと、行政書士の実務を学びたいと思っている方、開業準備をしている方、会社設立業務に興味がある方の知識が増えてもらえればと思います。
今回も建築業許可についての記事となります。建築業界にいると経審といった言葉を聞いたことはないでしょうか。今回は経審とは何かについての説明をします。

経営事項審査(経審)とは

経営事項審査とは、国や地方公共団体等が発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査のことです。略して「経審けいしん)」と呼ばれています。
公共工事とは、発注者が国、地方公共団体、特殊法人等の場合で、民間企業や個 人等からの発注と区別されています。「公共工事の発注者から直接請け負おうとす る建設業者」つまり、元請業者の立場になる建設業者が受けなければならない審査であるということです。下請負人として公共工事に参加する場合には、経審を 受ける必要はありません。
公共工事の発注者は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。この資格審査にあたっては、欠格要件に該当しないかを審査した上で、「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化して、格付けが行われています。このうちの「客観的事項」にあたる審査が経審です。

公共工事とは、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事であって、発注者が国、特殊法人等又は地方公共団体となる工事のことをいいます。「公共性のある施設又は工作物」とは、建設業法施行令第15条で次のとおり具体的に定められています。
①鉄道、軌道、索道、道路、橋、護岸、堤防、ダム、河川に関する工作物、砂防 用工作物、飛行場、港湾施設、漁港施設、運河、上水道又は下水道
②消防施設、水防施設、学校又は国若しくは地方公共団体が設置する庁舎、 工場、研究所若しくは試験所
③電気事業用施設(電気事業の用に供する発電、送電、配電又は変電その他の電気施設をいう。)又はガス事業用施設 (ガス事業の用に供するガスの 製造又は供給のための施設をいう。)
④前各号に掲げるもののほか、紛争により当該施設又は工作物に関する工事 の工期が遅延することその他適正な施工が妨げられることによつて公共 の福祉に著しい障害を及ぼすおそれのある施設又は工作物で国土交通大臣が指定するもの

経審の審査項目

経審は、建設業法により建設業許可に係る許可行政庁が審査を実施することとされており、国土交通大臣の定めた4つの項目によって審査が行われます。4つの 項目で評価され、最終的には許可業種ごとに点数(「総合評定値」(P)) が付与されますが、その点数は全国一律の基準によって算出されます。

①経営規模(X1、X2)

工事種類別年間平均完成工事高、自己資本額・平均利益額

②技術力(Z)

工事種類別の技術職員数、工事種類別年間平均元請完成工事高

③ その他の審査項目(社会性等) (W)

労働福祉の状況、営業継続の状況、防災協定締結の有無、法令遵守状況等

④経営状況(Y)

経営状況分析

上記4つの項目についてそれぞれ評点が算出され、その評点を基に、次の算式によって総合評定値 (P)が計算されます。

総合評定値(P) = 0.25 (X1) + 0.15 (X2) + 0.20 (Y) +0.25 (Z) + 0.15 (W)

各項目の前にある 「0.15」 「0.20」 「0.25」 というのは 「ウエイト」と呼ばれていま す。これは総合評定値 (P) への配分のことで、このウエイトの数字が大きいほど、 経審における重要度が高いと言えます。なお、経審の結果である総合評定値(P)は、審査基準日 (決算日)から1年7か 月有効です。有効な結果が無くならないよう、事業年度ごとに経審を受けなけれ ばなりません。

建設業法(経営事項審査)
第二十七条の二十三 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定める ものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところに より、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
2 前項の審査(以下「終学車頂安杏、という)は次に揚げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。

入札参加資格

経審を受けても、それだけで公共工事が受注できるわけではありません。公共工事では、主に「競争入札」によって発注先が決められますが、その競争入札に参加するためには、建設業者は「入札参加資格」を持っていなければなりません。
建設業者が公共工事の入札参加資格を得るためには、発注者に対して、入札参加資格申請を行う必要があります。入札参加資格は発注者ごとに必要で、建設業者に資格を与えるかどうかの審査は発注者が行います。発注者は、「客観的事項」である経審の点数(「総合評定値」(P))と「発注者別評価」 の合計点によって建設業者の格付けを行います。その格付けにより、入札に参加できる工事のきぼが変わるという仕組みとなっています。

まとめ

今回は公共工事を請け負う際に必要な経営事項審査について紹介しました。公共工事を請け負えるようになると事業の幅が広がりますね。

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