【障害サービスを知ろう:障害者がサービスを使うため手続き】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は福祉事業を行う上で知っておきたい、利用者のサービス申請手順について紹介したいと思います。

障害区分とは

障害支援区分とは「障害のある方が必要とする支援の度合いを総合的に示すもの」です。
障害支援区分は、1〜6段階に分けられています。一番支援の度合いが低いのは1段目で、6段目に近づくにつれて高くなる仕組みです。また、1〜6の区分ではなく、非該当と判定される場合もみられます。
受けられる支援の種類によっては、障害支援区分が非該当でも利用できたり、適用条件に「障害者支援区分の認定(例えば「3」以上の方が対処、など)」が定められていたりする場合があります。

手続きの流れ

障害支援区分の認定のためには、市町村の担当窓口(障害福祉課など)へ申請をして認定調査を受ける必要があります。

(1)支給(給付)決定の申請:「障害福祉サービスを利用しようとする障害者や障害児の保護者は、相談支援事業者や市 「町村に相談のうえ、居住地の市町村に支給申請を行う(本人の依頼により代行も可)

(2)サービス等利用計画 案の提出依頼(市町村】:申請者に提出を依頼する(介護保険でのケアプラン作成対象者には、障害福祉サービス 固有の行動援護、同行援護,自立訓練(生活訓練),就労移行支援,就労継続支援等の 「利用を希望する場合で、市町村が必要と認める場合に依頼する)

(3) 障害支援区分認定調査:市町村の認定調査員が本人や保護者等と面接をし、障害及び難病共通の認定調査(心身 「の状況に関するアセスメント〉を行う (併せてサービスの利用意向聴取もできる)

(4)概況調査::認定調査に併せて、本人および家族等の状況や、現在のサービス内容や家族からの介護 状況等を調査する

障害支援区分の認定【市町村】
(5) 医師意見書の聴取 (市町村は主治医等に、障害者の疾病、身体の障害内容、精神の状況、 介護に関する所見など、医学的知見から意見を求める)
(6)一次判定 (コンピュータ判定)
(7)二次判定(市町村審査会での審査判定)
(8)障害支援区分の認定(市町村は市町村審査会の審査判定結果にもとづき認定)

(9)サービスの利用意向 の聴取【市町村】:障害支援区分の認定を行った申請者等の支給決定を行うため、申請者から申請に係る サービスの利用意向を聴取する

(10)サービス等利用計画 案の提出:障害者等は、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画案を提出する(身 「近な地域に指定特定相談支援事業者がない場合などは、指定特定相談支援事業者以外が 「作成するサービス等利用計画案を提出できる)

支給決定案の作成 【市町村】
(11) 市町村は、障害支援区分やサービス利用意向聴取の結果、サービス等利用計画案等を ふまえ、市町村が定める支給決定基準等にもとづき支給決定案を作成する
(12)市町村は、支給決定案が市町村の支給決定基準等と乖離するときは、「非定型の支給 決定」等として市町村審査会に意見を求めることができる

(13)支給決定【市町村】:勘案事項、審査会の意見、サービス等利用計画案等の内容をふまえ、支給決定を行う

(14) サービス等利用計画の作成【指定特定相談 支援事業者】:指定特定相談支援事業者は、支給決定が行われた後に、指定障害福祉サービス事業者、指定一般相談支援事業者等との連絡調整等を行うとともに、サービス種類・内容等を記載したサービス等利用計画を作成する

障害支援区分の認定調査項目

障害支援区分の認定調査項目は、下記に分かれています。

  1. 移動や動作等に関連する項目(12項目)
  2. 身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
  3. 意思疎通等に関連する項目(6項目)
  4. 行動障害に関連する項目(34項目)
  5. 特別な医療に関連する項目(12項目)

1.移動や動作等に関連する項目(12項目)

  1. 寝返り
  2. 起き上がり
  3. 座位保持
  4. 移乗
  5. 立ち上がり
  6. 両足での立位保持
  7. 片足での立位保持
  8. 歩行
  9. 移動
  10.  衣類の着脱
  11.  じょくそう(※1)
  12.  えん下(※2)

2.身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)

  1. 食事
  2. 口腔清潔
  3. 入浴
  4. 排尿
  5. 排便
  6. 健康・衛生管理
  7. 薬の管理
  8. 金銭の管理
  9. 電話等の利用
  10.  日常の意思決定
  11.  危機の認識
  12.  調理
  13.  掃除
  14.  洗濯
  15.  買い物
  16.  交通手段の利用

3.意思疎通等に関連する項目(6項目)

  1. 視力
  2. 聴力
  3. コミュニケーション
  4. 説明の理解
  5. 読み書き
  6. 感覚過敏・感覚鈍麻

4.行動障害に関連する項目(34項目)

  1. 被害的・拒否的
  2. 作話
  3. 感情が不安定
  4. 昼夜逆転
  5. 暴言暴行
  6. 同じ話をする
  7. 大声・奇声を出す
  8. 支援の拒否
  9. 徘徊
  10.  落ち着きがない
  11.  外出して戻れない
  12.  1人で出たがる
  13.  収集癖
  14.  物や衣類を壊す
  15.  不潔行為
  16.  異食行為
  17.  ひどい物忘れ
  18.  こだわり
  19.  多動・行動停止
  20.  不安定な行動
  21.  自らを傷つける行為
  22.  他人を傷つける行為
  23.  不適切な行為
  24.  突発的な行動
  25.  過食・反すう等
  26.  そう鬱状態
  27.  反復的行動
  28.  対人面の不安緊張
  29.  意欲が乏しい
  30.  話がまとまらない
  31.  集中力が続かない
  32.  自己の過大評価
  33.  集団への不適応
  34.  多飲水・過飲水

5.特別な医療に関連する項目(12項目)

  1. 点滴の管理
  2. 中心静脈栄養
  3. 透析
  4. ストーマの処置
  5. 酸素療法
  6. レスピレーター
  7. 気管切開の処置
  8. 疼痛の看護
  9. 経管栄養
  10.  モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等)
  11.  じょくそうの処置
  12.  カテーテル

まとめ

今回は障害者サービスを使うまでの流れと調査項目についてご紹介しました。基本的な流れとなっています。各サービスによっては必要がない部分もありますので、次回以降説明します。

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