【障害サービス:訓練給付の使い方】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は福祉事業を行う上で知っておきたい、介護サービスと障害サービスの関係について紹介したいと思います。

訓練給付の支給決定方法

訓練等給付に係る障害福祉サービスについては、障害者本人の希望を尊重し、より適切なサービス利用を図る観点から、利用を希望する 事業について、①事業の継続利用についての利用者の最終的な意向の 確認、②事業の利用が適切かどうかの客観的な判断を行うための期間 を設定した暫定支給決定が行われます。

対象サービスと暫定支給決定期間

暫定支給決定の対象サービスは次のとおりです。
(1)自立訓練(機能訓練,生活訓練,宿泊型自立訓練)
(2)就労移行支援
(3)就労継続支援A型(雇用契約を締結せずに利用する人を含む)

訓練等給付費の支給決定に当たっては、障害支援区分の認定は行われません。暫定支給決定期間は、2か月以内の範囲で個別ケースに応じて設定されます。なお、市町村によっては、本支給決定期間を含む期間であらかじめ支給決定する方法がとられています。
この他、訓練給付の就労継続支援B型の利用については事前に就労アセスメントを受ける必要があります。

就労アセスメントとは

就労アセスメントとは、就労能力を評価するアセスメントのひとつで、主に就労継続支援B型事業の利用希望者に対して実施されます。また、支援学校を卒業後の進路として就労移行支援、就労継続支援A型・B型の利用を考えられている方は就労アセスメントの実施が必要です。就労アセスメントでは、さまざまな側面から包括して評価を行い、具体的な作業や模擬的作業を通じて系統的に評価します。

就労アセスメントの目的

就労アセスメントを実施する目的は、単に就労継続支援B型の利用可否や一般就労の可能性を判定するためだけでなく、障がいのある人が自立した生活を送るための基盤作りにあります。
完成したアセスメントを持って、就労継続支援B型の利用を始めることで、どの部分に課題があって、どんな取り組みが望ましいか、支援者に伝えるためのツールです。できることを介助してしまっては、成長できませんし、できないことをできると思い違いされて叱咤激励されるのは辛いものです。
例えば、本人や家族が「大人数の場所は避けて欲しい」「指示は口頭でなくマニュアルが必要」など必要な支援や配慮を提案してくれる機会は支援者にとって貴重ですが、中には、「きっとやれるはず」と無理をしていたり、できることでも支援を求めてしまうことも少なくありません。また、困っているんだけれども、何に困っているか分からない、なんてこともあるかもしれません。そのため、就労アセスメントを作成することで、本人や家族の希望とは違う、福祉サービスあるいは他のもっと適した方法が見つかることも考えられます。

就労アセスメントは、各支援機関による継続的な就労支援に必要な情報のうち、就労面に関する情報を把握するために実施します。障害者に対して適切な就労支援を行うためには、支援対象者の就労面や生活面に関する多面的な情報を把握しておくことが必要です。これらの情報のうち、生活面の情報については、支援対象者を長期間にわたって支援している機関(特別支援学校等)から把握することができますが、就労面に関する客観的な情報(作業能力、就労意欲、集中力等)は、作業場面における観察によって別途把握する必要があります。このため、就労経験のない者(50歳以上の者や障害基礎年金1級受給者を除く)がB型事業の利用を希望する場合については、就労アセスメント機能を有する就労移行支援事業所等がアセスメントを行い、就労面の情報の把握を行うこととなっています。H27.3.31 厚生労働省Q&A(就労移行支援)より引用

つまり、一般企業での就労経験があり、就労継続支援B型の利用を望む方、50歳に達している方、障害基礎年金1級を受給している方は就労アセスメントは不要となっています。

就労アセスメントはどこが行っているのか

地域の就労移行支援事業所に依頼することが、一般的です。その他、相談支援専門員や行政の窓口(市町村の障害福祉に係る窓口)に相談してみることで何処が行っているのか教えてくれます。また、ネットなどで検索し、直接お近くの就労移行支援事業所に相談することも可能です。
相談から、就労アセスメントをいつ、どこで、作っていくかの計画を立てていきます。まずは、就労移行支援事業所と利用契約をし、数日間作業訓練や職業訓練といったメニューに参加します。参加後に、どんな配慮や支援を求めていくのか評価についての話し合いを行い、就労アセスメントが完成します。

まとめ

今回は訓練給付の利用開始手続きについてご紹介しました。訓練給付は細かな調査は必要ありませんが、就労アセスメントが必要になるなど利用開始までに適切かどうかの判断がなされることが必要となります。

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