【障害サービス:利用者負担について】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は福祉事業を行う上で知っておきたい、障害サービスの利用者負担について紹介したいと思います。

障害福祉サービスの負担割合は1割

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば障害福祉サービスを利用できます。費用負担は1割と非常に安いうえに、負担上限月額が設定されています。

負担上限月額の設定:非課税世帯と生活保護は無料

利用者負担に加えて、負担上限月額が設定されています。サービス利用料が1割負担であることに加えて、ある一定の金額以上については支払いが不要になるのです。

世帯収入によって負担上限月額は変わりますが、以下のようになっています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

特に親元を離れて暮らしている障害者であれば、ほとんどの人が住民税の非課税世帯または生活保護に該当します。この場合、1割負担どころか障害福祉サービスの利用料金は無料です。

月額負担額の年次見直しの手続き

障害福祉サービスの利用者負担額は、所得状況や家庭環境の変化に基づき見直すことができます。見直し手続きでは、市区町村の窓口での申請が必要で、所得情報や扶養状況を基に上限額が再設定されます。特に所得の増減や家族の就労状況の変化がある場合は、その変化を反映させることで、適切な負担額の設定が行われます。
市町村民税の年度の切り替わりは毎年7月1日に行いますので、年度の切り替わり以降に利用者負担上限月額の見直しを行うことが出来ます。

実費負担となる項目

障害福祉サービスを利用する際には、1割負担の対象とは別に「実費負担」として自己負担する項目もあります。これは、サービス利用に直接関わらない生活に必要な費用で、利用者がサービスとは別に支払うものです。以下は、実費負担となる主な項目です。

  • 食費
    支援施設やグループホームなどでの食事代が対象で、食材費そのものを実費で負担します。たとえば、1日の昼食と夕食にかかる費用が、利用者自身の負担として計算されます。
  • 家賃
    グループホームや入所施設での居住スペースの家賃も自己負担です。施設内で生活する際の家賃は、公共料金のような必要経費として扱われています。
  • 光熱費
    施設やグループホーム内での水道、電気、ガスなどの使用料は、生活に欠かせない基本的な支出であるため、全額利用者の負担となります。
  • 日用品費
    施設やグループホームで使用する歯ブラシやトイレットペーパー、シャンプーなどの消耗品も自己負担です。日々の生活を送る上で必要不可欠な物品として、利用者自身が用意し負担することになっています。

障害福祉サービス利用者負担額の軽減

障害福祉サービスの利用者負担額については、負担が過度にならないようにするため、さまざまな軽減制度が導入されています。

療養介護を利用する場合、医療費と食費の減免

療養介護サービスを利用する障害者の中には、医療費や食費が大きな負担となる場合が多いため、一定の条件を満たす場合において医療費や食費の減免措置が適用されます。減免措置は、特に低所得者層に配慮したもので、利用者の収入状況に応じて食費が全額または一部免除される場合があります。この制度を利用するには、自治体の福祉担当窓口で事前に申請し、収入証明書や必要な書類を提出することが必要です。

高額障害福祉サービス等給付費による負担軽減

高額障害福祉サービス等給付費制度は、障害福祉サービスの利用者が、1か月に支払う自己負担額が一定額を超えた場合に、超過分が補助される制度です。障害福祉サービスと医療サービスを併用している場合に、合算した負担額が上限を超えると超過分が補助される仕組みです​。この制度も市役所で、事前の申請が必要で、利用者が各市町村の福祉担当窓口で負担額の証明書や領収書を提出することが一般的です。

食費等実費負担についても、減免措置が講じられる

障害福祉サービスを利用する際、食費や光熱費といった生活に必要な実費負担も発生します。たとえば、低所得世帯や生活保護世帯では、食費や水道・光熱費といった実費負担の一部が軽減される場合があります。

グループホーム利用者への家賃助成

グループホームを利用する際には、一般的に住居費として家賃が発生しますが、家賃負担が高くならないように家賃の一部が助成される制度も用意されています。この助成制度では、所得の低い世帯に対して月額10,000円を上限とした家賃補助が提供されることが多く、特に市区町村が運営するグループホームで適用される場合が一般的です。

まとめ

今回は障害サービスを利用するための利用者上限についてご紹介しました。基本は1割負担で上限もありますが、さらに実費負担を軽減させる措置も自治体事にありますので確認してみましょう。

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