今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は福祉事業を行う上で知っておきたい、障害サービスの受給者証について紹介したいと思います。
障害サービスの受給者証とは
障害福祉サービス受給者証は、障害のある方が障害福祉サービスを受けるために必要な証明書です。この証明書を取得することで、障害者総合支援法に基づく様々な支援サービスを利用することができます。
障害福祉サービス受給者証に掲載されている項目
- 受給者証番号
- 受給者の氏名、住所、性別、生年月日
- 交付した市区町村名とその印
- 障害支援区分※①
- 認定有効期間※②
- サービスの種別
- 支給決定内容(支給量、支給期間※③、事業所名など)
- 利用者負担額※④
①障害区分とは
障害支援区分とは「障害のある方が必要とする支援の度合いを総合的に示すもの」です。
障害支援区分は、1〜6段階に分けられています。一番支援の度合いが低いのは1段目で、6段目に近づくにつれて高くなる仕組みです。また、1〜6の区分ではなく、非該当と判定される場合もみられます。
受けられる支援の種類によっては、障害支援区分が非該当でも利用できたり、適用条件に「障害者支援区分の認定(例えば「3」以上の方が対処、など)」が定められていたりする場合があります。
②受給者証の有効期限
障害区分の有効期限は原則、3年となっています。しかし、障害支援区分と支援期間の有効期限は別物です。
③支給期間
①自立訓練(機能訓練):1年6か月間 (頸髄損傷による四肢の麻痺等3年間)
②自立訓練(生活訓練):2年間(長期入院等※の人は3年間)
③就労移行支援:2年間(あん摩マッサージ指圧師など資格取得 の養成施設利用は3年間または5年間) (労働時間延長のための能力向上等に必要な一時利用は3~6か月間)
④就労定着支援:3年間
⑤自立生活援助:1年間
更新での利用期間等の取扱い
・当初支給決定期間は1年間
・1年間の利用・ ビス提供によ 標準 目では十分な成果が得られず、かつ、引き続きサー る改善効果が具体的に見込まれる場合は、
・標準利用期間を超えて。さらに新スの継続利用が必要な 場合に限り、最大1年間の更新ができる(原則1回、ただし、 場合は、市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた にっついては回数の制限なく更新が可能)が、就労定着支援 については3年間の標準利用期間を超えて更新することはで きない
・①②について、 複数の障害を有する者で具体的な改善が見込 まれ、かつ個別審査を経て認められた場合にさらに1回の更 新が可能
宿泊型自立訓練:原則2年間 (長期入院等の人は※3年間)
更新期間の取り扱い
・利用開始から1年ごとに利用継続の必要性について確認し、 支給決定の更新を行う
・標準利用期間を超えて更新を行おうとする場合には、市町村審査会の意見を聴く
地域移行支援:給付決定期間は6か月間まで
・この期間で十分な成果が得られず、かつ、引き続き地域移 行支援を提供することで地域生活への移行が具体的に見込ま れる場合は、6か月間の範囲内で更新できる
・更なる更新については、必要に応じて市町村審査会の個別審査を経て判断する
地域定着支援:給付決定期間は1年間まで
・対象者や同居家族等の心身の状況や生活状況、緊急時支援の実績等を踏まえ、引き続き地域生活を継続していくための緊 急時の支援体制が必要と見込まれる場合には、1年間の範囲内で更新できる
・更なる更新についても、必要性が認められる場合については更新できる。
受給者証の「支給量」
「支給量」とは、受給者が1ヶ月あたりに支援を利用できる日数を指します。これらの日数内で、サービス提供事業者から様々なサービスを受けることができます。複数の事業所を利用する場合は、利用日数を合計しても支給量を超えないように調整します。
④障害福祉サービスの負担割合は1割
知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば障害福祉サービスを利用できます。費用負担は1割と非常に安いうえに、負担上限月額が設定されています。世帯収入によって負担上限月額は変わります。
利用者負担上限は生活保護・非課税世帯:0円、世帯年収600万円以下:9300円、世帯年収600万円超:37200円となっています。
まとめ
今回は障害サービスを利用する際に必要となる受給者証について説明しました。記載事項を確認し適切なサービス提供をしていきましょう。
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