【障害サービス提供の流れ】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。前回まで利用者が障害サービスを利用するまでに必要な手続きについてご紹介しました。その点を押さえた上で、福祉事業を行う上で知っておきたい、障害サービスの提供の流れについて紹介したいと思います。

障害サービス提供の流れ

前回までの記事でご紹介した、利用者が受給者証を持っている必要がありますので、今回は、受給者証を持っているということを前提に解説していきます。

契 約

最初は、契約になります。

①利用者の受給者証を確認し、事業所のサービスに該当するかの確認、支給日数の確認を行います。

②重要事項説明書の説明と同意

重要事項説明書

重要事項説明書は、指定申請時に提出する運営規程と対になる重要な書類です。

利用契約と重複する部分もありますが、明記すべき記載事項として

  • 事業者(法人)概要(名称、住所、電話番号、FAX番号など)
  • 事業所概要(名称、住所、電話番号、FAX番号など)
  • 運営規程の概要(事業の目的、運営方針、主たる対象とする障がいの種類、通常の実施地域など)
  • 営業時間、サービス提供時間
  • 管理者氏名
  • 勤務体制
  • 提供サービスの内容と料金および利用者負担額
  • その他負担額(食費、日用品費など)
  • 利用料・その他費用の請求と支払い方法
  • 秘密保持と個人情報保護について
  • 事故発生時の対応方法(損害賠償の方法含む)、報告先(市町村)
  • 緊急時の対応方法
  • 苦情解決の体制・手順
  • 苦情相談の窓口(事業所の相談窓口)
  • 苦情相談の連絡先(「市町村窓口」、「公的機関窓口(大阪府は大阪府社会福祉協議会運営適正委員会」を明記))
  • 虐待防止について(「虐待防止責任者」、「苦情解決体制の整備を行う旨」、「従業者に対し虐待防止を啓発・普及する研修を行う旨」を明記)
  • 第三者評価の有無
  • 事業者、事業所、利用者(場合によって代理人)による説明確認欄
  • サービス提供開始予定年月日
  • 重要事項説明日

記載内容は運営規程と同一にすることが必要ですし、運営規程を変更すれば必ず、重要事項説明書も変更することになります。

③契約書の説明と締結、関係書類への同意や署名

利用契約書

利用者との契約書になります。

記載事項として、

  • 法人名称・所在地、事業所名称・所在地
  • 提供するサービスの内容
  • 提供するサービスの利用者が支払うべき額に関する事項
  • 契約期間(自動更新などを明記)
  • 提供開始年月日
  • 苦情を受け付けるための窓口
  • 秘密保持      
  • 受給者証への事業所名と契約日・契約日数の記載
  • 契約内容報告書を市役所や区役所へ郵送

を行います。

アセスメント

利用者や家庭の情報、環境などの利用者の状況を把握し、日常生活の評価から希望する生活や課題等を把握することをアセスメントと言います。このアセスメントをもとに、個別支援計画を作成することになります。

個別支援計画原案、個別支援会議

アセスメントシートを作成した後に個別支援計画作成します。原案を作成し、事業所内で原案についての検討会議(個別支援会議)を行います。会議にはサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が必ず出席します。

個別支援計画

個別支援計画を作成し、利用者や保護者に内容の説明を行い同意を得て(署名)、個別支援計画を交付します。

サービスの利用開始

障害福祉サービスの利用開始となります。適切な手続きを経て、必要な支援を受けることで、日常生活や社会参加がより充実したものとなります。

契約後の対応

契約後、サービスの提供が開始されます。サービスの内容や提供方法に変更が生じた場合、契約内容の見直しや再契約が必要となることがあります。また、サービス利用中に疑問や不満が生じた場合は、早めに事業者に相談し、適切な対応を求めることが重要です。

モニタリング

数か月に一度(就労移行支援などは最低3か月に1度、放課後等デイサービス、グループホーム、就労継続支援A、B型、生活介護などは、最低6ヵ月に1度)、必ずモニタリング(個別支援計画の実施状況の把握など)を行い、モニタリング報告書を作成し、個別支援計画を新たに立て直したり、修正する必要がでてきます。

モニタリングでは具体的には、以下の点を確認します。

  • 目標の達成状況:個別支援計画で設定した目標がどの程度達成されているか。
  • サービスの適合性:提供されているサービスが利用者の現状やニーズに合致しているか。
  • 新たな課題の発見:サービス利用中に新たに生じた課題や問題点がないか。

まとめ

今回は福祉事業所がサービスを提供するための流れをご紹介しました。イメージはついたでしょうか?分からないことがあれば、いつでもお問合せください。

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