今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。障害福祉事業の請求と支払いの受け取りまでの流れをご紹介します。障害サービス費用をどのように請求し、いつ頃支払われるのか、またそれまでの段取りについて確認しておきましょう。
請求の流れ
事業所が請求から国保連合会が処理し支払いまでの流れを紹介します。
請求情報の送信(1~10日)
障害福祉サービス事業所等は、介護給付費・訓練等給付費等の請求に関する情報(以下、「請求情報」という。)を作成し、サービス提供月の翌月10日までに国保連合会へ伝送します。
請求情報の受信(11日頃)
国保連合会は、障害福祉サービス事業所等から送付された請求情報を受信します。
一次審査(11~16日頃)
国保連合会は、障害福祉サービス事業所等から送付された請求情報と都道府県・市町村(以下、保険者)から提供された支給決定等に関する受給者台帳情報等を突合し、請求情報の一次審査を行う。
国保連合会は、一次審査の結果を保険者へ送信し、保険者は必要に応じて受給者台帳情報等の修正を行います。また、一次審査の結果、請求情報に誤りがある場合は、保険者から障害福祉サービス事業所等へ連絡し、請求情報の取下げ・再請求を依頼します。
二次審査(18~21日頃)
国保連合会は、一次審査結果資料を作成し、障害福祉サービス事業所等および保険者へ送信します。
保険者は、一次審査結果資料を基に二次審査を行います。
介護給付費・訓練等給付費等の請求(月末頃)
国保連合会は、保険者での二次審査結果を踏まえ、保険者に介護給付費・訓練等給付費等の請求を行います。
返戻及び支払に関する通知の送信(返戻通知:翌月1日頃)(支払通知:翌月6日頃)
返戻等がある障害福祉サービス事業所等へ、毎月1日頃に返戻通知等を伝送します(支払関連通知については、毎月6日頃)。
介護給付費・訓練等給付費等の支払【保険者→国保連合会】(翌月10日頃)
保険者は、国保連合会に介護給付費・訓練等給付費等の支払いを行います。
介護給付費・訓練等給付費等の支払【国保連合会→障害福祉サービス事業所等】(翌月15日頃)
国保連合会は、障害福祉サービス事業所等へ介護給付費・訓練等給付費等の支払いを行います。
請求に必要な書類(データ)
請求書、請求明細書、サービス提供実績記録票の 3 種類のデータを作成します。
請求に必要な書類についてはこちらになります。
請求書様式 | 様式第 1 | 介護給付費・訓練等給付費 |
様式第 4 | 計画相談支援給付費 | |
明細書様式 | 様式第 2 | 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助 |
様式第 3 | 共同生活援助 | |
様式第 5 | 地域移行支援、地域定着支援 |
請求書、請求明細書、サービス提供実績記録票 様式引用元:厚生労働省
報酬の計算内容
報酬額(訓練給付費・介護給付費)は、基本報酬・加算(手厚い支援や体制を整えている場合に算定)の合計と、地域区分(地域ごとに1級地~その他の8段階)を乗じて求められます。
基本報酬 + 加算(単位) × 地域区分 = 報酬額(円) ※報酬額の1円未満は切り捨てとなるので注意が必要です。
障害福祉サービス請求 (利用者宛請求書の作成)
指定障害福祉サービス事業所はサービス提供をした際、当支給決定障害者等から利用者負担額支払を受けます。ただし、費用の 1 割を上限とします。また、利用者の所得によって限度額があります。利用者負担額の支払を受けた場合は、領収証を交付します。請求内容等に誤りがなければ、請求月の翌月(サービス提供月の翌々月)中旬~下旬に報酬が支払われます。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
一般 1 | 市町村民税課税世帯のうち、ア又はイに該当する方 ア 居宅で生活する所得割 16 万円未満の方 イ 20 歳未満の施設入所者で所得割 28 万円未満の方 | 9,300 円 |
一般 2 | 上記以外 | 37,200 円 |
市町村からの支払い
市町村から支払いを受けた時は、本来の受領者である利用者に対して、代理受領した金額等を書面により通知します(毎月、利用者一人一人に必ず交付することが必要です)。※支払後、請求内容に誤りが判明した場合、過誤調整を行います。
まとめ
今回は障害サービスを提供し、サービス費用を受け取り、また利用者に自己負担金の支払いを請求する流れについてご紹介しました。流れを理解したうえで運営する必要がありますね。
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