今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。障害福祉事業の報酬改定がにより、障害サービスの全事業所が情報公表を行う義務となりした。どのように情報公表するのかを確認しましょう。
情報公表未報告減算
令和6年度の報酬改定により新設される「情報公表未報告減算」とは、利用者への情報公表や災害発生時の情報共有、財務状況の見える化の推進のために、WAMネットに情報を公表していない事業所が減算対象になります。
令和6年報酬改定で新設された「情報公表未報告減算」は、報告を行なっていない事態が生じた月の翌月から、解消されるに至った月まで算定されますが、その「報告を行なっていない事態が生じた月」とは都道府県等が確認し、報告指導したにもかかわらず未報告の場合に適用されることになっています。
減算額
サービス類型によって所定単位数の10%または5%の減算になります。
・施設・居住系サービス(障害者支援施設、共同生活援助、等)
→所定単位数の10%を減算
療養介護、施設入所支援(施設入所支援のほか、障害者支援施設が行う各サービスを含む)、共同生活援助、宿泊型自立訓練、障害児入所施設
・訪問・通所系サービス(短期入所、就労継続支援A/B型、等)
→所定単位数の5%を減算
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所、生活介護、自立生活援助、自立訓練(宿泊型自立訓練を除く。)、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、就労選択支援、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援、障害児相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援(障害者支援施設が行う各サービスを除く)
情報公表の方法
ではどのように情報公表を行うのかをご紹介します。以下(1)~(3)のポイントに沿って、事業やサービスの内容等を情報公表システムに入力して報告・年度更新を行います。
(1)都道府県等に法人・事業所の基本情報を報告する
基本情報(事業所名や住所、電話番号、ホームページURLなど)は、事業所の指定をする都道府県等(都道府県、指定都市、中核市)が情報公表システムに登録します。基本情報が登録された事業者宛に、情報公表システムからID・パスワードが送られます。
(2)障害福祉サービス等情報公表システム(WAM NET)で詳細情報を入力する
情報公表システムから受け取ったID・パスワードでログインして、事業所・サービスの詳細内容を入力しましょう。事業者が入力した情報を都道府県等が受理して確認作業が完了すると情報が公表され、「障害福祉サービス等情報検索」で検索可能になります。
報告内容に不足がある場合には差し戻しになり、修正・再報告が必要です。虚偽報告が疑われる場合には必要に応じて訪問調査を実施し、結果が公表されます。
・各都道府県等により、必須/任意の報告事項が異なります。
・前年度と情報に変更がない場合でも、毎年度の報告が必要です。
(3)報告時期
新規:報告年度の4月1日以降に新たに事業所の指定を受ける場合は、指定を受け、情報公表システムからのログインIDとパスワードの通知が届いた日から約1か月以内に報告します。
更新:既に事業所の指定を受けて報告をしている場合も、情報公表システムを通じて年1回は登録内容の更新が必要です。
変更:基本情報に変更がある場合は、その都度報告が必要です。
Q&A
Q1.指定障害福祉サービス事業所等の指定の更新に係る申請があったときは、当該申請に係る事業者から障害者総合支援法第 76 条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていることを確認することとされているが、必須の報告項目が一部でも未報告の場合、指定の更新はされるのか?
A1.指定の更新の申請があった際、情報公表に係る必須の報告項目の一部又は全部が未報告である場合には、都道府県等において、未報告の事情を個別に確認し、適切に報告が行われるよう指導した上で、更新の手続を行うこと。ただし、事業所が報告することができないやむを得ない事情があると判断した場合は、必須項目の一部又は全部が未報告であっても指定の更新を行って差し支えな
い。
Q2.情報公表未報告減算は、年に1回の更新が必要であるが、新規指定時以降、一度でも公表しており、年に1回の更新が行われていない場合は減算の対象となるのか。
A2.新規指定時以降、情報公表制度に基づく報告を行っていれば減算の対象とはならないが、情報公表対象サービス等情報に変更が生じた場合の更新についても、利用者への情報提供等の情報公表制度の趣旨も踏まえ、適切に対応いただきたい。
まとめ
今回は令和6年度から始まった情報公表についてご紹介しました。情報公表されることで利用者にとっては事業所を探す際に助けになります。このような情報が整理されることは利用者と事業所ともにメリットになっていくと思います。
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