今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。障害福祉事業の報酬改定がにより、令和7年4月からグループホームが必要となる会議と訪問の受け入れが必要となりした。どのような会議をするのかを確認しましょう。
地域推進会議とは
地域連携推進会議は、施設等と地域が連携することにより、以下の目的を達成するため
の、地域の関係者を含めた外部の方が参画する会議体です。
・利用者と地域との関係づくり
・ 地域の人への施設等や利用者に関する理解の促進
・ 施設等やサービスの透明性・質の確保
利用者の権利擁護
設置の目的
(1)利用者と地域との関係づくり
施設等の利用者が地域の一員として生活を送るためには、利用者と地域との関係づくりが重要です。会議や構成員による施設等への訪問を通じて、利用者と地域の人との顔の見える関係を構築することで、日頃からお互いに声を掛け合えたり、利用者が地域行事に参加しやすかったりするような、利用者が地域の中でより良い生活を送るための関係づくりを目指します。
(2)地域の人への施設等や利用者に関する理解の促進
地域連携推進会議は、その名称からもわかるように、会議の開催や会議の構成員による施設等への訪問を実施することにより、地域に開かれた施設等になることを目指す会議体です。地域に開かれた施設等となることで、施設等や障害のある方の施設等での生活に対する理解を促進するとともに、施設等やその職員と地域の人との繋がりづくりを推進することを目的としています。
また、施設等の職員が地域の人を知るきっかけにもなり、施設等と地域の人の双方向による理解醸成が図られます。こうして地域との連携が深まることで、地域での事業運営がしやすくなり、効果的な事業運営に繋がることが期待されます。
(3)施設等やサービスの透明性・質の確保
障害福祉サービスの質の確保・向上については、従来から重要な課題として様々な議論がなされてきました。基本的には、人員、設備及び運営に関する基準において、質が担保されている一方、サービス類型ごとに更なる質の向上の取組みがなされています。
例えば、児童発達支援や放課後等デイサービスについては、支援の質の向上を図るため、独自のガイドラインが策定されています。また、日中サービス支援型のグループホームは、地域に開かれたサービスとすることにより、当該サービスの質の確保を図るため、(自立支援)協議会に対し定期的に事業の実施状況を報告し、評価を受けるとともに、当該協議会から必要な要望、助言等を聴く機会を設けなければならないこととされています。
通所系のサービスと比較すると、外部の目が入りにくくなりがちな施設等を運営する事業者についても、地域に開くことにより施設等の運営やサービスの透明性を確保するため、地域の関係者等を含めた構成員による地域連携推進会議の開催及び当該構成員が地域連携推進員として施設等を訪問する仕組みの構築が重要となります。
(4)利用者の権利擁護
施設等では、利用者が障害により言葉で意見を伝えることが難しい場合も多いため、利用者の思いがサービスに活かされているか、利用者が希望する生活を送ることができているかなど、会議の中で話し合われることが重要です。なお、意見表出そのものが難しい利用者に対して、施設等側としても利用者の意思決定支援にどのように取り組んでいるか等を、地域の人に伝える良い機会にもなります。
会議の構成員と人数
地域連携推進会議の目的を踏まえて、会議の構成員は、利用者、利用者家族、地域の関係者、福祉に知見のある人、経営に知見のある人、施設等所在地の市町村担当者などを想定しており、有意義な意見交換ができる人数として、5名程度が望ましいです。
会議の目的を達成するため、構成員には、利用者、利用者家族、地域の関係者は必ず選出することが必要となります。
会議の開催頻度
地域連携推進会議の開催については、施設等の負担を考慮しつつ、目的を達成するための回数として、最低でも施設等内での会議を年1回以上、施設等への訪問を年1回以上実施することが必要です。会議は対面実施、訪問は施設等への現地訪問を原則としつつ、構成員の都合等によりオンラインで行うことも可能です。
地域連携推進会議の設置は、指定を受けた事業所単位となります。つまり、会議は法人で1回とすることが出来ます。しかし、地域連携推進員が訪問は各GHごとに必要となります。これは、、全ての共同生活住居に外部の目を入れ透明性を確保することが必要だからです。
会議の議題の内容
会議の議題については、目的を達成するための議題を設定することが必要です。また、施設等側からの一方的な報告にならないよう、構成員と双方向で意見交換できる議題が望ましいです。構成員と施設等職員が率直に意見交換し、お互いに気付きを得る機会とすることやお互いの連携を通じて、より良いサービスの提供につなげるといった意識で会議を運営してください。
【議事次第例】
1.施設等・地域の連携(40分)
・障害についてレクチャー
・近隣からの苦情等の共有
・地域行事のご案内
2.施設等やサービスの透明性・質の確保(40分)
・利用者の日常生活の様子について
・経営状況の報告
・BCP(業務継続計画)の策定状況について
3.利用者の権利擁護(40分)
・虐待、事故、ヒヤリハットの報告
・支援者の様子
・利用者の意向アンケート結果
※厚生労働省参照
地域連携推進会議における利用者の個人情報の取扱い
利用者及び利用者の家族の意向確認
施設等は、地域連携推進会議を実施するに当たり、すべての利用者や利用者の家族に対して、会議や施設訪問を通じて、利用者が地域の方と顔を合わせ、地域の方との関係をつくることについて意向を確認してください。
地域の方との関係づくりを望まない利用者を無理に会議に出席させたり、構成員による施設訪問の際にその利用者が構成員と顔を合わせたりすることは、当事者の権利擁護や個人情報の保護の観点からも望ましくありません。
構成員における利用者の個人情報の秘密保持
利用者の個人情報の保護を図るためには、各構成員にも、利用者の個人情報保護の必要性を理解していただくことが重要です。構成員に就任いただくに当たって、利用者の個人情報の秘密保持に関する約束をしていただくことが必要です。
秘密保持に関する約束については、構成員に就任いただく際に、構成員から施設等に提出していただく「地域連携推進会議 参加承諾書」」で秘密保持について確認しましょう。
会議資料における個人情報の取扱い
会議資料作成の際には、個人名や個人が特定される情報の記載を避けるとともに、記載内容から個人が特定されないよう、個人情報には、十分に留意することが必要です。
なお、利用者や利用者の家族から同意を得た上で会議や会議資料等で個人情報を取り扱う場合でも、会議終了後に個人情報が記載された資料を回収するなどの配慮を行う必要があります。
まとめ
令和7年4月から始まるグループホームの地域推進会議は各自治体もどのように運営していくのかを協議が進んでいます。ご自身の事業所の自治体の状況を確認してみましょう。
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