【障害福祉サービス 運営指導のポイント:確認される書類】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害福祉事業の3年に1回行われる運営指導についてご紹介します。運営指導時に必要な書類をご紹介しますので、是非事前に準備をすすめましょう。

運営指導に関するポイント

指定権者は、主に以下の項目について確認を行います。ただし、あくまでも一般的な目安となります。

指定権者が確認する書類

運営指導時に確認される主な書類には以下のようなものがあります。

1.人員関連勤務体制一覧表やタイムカード
給与台帳、給与明細
職員の雇用契約書
秘密保持契約書
雇用保険関連書類
健康診断の記録
研修計画とその記録
2.サービス関連重要事項説明書
利用契約書
個人情報同意書
アセスメント
個別支援計画
モニタリング
契約内容報告書
3.運営関連運営規定
事故発生報告書
各委員会の設置、報告書
BCP関係
虐待防止・身体拘束適正化関係書類
加算の要件を満たすことを示す書類
苦情・事故・感染症対応など各種マニュアル
4.請求関連法定代理受領通知
利用者への請求書、領収書
実績記録表
5.その他賠償責任保険の書類
会計書類

これらの書類は、適切に作成・保管されているだけでなく、その内容が実際のサービス提供と整合しているかも確認されます。

人員関連のポイント

勤務一覧表(予定・実績)

  • 事業所ごとに、月ごとの勤務一覧表(予定・実績)が作成され、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、兼務関係が明確になっているか。勤務一覧表によって毎月ごとに人員基準をクリアしているかどうか確認しているか。
  • 出勤簿と賃金台帳と勤務表(実績)の整合性がとれているか。

職員(従業者)の勤務状況等の確認できるもの

  • タイムカード・出勤簿が保管されているか
  • 雇用契約書・労働条件通知書(勤務する職種の記載があるか。「職業指導員」など)が整備されているか
  • 就業規則が整備されているか(従業員10人以上は労働基準監督署に提出)
  • 就業規則の週所定労働時間が明確となっているか?常勤時間の根拠となる数字なので明確に記載すること
  • 労働安全衛生規則に基づき、従業者の健康診断が適切に行われ、健康状態の管理をしているか。健康診断は、雇入れ時と定期の健康診断が必要
  • 労働安全衛生規則において健康診断の実施が義務付けられていない従業者(常勤の3/4以上勤務する者)についても健康状態の把握が行われているか
  • 人事異動によって職種を変更する場合は「辞令」を作成しているか。例えば、職業指導員から生活支援員へ変更する場合に、そのタイミングで辞令が交付されていること
  • 従業者等について、業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を在職中及び退職後においても漏らさないよう、誓約書等を交わしているか
  • 利用者及び個人の情報を管理し、使用する可能性のある家族それぞれから個人情報の利用同意をとっているか

職員(従業者)の資格証

  • 職員(従業者)の履歴書が適切に保管されているか
  • サービス提供責任者・サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者では、経歴書・研修修了証・実務経験証明書が保管されているか
  • 介護福祉士等もっている職員がいればそのコピーを保管しておくこと(有資格者の割合により加算を取得している場合は必須)

研修計画(1年間のスケジュール)

  • 人権研修を含んだ研修が計画され、実施されているか
  • 利用者、利用する障がい児の人権の擁護、虐待の防止等に関する研修を行っていること(少なくとも年1回)
  • 年間の研修計画の作成等により、従業者に対して計画的に研修の機会が設けられているか
  • 研修の記録が作成され、研修に参加できなかった従業者にも研修内容が共有されているか

サービス関連のポイント

重要事項説明書や個別支援計画は当然なので割愛します。

支援記録

サービス提供日(時間)、サービスの具体的内容、実績時間数、利用者(給付決定保護者)へ伝達すべき必要な事項をサービス提供の都度、記録しているか

サービス提供実績記録票

サービス提供実績記録票に、サービスの都度、利用者(給付決定保護者)から確認(印)をもらっているか。実績をその都度記録し、その都度、利用者(給付決定保護者)より確認をもらうこと

運営関連のポイント

各種対応マニュアル

  • 苦情対応マニュアル、事故防止マニュアル、緊急時対応マニュアル、感染症対応マニュアルが整備されているか
  • その他、必要と思われるマニュアルが整備されているか
  • 利用者、障がい児又は他の利用者、障がい児の生命又は身体を保護するため、緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束その他利用者の行動を制限する行為(身体拘束等)を行っていないか
  • やむを得ず身体拘束を行う場合には、その必要性や態様及び時間、その際の利用者、障がい児の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を個別支援計画において明確にしているか。

苦情対応記録簿、事故・ひやりはっと報告に関する記録

  • 些細な内容(ご意見やご要望を含む)であっても、苦情相談を記録し、苦情相談の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取り組みが行われているか
  • 利用申込等に対して正当な理由がなくサービス提供を拒んでいないか
  • サービス提供が困難な場合にその代替措置(他事業所の紹介等)をしているか?その経緯等について記録していること
  • 事故やヒヤリハットを記録し、再発防止に向けた取り組みが行われているか
  • 事故(骨折、3針以上の縫合が必要な裂傷、個人情報の紛失)について、利用者(給付決定保護者)の支給決定を行った市町村に報告しているか

請求関連のポイント

  • 明細書(確認リスト)紙媒体をファイリングしているか
  • 法定代理受領通知を利用者(給付決定保護者)に送っているか
  • 利用料、その他費用の受領の際に、支払い方法に関わらず領収証を交付しているか
  • 利用料以外の費用を受領するにあたり、あらかじめ文書(重要事項説明書等)で同意を得ているか

まとめ

今回は運営指導時に確認される書類をまとめてみました。今回ご紹介した書類は指導担当によっても違いが出ますので一般的に必要となる書類とお考え下さい。運営指導時に急いで準備するのではなく日頃から整備していることが重要ですね。

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