【障害福祉サービス 運営指導のポイント:就労継続支援A型・B型】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害福祉事業の3年に1回行われる運営指導についてご紹介します。今回は就労継続支援A型とB型をピックアップし運営指導のポイントをまとめていますので是非確認しておきましょう。

運営指導に関するポイント

指定権者は、主に以下の項目について確認を行います。ただし、あくまでも一般的な目安となります。

実習の実施

●施設外のサービス提供又は施設外就労を含めた個別支援計画が事前に作成されていない。
●施設外支援、施設外就労の提供が、当該事業所の運営規程に位置づけられていない。
●施設外支援において、施設外でのサービス提供中の状況等について、日報を作成していない。
●施設外就労において、施設外就労先の企業と請負作業に関する契約を締結していない。

雇用契約の締結等(就労継続支援A型のみ)

●就労継続支援A型事業において、利用者と雇用契約を締結していない。(就労継続支援A型及びB型を多機能型
事業所として運営している場合は、A型の利用者とは全員雇用契約を締結しなければなりません。(雇用契約によらない利用者を除く)
●就労継続支援A型(雇用契約あり)の利用者を、最低賃金の額を下回る賃金で就労させていた。(労働基準監督署より最低賃金の減額の特例を受けた場合は除く。)
●就労継続支援A型(雇用契約あり)の利用者を、雇用保険等に加入させていなかった。

賃金及び工賃(就労継続支援A型のみ)

第192条 指定就労継続支援A型事業者は、第190条第1項の規定による利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことを支援するため、賃金の水準を高めるよう努めなければならない。
2 指定就労継続支援A型事業者は、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額が、利用者に支払う賃金の総額以上となるようにしなければならない。
3 指定就労継続支援A型事業者は、第190条第2項の規定による利用者(以下この条において「雇用契約を締結していない利用者」という。)に対しては、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。
4 指定就労継続支援A型事業者は、雇用契約を締結していない利用者の自立した日常生活又は社会生活を営むことを支援するため、前項の規定により支払われる工賃の水準を高めるよう努めなければならない。
5 第3項の規定により雇用契約を締結していない利用者それぞれに対し支払われる一月当たりの工賃の平均額は、三千円を下回ってはならない。
6 賃金及び第3項に規定する工賃の支払いに要する額は、原則として、自立支援給付をもって充ててはならない。ただし、災害その他やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

工賃の支払い等(就労継続支援B型のみ)

第201条 指定就労継続支援B型の事業を行う者(以下「指定就労継続支援B型事業者」という。)は、利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。
2 前項の規定により利用者それぞれに対し支払われる一月当たりの工賃の平均額(第四項において「工賃の平均額」という。)は、三千円を下回ってはならない。
3 指定就労継続支援B型事業者は、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことを支援するため、工賃の水準を高めるよう努めなければならない。
4 指定就労継続支援B型事業者は、年度ごとに、工賃の目標水準を設定し、当該工賃の目標水準及び前年度に利用者に対し支払われた工賃の平均額を利用者に通知するとともに、都道府県に報告しなければならない。

就労系サービスにおける令和 6 年度制度改正に伴う見直し

①就労系障がい福祉サービスを一時的に利用する際の評価(就労継続支援A型・就労継続支援B型)

一般就労中の障がい者が就労継続支援を一時的に利用する際の評価について、就労継続支援A型の基本報酬を算定する際のスコア評価項目における平均労働時間の計算や、就労継続支援B型の基本報酬を算定する際の平均工賃月額の計算から、当該障がい者の労働時間と工賃を除くこととします。

②休職期間中に就労系障がい福祉サービス等を利用する際の対応(就労移行支援 ・ 就労継続支援A型・就労継続支援B型・生活介護・自立訓練)

一般就労中の障がい者が休職期間中に就労系障がい福祉サービスを利用する際、当該休職者を雇用する企業や医療機関等による復職支援の実施が見込めない場合等の現行の利用条件や、一般就労中の障がい者が休職期間中に復職支援として生活介護や自立訓練を利用する際の条件について、改めて事務連絡で周知するとともに、支給申請の際に、当該障がい者の雇用先企業や主治医の意見書等の提出を求めることとします。

③施設外支援に関する事務処理の簡素化(就労移行支援及び就労継続支援A型・就労継続支援B型)

施設外支援について、通知を改正し、1ヶ月ごとに個別支援計画について見直しが行われている場合に、報酬を算定することとなりました。

就労継続支援 A 型

経営状況の改善や一般就労への移行等を促すため、スコア方式による評価項目について、以下のように見直すとともに、通知を改正し、情報公表制度におけるスコアの公表の仕組みが設けられました。
・事業者の経営改善への取組が一層評価されるよう、「生産活動」のスコア項目の点数配分を高くするなど、各評価項目の得点配分の見直しが行われました。
・労働時間の評価について、平均労働時間が長い事業所の点数が高く設定されました。
・生産活動の評価について、生産活動収支が賃金総額を上回った場合には加点、下回った場合には減点されます。
・利用者の知識及び能力の向上のための支援の取組を行った場合について新たな評価項目が設けられました。
・経営改善計画書未提出の事業所及び数年連続で経営改善計画書を提出しており、運営基準を満たすことができていない事業所への対応として、自治体による指導を行うとともに、経営改善計画に基づく取組を行っていない場合について新たにスコア方式に減点項目が設けられました。

就労継続支援 B 型

①平均工賃の水準に応じた報酬体系の見直し
・工賃の更なる向上のため、平均工賃月額に応じた報酬体系について、平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価を引上げ、低い区分の基本報酬の単価が引下げられました。
・「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系について、収支差率を踏まえて基本報酬を見直し、短時間の利用者が多い場合の減算が設けられました。
・多様な利用者への対応を行う事業所について、さらなる手厚い人員配置ができるよう、新たに人員配置6:1の報酬体系が創設されました。
・6:1の基本報酬の創設に伴い、目標工賃達成指導員配置加算の要件を見直すとともに、目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、工賃向上計画に基づき、工賃を実際に向上させた場合に加算で評価されます。
②平均工賃月額の算定方法の見直し
事業所の中には、障がい特性等により利用日数が少ない方を多く受け入れる場合があることを踏まえ、通知を改正し、基本報酬を算定する際の平均工賃月額の算定方法について、平均利用者数を用いた新しい算定式が導入されました。
[見直し後]
前年度の平均工賃月額の算定方法は以下のとおり。
ア 前年度における工賃支払総額を算出
イ 前年度における開所日1日当たりの平均利用者数を算出
前年度の延べ利用者数÷前年度の年間開所日数
ウ 前年度における工賃支払総額(ア)÷前年度における開所日1日当たりの平均利用者数(イ)÷ 12 月により、1人当たり平均工賃月額を算出

まとめ

今回は運営指導時に就労継続支援がA型及びB型が確認しされる項目をご紹介しました。適切な運営がなされているか今一度確認しておきましょう。

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