【就労継続支援A型における労働基準法とは】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害福祉事業の中でも労働基準法との兼ね合いが必要となる就労継続支援A型について解説します。

就労支援継続A型とは

就労継続支援A型事業所は、障がいや疾患を抱える方々が雇用契約を結び、働くことを通じて安定した収入を得る場を提供する福祉サービスです。この事業所の仕組みは、利用者が労働基準法に基づいた雇用関係の下で就労する点が特徴です。
最低賃金以上の給与が保証されるため、一般就労に近い環境で働くことが可能です。また、職場での経験を通じてスキルを磨き、一般就労への移行を目指すことができます。
このサービスの目的は、障がい者が社会で自立した生活を送るための基盤を築くことにあります。事業所では、職業訓練だけでなく、生活面やメンタルヘルスに対する支援も行い、長期的な安定就労を支えています。

勤務時間や日数について

就労継続支援A型は事業所や仕事内容によって、勤務時間や日数が異なります。中には、体調の状況や希望する収入などを踏まえて、勤務時間を調整してくれる事業所もあります。
例えば、ある事業所では「週3日利用で1日7時間」というところもあれば、ほかの事業所では「週5日利用で1日6時間」というところもあります。多くの事業所では、週3日~5日、1日5~7時間程度働いている方が多いようです。
また、労働基準に基づいた勤務時間1日8時間、週40時間を超えて労働はなく、法定休日→主に「週2日休み」か「月8日休み」の2パターンが採用されています。また、雇用契約であるため、勤務時間を超えた場合は残業代も支給されます。

その他、一般の会社と同様に労働基準法の労働者の年次有給休暇に関する規定を満たすことで有給休暇が付与されます。

給料(賃金)や手取りについて

就労継続支援A型事業所は、雇用契約に基づき働くため、法律で定められた最低賃金が保障されています。さらに、就労継続支援A型は雇用契約を結ぶため、一般企業と同様に、一定の条件を満たした場合、社会保険・雇用保険などが適用されます。適用された場合、雇用保険料、健康保険料や厚生年金料などが天引きされた額を受け取ることになります。

福利厚生と制度

就労継続支援A型事業所には、従業員の福利厚生を充実させるための取り組みがなされています。
勤務条件や福利厚生は事業所によって異なりますが、交通費支給や休暇制度、各種研修やレクリエーションなどの制度が用意されているところもあります。

就労継続支援A型の利用料がある

就労継続支援事業の利用料が発生するため注意が必要です。利用料は利用者の世帯収入や利用する事業所によって金額が異なります。利用者は1割負担で利用できます。また、自己負担上限額が定められているので、上限額以上の負担はありません。

就労継続支援A型事業所での仕事内容は?

基本的に一般就労と大きな違いはありません。利用者への負担がかからないよう、1日の労働時間は4〜8時間と比較的短時間なのが一般的のようです。
事業所によって仕事内容は異なりますが、下記のようにさまざまな業務があります。

  • カフェやレストランなどのホールスタッフ
  • パソコンを使ったデータ入力動画編集などのデスクワーク
  • ホテルやビルの清掃業務
  • 配達、宅配業務
  • 小物やアクセサリーの制作、販売業務 など

就労継続支援A型の支援内容は?

事業所には生活支援員や職業指導員など専門のスタッフがいます。下記のような支援を受けられるので、安心して働けます。

  • 生産活動の支援
  • 就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練
  • 一般就労を目指す利用者への就職活動支援
  • 自立した日常生活・社会生活を営むための支援
  • 利用者の相談支援
  • その他

就労継続支援A型の対象者

就労継続支援A型は、原則18歳以上65歳未満で、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害や難病があり、次のような条件を満たすことによって、利用することができます。

・就労移行支援事業を利用したが、就職が決まらなかった。
・特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、就職が決まらなかった。
・企業等で働いた経験はあるが、現在、就職していない。などがあります。

就労継続支援A型には利用期間や利用期限は定められていません。事業所と雇用契約が続く限り、働くことが可能です。ただし、雇用契約を結ぶ際に契約期間が書かれている場合も考えられますので、事前に雇用契約の内容について確認しておきましょう。

まとめ

今回は就労継続支援A型についてご紹介しました。就労継続支援A型は雇用契約を結ぶために労働基準法の適用がされます。そのため、最低賃金や有休、社会保険の加入など一般企業に近い形での支援を受けることになります。事業所側は労働基準法に注意して支援していきましょう。

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