【地域の相談体制:重層的支援体制とは】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害支援の地域づくりの概念である重層的相談支援体制についてご紹介します。各自治体によって形が違いますが、考え方を確認しておきましょう。

重層的相談支援体制とは

本事業は、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号。以下「法」という。)第 106 条の4第2項に基づき、市町村(特別区、広域連合及び一部事務組合を含む。以下同じ。)において、対象者の属性を問わない相談支援、多様な参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施することにより、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を整備することを目的とする。

3つのアプローチ

重層的支援体制整備事業は、大きく3つの支援のアプローチで説明されています。①相談支援、②参加支援、③地域づくり支援です。本事業では、前節で整理した地域共生社会における伴走支援の考え方を踏まえ、人と人、人と地域をつなぐことの重要性が考え方として一貫しています。

①相談支援についても、単に窓口を設置して相談者を待つということではなく、生活課題を抱えた人や世帯が地域の適切な専門職に相談できるような地域環境を作っていくことも含め、地域の人と人の継続的なつながりを重視しています。通いの場などにおける人間関係が続くことで相談につながるケースも想定されますし、専門職の関わりも、いきなり相談に持ち込むのではなく、時間をかけて信頼関係を築きながら支援していく場合もあるでしょう。多機関協働やアウトリーチなどを通じた継続的な支援を強化し、専門職側も分野を越えた支援体制を作っていきます。

② 地域づくりは、行政が「つくる」というよりは、すでに地域の中にあるもの、地域の中で動き出しているものが多数あることを前提に、事業としては、話し合いのプラットフォームづくり、側面的な支援や、ちょっとだけ背中を押すような支援を重ねていくことがイメージさ多機関協働では、適切な他団体や専門職につなぐことが意識されるが、常に伴走し、支援全体を俯瞰している人も必要。支援者・支援団体① (支援全体を俯瞰する人・組織)支援者・支援団体②ケースによっては、一時的に他機関につないでも、その課題への対応が終わった時、再び元の支援者が伴走するよう「戻る」仕組み(つなぎ・もどし)を作っておくことも大切。

③地域の「場」・社会参加参加支援によって地域住民とのつながりをつくることで、支援が終結が終結しても定期的な関わりを持つことで伴走しつづける。地域と専門職が定期的につながりながら、地域住民同士のゆるやかな見守りの中で伴走が続いていく。
計画的に特定の通いの場などを地域全体に広く整備していくというよりは、地域の中で意欲のある人やニーズがあるところにピンポイントで支援をしていくイメージです。
○ 参加支援は、こうした地域づくりで生まれた場と対象者つなぐための機能です。そして今ある地域資源につなぐだけでなく、個人のニーズにあった場所を探し、必要ならば、個別につなぐよう支援してくことも含まれています。就労支援などでは、単に受け入れ企業を探すというだけでなく、受け入れやすくなるような側面的支援を展開することもイメージされています。

障害福祉分野の相談支援体制について

障害福祉分野の相談支援体制は3層構造になっています。

第1層:基本相談支援を基盤とした計画相談支援

障害者やその保護者からの相談に応じ、必要な情報提供や市または障害福祉サービス事業所との連絡調整を行い、必要性によっては障害福祉サービスの利用申請の支援及びサービス等利用計画の作成を行います。

計画相談支援とは

計画相談支援とは、市区町村から指定を受けた事業者が、障害者総合支援法で定められた障害福祉サービスを利用するために必要な「サービス等利用計画」という書類の作成や定期的な障害福祉サービスの利用状況の確認をするサービスのことです。相談支援事業所には「特定相談支援事業所」「一般相談支援事業所」と2種類あり、両方とも支援を行ってい事業所もあります。

・特定相談支援事業所は、障害福祉サービスの利用に焦点を当てた相談や支援を提供。
一般相談支援事業所は、地域生活への移行や総合的な生活支援に焦点を当てた相談。

第2層:一般的な相談支援

  • 福祉サービスの利用援助(情報提供、相談等)
  • 社会資源を活用するための支援(各種支援施策に関する助言・指導)
  • 社会生活力を高めるための支援
  • ピアカウンセリング
  • 権利擁護のために必要な援助
  • 専門機関の紹介

委託相談支援事業所とは

市町村からの委託を受けて、障害のある方やその家族に対して、福祉サービスの利用や生活上の困りごとに関する相談や情報提供などを行う事業所です。指定相談支援事業所と連携して、地域の相談支援体制の強化や地域移行や地域定着の促進などを目的としています。日常生活圏域に開設されており、身近な地域での総合的な相談・支援を受けることができます。

第3層:地域における相談支援体制の整備や社会資源の開発など

  • 総合的・専門的な相談の実施
  • 地域の相談支援体制強化の取り組み
  • 地域の相談事業者への専門的な指導助言、人材育成
  • 地域の相談機関との連携強化
  • 地域移行の地域定着の推進の取り組み
  • 権利擁護・虐待の防止

基幹相談支援事業所とは

基幹相談支援センターは、障害者や生活困難を抱える人々の相談を受け付ける窓口であり、通常の相談支援事業所とは異なり、具体的な障害福祉サービス利用につながらない相談事項にも対応し、地域全体の支援力を底上げする役割を担っています。市町村直営や社会福祉法人が運営しています。

まとめ

今回は地域の相談体制となっている重層的相談支援についてご紹介しました。自治体によって様々な体制が組まれていますので、ご自身のお住まいの状況を確認してみましょう。

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