今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は福祉事業で関わりのある精神科病院に関する精神保健福祉法が令和6年度に改正されましたので、ご紹介します。
外国人労働者を障害福祉事業に雇用できる
平成31年4月から在留資格「特定技能」により介護労働者を海外から受け入れることができます。「介護分野における業務を行わせる事業所の概要書」の施設種別コード表を見てみると、障害者総合支援法関係の施設・事業として、生活介護、グループホーム、就労移行支援や就労継続支援事業等が記載されています。また、児童福祉法関係の施設・事業としては、児童発達支援、放課後等デイサービス、障害時入所施設等も記載されているため、障害児・者についての事業でも受け入れが可能なことがわかります。
職員数が少なくなることにより、職員一人一人にかかる負担や事故の発生率は上がります。外国人労働者を受け入れて大事に育成し、十分な人員を確保することができればより良いサービスの提供につながります。
特定技能「介護」とは
特定技能「介護」とは、外国人が日本で介護人材として働くことを認める在留資格のひとつです。現在日本には、外国人介護人材を受け入れるための枠組みとして、経済連携協定(EPA)・在留資格「介護」・在留資格「技能実習」・在留資格「特定技能」の4つの制度があります。介護分野で外国人材を採用するための4つの制度のうち、EPAや在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格取得が必要となる点や、技能実習で座学の研修を受けなくてはならない点にハードルがあり、人材不足に十分に対応できないことが課題とされていました。
一方、特定技能「介護」は、筆記での技能試験や日本語試験に合格すれば在留資格を得られるため、介護人材不足への迅速な対応策として大きな期待が持たれています。
特定技能介護の受け入れ施設の要件
特定技能の外国人材を受け入れる施設は、出入国在留管理庁により以下の要件を満たすことが義務付けられています。
- 労働、社会保険および租税に関する法令を遵守している
- 1年以内に特定技能外国人および同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていない
- 1年以内に受け入れ機関の責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させていない
- 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないことなど)に該当しない
- 特定技能外国人の活動内容に関する文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上保管する
- 外国人等が保証金の徴収などをされていることを認識して雇用契約を締結していない
- 違約金を定める契約などを締結していない
- 支援に必要な費用を直接または間接的に外国人に負担させていない
- 労働者派遣の場合は、派遣元が当該分野に関わる業務を行っている者かつ適当と認められる者であるほか、派遣先が1~4の基準に適合している
- 労災保険関係の成立の届出などの措置を講じている
- 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されている
- 報酬を預貯金口座への振込などにより支払う
- 分野に特有の基準に適合する
特定技能「介護」の受け入れを検討する場合は、受け入れ先施設や事業が上記の要件を満たしているか、事前に確認しましょう。
特定技能介護を受け入れる際の注意点
特定技能「介護」の外国人材を受け入れる際は、いくつかのポイントを理解した上で、適切な対応が重要です。以下で、特定技能「介護」を受け入れる際の注意点を3つ紹介します。
雇用形態
特定技能「介護」の制度を利用する外国人の雇用条件は、直接雇用かつフルタイムのみです。派遣契約やアルバイト・パートなどの雇用形態は認められていないため、適切な条件で雇用契約を行ってください。
報酬
特定技能「介護」の制度で受け入れる外国人に対しては、同じ業務に従事する日本人等の常勤介護職員と同等またはそれ以上の報酬を支払う必要があります。
また、所定労働時間や教育訓練の実施、福利厚生などに関しても、外国人であることを理由とした差別的扱いは容認されていないため、日本人等の常勤介護職員と同等の待遇を用意しましょう。
受け入れ人数
ひとつの事業所で、日本人等の常勤介護職員の総数を超える特定技能「介護」の外国人は雇用できません。
「日本人等」の区分には、EPA介護福祉士や在留資格「介護」の制度を利用して在留する外国人、永住権を持つ外国人、日本人の配偶者にあたる外国人などが含まれます。技能実習生や留学生、EPA介護福祉士候補者は「日本人等」には含まれないため注意が必要です。
まとめ
今回は障害者施設の人材不足を補うための施策として特定技能をもった外国人労働者の雇い入れについてご紹介しました。日本が少子化・超高齢化社会である今、必要な対策となってくると思いますので、体制を整えていきましょう。
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