【障害福祉サービス:特定技能と技能実習の違い】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は技能訓練から特定技能への移行手順についてご紹介します。

技能実習と特定技能の違い

「技能実習」制度の目的は「技能移転による国際貢献」であり、技術を日本に学びに来ています。そのため技術を必要としない単純労働をすることは認められていません。母国へ帰ることが前提なので、家族帯同などもありません。一方、「特定技能」は外国人を労働力として受け入れることが前提の在留資格ですので、単純労働が可能で、幅広く働くことができます。

技能実習

目的:技能移転による国際貢献

永住権をとるためのルート:技能実習のままの場合は、日本人の配偶者がない限り、不可能。特定技能へ移行した場合は、特定技能から永住権を取得可能。

関与する主体:外国人本人(技能実習生)送り出し機関、受け入れ先機関(企業)、監理団体技能実習機構。

特定技能

目的:労働力の確保

永住権をとるためのルート:特定技能1号→2号→永住者というルートで、永住権の取得を目指すことが可能。

関与する主体:外国人本人企業

「技能実習」から「特定技能」へ在留資格を移行することができます。以下2つのどちたかを満たす必要があります。

・「技能実習2号」を良好に修了または、「技能実習3号」の場合は実習計画を満了
・「技能実習」での職種/作業内容と、「特定技能1号」の職種が一致

技能実習を良好に3年間終了し(2号まで)、職種と作業内容が移行する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合は、技能試験と日本語試験が免除されます。技能実習時と異なる業務を行う場合でも、技能実習2号を良好に修了している場合は日本語試験が免除されます。

「技能実習」から「特定技能」への移行方法

企業が「技能実習2号」を持つ外国人を「特定技能」へ移行させる場合の手続きの例を以下に挙げます。

  1. 特定技能外国人と企業が雇用契約を締結
  2. 1号特定技能外国人支援計画を策定、または登録支援機関と委託契約の締結
  3. 契約締結前後に受入れ機関※などが実施する事前ガイダンスの実施、健康診断の受診
  4. 分野ごとの上乗せ基準、国ごとの手続きがあれば申請する
  5. 在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁に申請

※受入機関…特定技能外国人が所属する機関(企業)

【移行方法に関する注意点】

上記4にあるように分野ごと国ごとに要件がある場合があります。

1. 分野ごと上乗せ基準の例

例えば分野ごとの上乗せ基準として、建設業は報酬などを記載した「建設特定技能受入計画」について、国交省の認定を受けること、特定技能外国人を建設キャリアアップシステムに登録すること、外国人の受入れに関する建設業者団体に所属することなどが必要です。

新規申請、受入報告、変更申請などはオンラインで行う必要があり、言うなれば出入在留管理庁と国交省に二重に申請や届を行うイメージで、手続きも煩雑で費用もかかります。

2. 国ごとの要件の例

特定技能は現在13か国と二国間協力覚書を締結していますが、本国で許可や手続きが必要な場合があります。例えばベトナムは日本のベトナム大使館で推薦者表を得る必要があり、事前にベトナム大使館に対し申請が必要です。国によって手続きは異なりますので、こちらを参照してください。

参考:出入国在留管理庁|二国間協定での本国において必要な手続

技能実習が終わった後にすぐ特定技能として働いてもらうためには、分野ごと国ごとの要件の有無や手続き期間、出入国在留管理庁への申請期間を逆算し、余裕を持って準備することが必要です。

移行申請前に在留期限が切れてしまう場合の特例措置

「特定技能1号」の在留資格に変更予定だが、在留期間の満了日までに必要な書類を揃えることができない場合、「特定技能1号」で就労予定の受入れ機関で就労しながら、移行のための準備を行うことができる「特定活動(4か月)」への在留資格変更ができます。この特例措置の要件は以下のとおりです。

特例措置適用要件

  • 申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること
  • 申請人が「特定技能1号」で従事する予定業務に従事すること
  • 申請人が「特定技能」となった際に支払われる予定報酬額が支払われること
  • 申請人が技能実習2号良好修了者であること

まとめ

今回は技能訓練から特定技能への移行手続きについてご紹介しました。技能訓練には期間が決まっているため、引き続き日本で労働を続ける場合には特定技能への変更が必要となります。変更できる分野は決まっているため、当てはまっているのか確認しておきましょう。

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