【障害者雇用:障害者枠で仕事を受けるには】~行政書士試験合格者が解説~

福祉業務

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害者雇用として、障害者枠についてご紹介します。

障害者枠とは

ハローワークの求人には「一般枠」と「障害者枠」2種類の求人があります。「一般枠」とは、健常者が受ける枠のことを言います。(障害者でも、受けることは可能です)。一方、「障害者枠」とは、企業が障害者を雇用するために設けられた枠のことを言います。

障害者枠での求人を受けるには障害者手帳「身体障害者・療育手帳・精神保健福祉手帳」で障害認定をされている、または医師の診断書で障害があると診断されていることが「障害者枠」の条件に当てはまります。障害者手帳を持っている方は、「一般枠」と「障害者雇用枠」のどちらにも応募することが可能です。

障害者雇用枠と一般雇用枠の違い

採用となる対象者の違い

障害者手帳を取得すると、一般雇用枠で就職することが出来なくなると誤解されている方がいますが、そのようなことはありません。障害者雇用枠は、障害者手帳を持っていることが必須です。この点以外に、一般雇用枠との大きな違いはありません。雇用形態も障害者雇用枠と一般雇用枠で違いはありません。正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなどさまざまな形態から、本人の希望などをふまえて相談できます。

障害に対する配慮の受けやすさの違い

障害雇用総合支援法の改正(2016)により障害者手帳の有無(=障害者雇用かどうか)に関わらず、「本人から障害に対する配慮の要望があれば合理的配慮を行う」という企業の義務が法律で定められました。前提としては一般枠雇用であっても、障害の配慮は受けることができます。
障害者手帳を開示をすることは、”合理的配慮”を雇用主と検討するにあたって、配慮を得やすかったり、企業側が配慮できる範囲がより広くなることが期待できます。

給料の違い

障害者差別解消法において、障害者雇用を理由に一般雇用よりも給与を低くすることは禁じられています。しかし、実態として一般枠雇用と障害者雇用を比較すると、障害者雇用のほうが大きく給与が下回っています。障害があることを理由として、就業条件を不当に引き下げることは法律で禁止されていますが、業務の内容や、責任範囲、勤務時間などを理由とした就業条件が異なることで給与を低くすることは法律上認められています。
厚生労働省では障害者雇用のキャリアアップ、能力開発を課題に挙げており、障害者雇用でも一般枠雇用同様に、幅広い職種で、より広い権限をもって活躍する人が増えていくことが期待されます。

実習がある

障害者枠には基本的に「実習がある」とあります。もしくは、トライアル雇用がある職場もあります。実習の内容としては、企業側が実習用に用意した仕事をします。実際に、採用されたらするであろう、ルーティーンの仕事や任せられる仕事を実習することが多いです。期間は、だいたい2日~1週間の企業が程度で長いときで、半月だったり1ヶ月というところもあります。

障害者枠のメリット・デメリット

メリット

職場の人から障害を配慮してもらえる

障害者枠はその人に障害があることを前提とした雇用枠です。会社も障害を持つ人が来るとわかっているので、障害者に配慮した環境で働けます。たとえば一般の従業員より軽めの作業を割り振られたり、就労時間を調整してもらったりすることが可能です。職場によっては障害の症状が発生した際に、ちょっとした休息をもらうこともできます。

「バリアフリー完備」のような働きやすい環境で働ける

障害者枠を採用している企業は、一般的な企業と違って障害者が働きやすい環境を整えています。バリアフリーはもちろん、車いす利用者や視覚障害を持つ人も働ける環境が整っているので身体的にも働きやすいです。ただし、企業によって障害者を配慮した労働環境は異なります。

一般の人が利用できないので競争率が低い

障害者枠は障害を持つ人しか利用できません。一般枠の場合は応募者が多く、障害を持つ人の場合はハンディを負っているので内定をもらうのは簡単ではありません。しかし、障害者枠は障害を持つ人同士の戦いになるので、確率的に採用率も上がります。数字だけで見ると一般雇用枠で勝負するより、障害者枠を利用した方が内定を取りやすいです。

デメリット

求人数が少ない

障害者枠の求人数はまだまだ少ない傾向にあります。障害者枠は障害者雇用促進法によって増えつつありますが、現状ではまだまだ多くなく求人数や職種が限られています。障害者枠は一般雇用枠ほど大々的に募集していないので、タイミングや希望が合わない場合は就職できません。

キャリアアップが難しい

障害者枠は障害の問題で単純な仕事を請け負うことが多いです。たとえば、工場の軽作業や事務などの比較的簡単な職種で募集しています。簡単な仕事は誰でもできるという安心感がありますが、簡単なだけにキャリアアップは難しい現状があります。

給料が比較的に安い

障害の問題で単純な仕事を請け負うことや症状によって短時間労働になってしまうため給料が低い傾向にあり生活は苦しいです。そのため、障害者枠では生活できないと悩む障害者は後を絶ちません。

まとめ

今回はハローワークの求人で障害者枠についてご紹介しました。障害者枠のメリットとデメリットを考慮したうえで求人を選んでいきましょう。

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