今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。今回からの記事を読んでいただくことで、福祉事業の手助けになればと思います。今回は障害者雇用の促進・相談支援を行っている障害者就業・生活支援センターについてご紹介します。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害者の職業生活における自立を図るため、雇用、保健、福祉、教育等の関係機関との連携の下、障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行い、障害者の雇用の促進及び安定を図ることを目的として、全国に設置されています。
障害者雇用促進法
第二十八条 障害者就業・生活支援センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 支援対象障害者からの相談に応じ、必要な指導及び助言を行うとともに、公共職業安定所、地域障害者職業センター、社会福祉施設、医療施設、特別支援学校その他の関係機関との連絡調整その他厚生労働省令で定める援助を総合的に行うこと。
二 支援対象障害者が障害者職業総合センター、地域障害者職業センターその他厚生労働省令で定める事業主により行われる職業準備訓練を受けることについてあつせんすること。
三 前二号に掲げるもののほか、支援対象障害者がその職業生活における自立を図るために必要な業務を行うこと。
障害者就業・生活支援センターの業務
就業面での支援
就業に関する支援内容は次のとおりです。
①就業に関する相談支援
・就職に向けた準備支援(職業準備支援、職場実習の斡旋)
・就職活動の支援
・職場定着に向けた支援
②障害者の方の障害特性を踏まえ、事業所に対しての助言
③関係機関との連絡調整
生活面での支援
生活に関する支援内容には次のようなものがあります。
①日常生活・地域生活に関する助言
・生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等への助言
・住居、年金、地域生活、生活設計に関する助言
②関係機関との連絡調整
様々な支援機関との連携
安定した雇用・生活のために、様々な支援機関とも連携して支援して下さいます。
-ハローワーク(求職活動支援)
-地域障害者職業センター(専門的支援の依頼)
-特別支援学校(連携)
-職業能力開発施設(連携)
-事業主(職場適応支援)
-就労移行支援事業者等(基礎訓練の斡旋)
-福祉事務所(福祉サービスの利用調整)
-保健所(保険サービスの利用調整)
-医療機関(医療面の相談)
と連携します。
障害者就業・生活支援センターの利用
対象者
障害者就業・生活支援センターの利用対象者は、障害のある方です。具体的には、身体障害・知的障害・精神障害・発達障害のある方や難病の方など、就労を希望またはすでに就労されている方を対象にしています。障害については、必ずしも障害者手帳は必要ありません。診断が下りていなくても日常生活や社会生活に困難を抱えている方については、事前に利用の有無について、障害者就業・生活支援センターへご確認ください。
利用方法
今後の就職活動に対する不安や働くうえでの困りごとなど、就労に関してお悩みがある場合、最寄りの障害者就業・生活支援センターへ相談してみましょう。
障害者就業・生活支援センターによっては「ご本人が直接行って相談する」だけではなく、説明会や電話相談など実施しているところもあります。また障害者就業・生活支援センターのスタッフが自宅や職場などに出向いて相談に応じることができる場合もありますので、ご自身が相談しやすい方法から始めてみてもいいでしょう。予約が必要になる場合もありますので、事前に連絡をいれておくことをおすすめします。
相談機関の違い
① 障害者就業・生活支援センターの役割
就業にあたってのニーズや課題に応じて、その生活も含めた支援を行います。たとえば、職業訓練や職場実習のあっせん、求職活動での同行、就業後の生活面での支援など、さまざまな課題に関する相談先となるのが、障害者就業・生活支援センターです。
② ハローワーク
ハローワークの主な役割は、仕事の紹介で、「障害者専用窓口」も設置されています。ここで求職登録を行うと、障害について専門的な知識を持つ担当者から、仕事に関する情報を提供してもらえたり、具体的な就職活動の方法の指導してもらえたり、といった支援を受けられます。
③ 市区町村窓口などによる相談支援事業
地域生活をおくる上での相談、たとえば、衣食住や医療などの課題に関する相談に対応するのが、各市区町村の福祉課などが窓口となって行われている相談支援事業です。相談支援事業は、指定を受けた業者も行っていますが、そのような業者は、その他の障害福祉サービス、支援サービスも提供しているのが一般的です。「どのようなサービスがあり、どのようなサービスが利用できるのか」といった地域で生活をするために必要な情報を提供したり、専門機関を紹介したりといったことが、主な役割となります。
このように整理してみると、それぞれ担当している領域が異なること、だから、相談先も、課題によって異なることになることが理解できるのではないでしょうか。
まとめ
今回は障害者雇用を支援する障害者就業・生活支援センターについてご紹介しました。障害者の雇用について専門相談ができ、生活面を含めた支援を行ってくれます。障害をお持ちの方で、ハローワークの前段階の支援を必要とする場合は、障害者就業・生活支援センターに相談してみましょう。
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