今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
どんな事業を行うにしても利益が上がらないと継続することは出来ません。今回は障害福祉サービスのグループホームが利益の出る事業なのかについて考えたいと思います。
グループホームがどういった施設なのか興味がある方、今後グループホーム事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。
グループホームの社会的動向
グループホームの需要は近年増加傾向にあります。厚生労働省のデータによると、グループホームの利用者数は、令和元年11月時点の入所施設の利用者数を上回り、令和3年2月時点では約14万人に増加したとのことです。グループホームは、平成18年度に障害者自立支援法に該当するサービスとして位置づけられ、入所施設や精神科病院等から地域への移行するための施設となっています。
グループホームの収益は?

グループホームの収入は「報酬」として国から支払われます。
報酬の計算方法
単位数(基本サービス費+加算)×地域ごとの1単位の単価(地域区分)=報酬の総額
基本サービス費や加算の単位数は、インターネットで障害サービス費等の報酬算定構造と検索すれば調べることが可能です。
基本サービス費
共同生活援助の基本報酬は、入居されている方の障害支援区分(必要とされる標準的な支援の度合いを示す指標)により報酬単価が設定されています。
区 分 | 障害支援区分 | 報酬単位 |
---|---|---|
(Ⅰ)/(Ⅱ) | 区分6 | 600単位 / 717単位 |
区分5 | 456単位 / 569単位 | |
区分4 | 372単位 / 481単位 | |
区分3 | 297単位 / 410単位 | |
区分2 | 188単位 / 290単位 | |
区分1以下 | 171単位 / 273単位 |
なお、サービス費(Ⅱ)は、体験利用の場合の報酬単価です。
加算項目
人員配置体制加算:基準上の人員(世話人(※1)および生活支援員)に加え、特定従業者数換算方法により算定した数以上の世話人または生活支援員を配置した場合に算定
夜間支援等体制加算:夜間の連絡・支援体制が確保されている場合、加算されます。
福祉専門職員配置等加算:良質な人材の確保とサービスの質の確保の向上を図る観点から、以下の条件に応じて加算できます。
看護職員配置加算:常勤看護職員等の条件を満たし、指定権者に届け出た事業所は加算されます。
医療連携体制加算:医療機関との連携により、看護職員が事業所を訪問して利用者に対して看護を行った場合や介護職員に痰吸引等に係る指導を行った場合等に加算されます。
重度障害者支援体制加算:障害支援区分6であって、重度心身障害者等重度障害者等包括支援の対象となる方又は障害支援区分4以上の強度行動障害を有する方が利用している場合であって、指定基準に定める人員基準に加えて生活支援員等を加配するとともに、一定のサービス管理責任者又は生活支援員が一定の研修(強度行動障害支援者養成研修等)を修了している場合に、指定権者に届け出ることで、加算を算定できます。
医療的ケア対応支援体制加算:看護職員を加配している事業所において、医療的ケアが必要な方に対してサービス提供を行った場合
強度行動障害者地域移行特別体制加算:障害者支援施設に1年以上入院していた精神障がい者に対して、地域で生活するために必要な相談援助や個別支援等を、強度行動障害支援者養成研修修了者等が実施した場合に、1日あたり300単位を加算できます。
強度行動障害者体験利用加算:一定の研修(強度行動障害支援者養成研修等)を修了した者を配置しているとして指定権者に届けている事業所において、強度高度障がいを有する方に対し体験利用を実施した場合、1日あたり400単位を加算できます。
高次脳機能障害者支援体制加算:高次脳機能障がいを有する利用者が一定数以上であって、専門性を有する職員(高次脳機能障害支援者養成研修修了者等)が配置されている場合に、1日あたり41単位を加算できます。
自立生活支援加算:居宅における単身等での生活を本人が希望し、かつ、可能と見込まれる利用者の退去に向け、一人暮らし等に向けた支援を行った場合に加算を算定できます。
その他の収入
持ち家をグループホームとして活用する場合は、家賃料としての収入も加算されます。
グループホームの費用は?

次にグループホーム運営するうえでの費用を検討してみましょう。
人件費
管理者兼サービス管理責任者1名、世話人1人、生活支援員1人(仮定)
サービス管理者:30万円/月(社会保険料や交通費等込み)
世話人1人+生活支援員1人:40万円/月(社会保険料や交通費等、夜勤代込み)
営業代・雑費
利用者獲得のための交通費等や広告費などが必要になってきます。月に2万円程度を見込んでみましょう
光熱費等
光熱水費は利用者が負担するためほぼ一緒か若干のマイナスになると予想されます。
利益を計算(皮算用)
先ほどの収入と費用を仮定に基づいてけいさんしてみようと思います。
【設定】戸建てGHで4人利用者(区分4)
サビ管1人、世話人1人、生活支援員1人
収入 ((基本サービス費点+夜間加算336点×地域加算(堺市5級地10%)))×30日×4人=849,600円
費用
人件費70万円+営業・雑費2万円=72万円
1か月の利益 収入849,600円-費用720,000円=129,600円
年間利益 129,600円×12か月=1,555,200円
あくまで概算ですが、加算項目や利用者の区分によっても収益は大きく変わります。また、グループホームが2個あれば年間利益は倍となり300万円以上の利益となります。
まとめ
グループホームの収益を概算してみました。収益は固定化されやすいですが、加算項目などを上手く活用すれば概算よりも大きな利益で運営することが可能となります。ご自身でも様々な計算をして安定した運営が出来るように検討してみましょう。
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