前回までの記事で生活保護の制度について、法律を踏まえてご紹介していきました。様々な要件が決められていたと思います。今回はそんな中で生活保護申請または保護受給後についてよく質問される疑問についていくつかお答えしてみようと思います。意外と知らなかったと思うことがあるかもしれません。この記事を読むことで、より分かりやすく生活保護について知ることが出来ます。
生活保護を受給する際の疑問について
生活が苦しくて収入が少ない、預貯金も減ってきて不安、借金が多くて生活が苦しい、そんな時に誰も頼ることが出来ないと不安がより一層増すでしょう。生活保護制度って聞いたことはあるけど、自分が申請できるか分からないといった時に市町村役場まで行く勇気がない、どんな対応をされるか不安と思われる方も大勢いると思います。よく寄せられる疑問について簡単に解説していきます。
申請について
市役所まで行くことが出来ない。電話で申請できますか??
原則窓口申請が必要ですが、電話での申請意思を伝えることは可能です。その後ご自身の状態を伝え、出張での面談を希望しましょう。市町村役場の判断になりますが、電話で申請意思を伝えた日が申請日として取り扱われることがあります。
親族が電話で依頼した場合、本人の申請意思が確認できないため、出張での面談日が申請日になることがあります。また、出張面談で本人が申請の意思がない場合はトラブルのもとになるため注意しましょう。
大学生でも保護を受けれますか??
大学生は保護申請することは原則できません。なぜなら稼働能力を活用していないからです。大学を辞め、働くといった選択肢を取れば収入の足らず分を生活保護費で補う事はあります。また、未成年でも生活保護を受けることは出来るため、高校を中退して生活保護を受けることもできます。
外国籍でも保護申請できますか??
外国籍は生活保護の申請をしても却下されます。生活保護第二条「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。」とあります。すべての国民ですので、外国籍の方は対象外です。しかし、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という通知により生活保護に準じた保護を行うとなっています。この通知によると「出入国管理及び難民認定法に基づく在留カード、又は特別永住者証を呈示する」とあります。また申請先は在留カードまたは特別永住者証に記載されている居住地に生活保護を申請することになります。
資産について
持ち家に住んでいますが保護申請できますか??
持ち家がある場合は不動産の固定資産税評価格を確認されます。不動産税評価格が最低生活費の5年間分ほどの売却価値があると判断された場合は受けれません。大体2,000万円~3000万円程度と言われています。
しかし、そこまでの資産価値がなければ、持ち家に住み続けたまま保護を受けることが出来ます。持ち家を手放すと住む場所がなくなり困窮状態を招く恐れがあるからです。
ここで注意したいのはローン付き住宅は生活保護申請の対象外です。理由は生活保護費が借金返済に充てられ資産形成に繋がるからです。ローンがある場合は売却後の申請になるでしょう。
車を手放したくない
原則車の使用は禁止されています。しかし、住んでいる地域によっては、就労の通勤の必要性や障害者の病院通院・通学・通所のために認められることがあります。また、使用は出来ませんが、生活保護を概ね6カ月以内に脱却できる場合は車の処分を保留することができます。車は生活のために使用することが出来ないことや車の維持費も生活費から捻出しなければならない点には注意しましょう。
いくらぐらいの預貯金
生活保護申請後、14日~30日間の調査期間がありますので、申請前にはある程度の食糧を準備しておく方がいいでしょう。また、預貯金が0円というのは不安でしょう。生活保護開始時の金額が調整はされますが概ね5万~8万円程度はあっても申請することは可能です。ただし、収入額や持ち家か賃貸かによっても預貯金の許容範囲は変わります。
生活保護受給後の預貯金については生活保護の最低生活費という基準が決められており、その基準の6か月分は貯金することが出来ます。生活保護受給されている方は毎月の振込額を確認してみましょう。
扶養義務者
離婚して引越ししたいけどお金がない場合は??
生活保護では世帯単位で生活保護が必要か計算します。そのため離婚前で同居の場合は同一世帯と判断されます。転居費用を生活保護費から支給して別世帯として生活保護を受けることは出来ません。理由は生活困窮状態を作り出すことは適切ではないからです。離婚協議の中で話し合いましょう。
例外として、DVで今すぐに逃げなければならない場合は離婚をしなくても別世帯として生活保護を受けることが出来ます。その際は警察への相談、DV相談に連絡しシェルターで保護を受けましょう。シェルター保護の後に生活保護を申請し転居費用が支給される場合があります。
家族に知られたくない
生活保護では扶養調査を行います。市町村役場で調査の範囲や仕方が変わります。絶対に調査を行うの15歳未満の親や仕送りを行っている親族には調査を行います。しかし、年金暮らしの親族や10年以上交流のない親族には調査を行わないことがあるようです。またDVや虐待、犯罪の被害等がある場合は居所を知らせないために調査は行われません。
収入について
働いている・または年金があるが生活保護を受けれますか??
働いている収入や年金収入があっても生活保護を受けられる??性があります。国が決めた生活や家賃等の最低生活基準を下回っている場合は、足らず分を生活保護費が補います。最低生活基準は住んでいる地域、年齢、世帯構成によっても変わります。市町村役場で一度相談してみましょう。
借金があるけど生活保護を申請できますか??
借金があっても生活保護を申請することは可能です。生活保護費には差し押さえが出来ないため借金の返済を保留にすることが出来ます。また、生活保護受給中に法テラスを利用し債務整理を行うことが出来ます。生活保護の証明書があれば債務整理の費用もかかりません。
生活保護を受けてもギャンブルしていいの??
生活保護費をギャンブルに費消するのは健全な金銭管理が出来ているとは思えません。しかし、生活費を何に使うのかは自由と言えます。ギャンブルを行い、お金が入った場合は収入とみなされるため収入の申告を行う必要があり、申告を怠ると不正受給となりますので注意が必要です。
電子ポイントは収入としてみなされますか??
最近流行の電子ポイントは、買い物したことによりサービスの一環として付与されるものについては収入とみなされません。しかし、電子ポイントを無償で付与されるものについては収入と判断されます。また、電子決済サービスに金額がある場合は預貯金としてみなされるため注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。生活保護申請について気になる事は解消されたでしょうか。生活保護制度は複雑で細かな解釈は市町村役場で変わることがあります。気になるときは一度連絡して相談してみるといいでしょう。また、分からないことや疑問点があればコメントをいただけると幸いです。
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