今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回は障害福祉サービスのグループホームを開設するための物件探しについて記事を書きたいと思います。グループホームには決められた建築基準や消防法設備などあります。
グループホームがどういった施設なのか興味がある方、今後グループホーム事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。
グループホームの物件の種類
グループホームの物件には、一般的に「戸建 て型」、「アパート型」、「サテライト型」と呼ばれる3つの型があります。戸建て型やアパート型は「本体住居」と呼ばれ、そこに付随して活用する部屋をサテライト型と呼びます。
基本的にアパート型とサテライト型の見た目は似ている場合が多いですが、本体住居であるか否かの違いがあります。また、アパート型には 1Kのようなワンルームタイプや、マンションのようなファミリータイ プがあります。
活用する物件は、所有・賃貸を問いません。物件の所有者が誰であろうと、設備基準さえ満たせば「住宅地にある戸建てや アパートの物件がほぼそのまま使える」ということです。
グループホームの建築基準法について

次にグループホームの建築基準法についてご紹介します。
グループホームの用途区分は「寄宿舎」か「共同住宅」
グループホームは建築基準法上、「寄宿舎」もしくは「共同住宅」として扱われます。
「寄宿舎」とは、複数の寝室を持ち、食堂や浴室などの共同施設が設けられた建物を指します。
「共同住宅」とは、各住戸が独立して生活できる形態となっていて、廊下や階段などの共用部分がある建物のことです。
新築の場合は建築確認申請が必要です。既存の建築物をグループホームとして使う場合、用途変更部分の床面積が200平方メートルを超えると建築確認申請が必要です。
200平方メートル以内の場合申請は不要ですが、建築基準法の各種条項は確認する必要があるため、建築業者にご相談ください。
グループホームの設備基準

建築基準法に基づいた設備基準をご紹介します。
居室
グループホームの居室の面積は収納設備等を除いて7.43平方メートル以上(約4.5帖)と定められています。居室の環境に関しては、採光や換気の規定もあります。採光は居室床面積の7分の1以上、換気は床面積の20分の1以上の窓やその他の開口部が必要です。基本的には1人部屋となります。
出典:社会福祉施設における居室に関する基準について|厚生労働省
共有設備
トイレや台所、食堂、浴室など、基本的な生活に必要な設備が必要です。それぞれの設備は安全に過ごせるような環境が求められます。また、介護スタッフの作業スペースなど事務所は別に必要となります。
バリアフリー
バリアフリー法ではグループホームもバリアフリー化の対象とされていますが、地域の条例によって細かな基準が異なります。例えば、段差の解消が必要な地域とそうでない地域があります。グループホームを開設する自治体の条例を確認しておくようにしましょう。
耐震基準
これからグループホームの建物自体を建築する場合は、1981年に定められた「新耐震基準」を満たす必要があります。1981年以前の物件を活用してグループホームを開設する場合は、耐震診断を受けなければなりません。
消防法(緊急時の安全措置)
消防法施行令別表第一(6)項ロに定めるグループホームなどの対象施設には、消防用設備等の設置義務があります。自動火災報知設備や火災通報装置、消火器、誘導灯などの設置が必要です。
グループホームでは、障害者総合支援法に定める「障害程度区分」が4以上の利用者が8割を超える施設の場合、収容人員(利用者とスタッフを合算した人数)が10人以上の場合は防火管理者の選任が必要です。障害福祉区分4以上の利用者が8割以下の場合は、収容人員30人以上で防火管理者が必要です。消火器や自動火災報知機など基準はありますが、どの用途でも設置しておく方がいいでしょう。
まとめ
今回はグループホームの物件についてご紹介しました。グループホームは戸建てやマンションなどさまざまな形があります。大切なのは設備基準を満たしているかどうかということです。設備基準は建築基準法や消防法が関わっており、さらには各自治体に図面を確認してもらい、独自のルールもあるため、契約前にしっかりと確認する必要があります。物件を先に決めてから自治体に確認したらNGだったと言うことがない様にしたいですね。