【大阪 就労継続支援B型は儲かる?】~行政書士試験合格者が解説~

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回の記事では障害者の日中活動の場・社会参加の場として提供される就労継続支援B型について紹介したいと思います。今回は就労継続支援B型の事業所開設を考えている人には気になる「収益はどうなのか」といった部分について概算をしてみようと思います。

就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。

目次

就労継続支援B型の近年の動向

厚生労働省の調査によると、就労継続支援B型事業所の数は年々増加傾向にあります。
平成27年(2015年)には9,698ヵ所だった事業所数が、令和4年(2022年)には15,748ヵ所と、約1.6倍に増加しています。令和6年度(2024年度)施行予定の改正では、就労支援の更なる充実が図られています。また、報酬改定により、事業所の収益性も変化しています。令和6年度の報酬改定では、基本報酬の見直しや新たな加算・減算が導入されました。

就労継続支援B型の収益は?

就労継続支援B型事業の売上は、以下の2種類の売上が存在します。

  1. 国からの給付金「障害福祉サービスとしての報酬」
  2. 利用者さんに作業をしてもらう「生産活動による売上」

これらの売上は、会計上、分けて管理する必要があります。就労継続支援B型事業においては、2種類の売上のうち、障害福祉サービスとしての報酬が売上の大部分を担います。

障害福祉サービスとしての報酬

就労継続支援B型事業の基本報酬は「就労継続支援B型サービス費」といい、Ⅰ~Ⅵの6つに分かれています。

就労継続支援B型サービス費Ⅰ~Ⅲ

「職員の配置状況」「定員数」「平均工賃月額」の3つの要素で基本報酬の単位数が決まります。平均工賃月額に応じて評価する報酬体系と言われます。

就労継続支援B型サービス費Ⅳ~Ⅵ 

「職員の配置状況」「定員数」の2つの要素で基本報酬の単位数が決まります。またⅣ~Ⅵを算定している事業所だけが取れる加算があります。「利用者の就労や生産活動等への参加等」をもって一律に評価する報酬体系と言われます。

職員の配置状況による区分

「前年度の平均利用人数」と「職業指導員・生活支援員の合計人数」が、常勤換算で6:1以上になるように職員を配置すると、就労継続支援B型サービス費IまたはIVを、7.5:1以上になるように配置すると、サービス費IIまたはVを算定できます。なお人員基準上は10:1以上の配置であれば問題なく、この場合は就労継続支援B型サービス費IIIまたはVIを算定します。

定員数による区分

就労継続支援B型サービス費Ⅰ~Ⅵはいずれも、事業所の定員数により5つに区分されます。どの区分になるかは行政に届け出ている定員数で決まります。これは定員区分と呼ばれます。

平均工賃月額による区分

就労継続支援B型サービス費Ⅰ~Ⅲの基本報酬は、前年度の平均工賃月額によって8段階に分かれ、平均工賃月額が高いほど基本報酬の単位数も高くなります

障害福祉サービスとしての報酬を概算

基本報酬は単位数×単価×人数×日数で計算します。例えば、職員配置が6:1で平均工賃月額が1万円以上1,5万円未満の事業所で利用者人数が20名、全員が15日間勤務した場合の計算をすると、

単位673点×10.57円(堺市は地域区分5級)×20人×15日=2,134,083円が基本報酬となります。

その他、加算は、サービス費の算定に当たり、基本報酬に加えて算定することが出来ます。加算には様々な種類がありますが、種類によって単位数も異なっています。

生産活動による売上

生産活動による売上は、利用者さんが作業をしたことで得た収入です。ただし、この売上に関しては、余剰金は発生しません。就労継続支援B型の場合、生産活動による売上から生産活動によって発生した経費を除いた金額を、工賃として利用者さんに支払わなければならないからです。

支出

就労継続支援B型でかかる費用としては人件費、物件の家賃、光熱水費、通信費、車両費といったところでしょうか。

人件費

サービス管理責任者26万円
職業指導員(常勤)20万円
職業指導員(非常勤)12万8,000円
生活支援員(常勤)20万円
生活支援員(非常勤)12万8,000円
目標工賃達成指導員(常勤)20万円
合計111万6,000円

家賃を20万円、光熱水費と通信費で2万円、車両費5万円と見積もったところ、

費用としては1,386,000円となります。

収益と費用の皮算用

利用者の工賃を計算に含めずに就労継続支援B型事業所の収益と費用を計算すると

収益2,134,083円-費用1,386,000円=748,083円となります。

これは収益をかなり低く見積もっている計算ですので、実際は加算や工賃、利用者日数によってかなり収益は増減するはずです。

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まとめ

今回は就労継続支援B型の収支を計算してみました。この計算はあくまで概算であり、必ずしもこのような計算にはなりませんので、ご了承ください。

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