【大阪 就労継続支援B型 開設の流れ】~行政書士試験合格者が解説~

今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回は障害福祉サービスの就労継続支援B型を開設する流れについて記事を書きたいと思います。

就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。

この記事を読んで分かること
・就労継続支援B型の役割
就労継続支援B型の開設の手順
就労継続支援B型の運営基準のポイント

目次

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型とは、疾病や障害などの理由で一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。働くために必要な知識やスキルを身につけられるよう訓練をしたり、支援を提供します。利用者は事業所での作業を通じて「工賃」という形で報酬を得ます。これは通常の給与とは異なり、働いた成果や作業量に応じて支払われる仕組みです。そのため、無理なく自分のペースで働くことができます。

主な作業内容の種類

就労継続支援B型では、多種多様な作業内容が提供されており、利用者の能力や興味に合わせた選択が可能です。

①事業所によっては製造業務としてパンやお菓子の製造、手工芸品の制作などを行う場合があります。これらは、ものづくりが好きな方や、手先の器用さを活かしたい方に適した作業です。

②データ入力や書類整理といった事務的な作業もあり、パソコンを使ったスキルを身につける機会にもなります。これは在宅での作業を提供している事業所もあり、人とのコミュニケーションが苦手な精神疾患の方が多く利用されています。

③農作業や清掃業務など体を動かす作業もあります。自然と触れ合うことでストレス解消や体力の向上が期待できます。たとえば、農作業では季節ごとの作物の植え付けや収穫作業を行い、成果が目に見える形で感じられるため、達成感を得ることができます。

④カフェやレストランを運営する事業所も増えており、接客や調理といった業務を通じてコミュニケーション能力を高めることも可能です。

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就労継続支援B型における作業時間や日数について

事業所の方針や本人の希望により、勤務日数や1日あたりの作業時間は柔軟に調整することができます。

週あたりの勤務時間は「20~25時間」の割合が高くなっていますが、1日3時間×週3日で働いている方もいれば、1日5時間×週5日で働いている方もいます。事業所によっては「週1回、短時間の利用からでも可能」というところもあります。慣れてきてから徐々に勤務時間を増やすこともできます。

就労継続支援B型の工賃(給料)について

就労継続支援B型では、生産活動に対する対価として「工賃」が支払われます。雇用契約を結ばないため、賃金ではなく工賃と呼ばれており、就労継続支援A型のように最低賃金を保障されているわけではありません。

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就労継続支援B型の開設の流れ

就労継続支援B型を設立する流れについて、解説していきます。就労継続支援B型の開設は、大きく分けて下記の7ステップで進んでいきます。

  1. 法人を設立する
  2. 資金を調達する
  3. 物件の確保と設置基準を満たす
  4. 人員配置を満たす
  5. 就労継続支援B型の指定申請をする
  6. 運営準備を行う
  7. 営業を行う

それぞれのステップを同時に動かしていくことになります。各ステップを解説します。

1.法人を設立する

まずは法人を設立します。就労継続支援B型は、個人では運営できません。
就労継続支援B型の運営は、法人格を持った株式会社や社会福祉法人でなければならないというルールがあるので、必ず法人化しておきましょう。法人が開設出来たら、開業届や青色申告などの税務関係の手続きをしておきましょう。

2.資金を調達する

法人が出来たら資金調達から開始しましょう。施設は賃貸で考えている場合でも、運転資金を含めて用意しておく必要があります。就労継続支援B型の開業までに必要な資金は300万円から500万円前後と考えられます。また、開業後の運転資金(ランニングコスト)は、毎月150~170万円前後がかかりますので、余裕を持った資金繰りをしていきましょう。自己資金が足りない場合には、調達する資金の3分の1〜4分の1を用意し、残りは融資を受けましょう。

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3.物件を探す

就労継続支援B型の事業所となる物件を探しましょう。就労継続支援B型事業所の「設備基準」は、利用者が安全かつ快適に過ごせるように定められた規則です。この基準は、利用者の障がい特性への配慮や安全性、プライバシーの確保などの観点から設けられています。設備基準の内容は厚生労働省が定めるものが基本となりますが、自治体によって独自の要件が追加される場合があります。そのため、事前に管轄の行政機関へ確認し、基準を満たした設備の準備を進めることが重要です。

設備基準
訓練・作業室:
・サービス提供に支障のない広さを備えること(利用者1 人当たりの面積が3.3㎡必要な指定権者もあるので、その場合、最低定員が20名であることから訓練・指導室の 最低面積は66㎡必要)
・訓練、作業に必要な機械などを備えること
相談室:プライバシーに配慮できる空間にすること
多目的室:相談室と兼用とすることも可能
洗面所・トイレ:
・利用者の特性に応じたものである必要がある
・トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可の指定権者が多い
事務室:
・設備基準上は不要だが、指定権者によっては必要な場合 がある(運用上ないと作業効率が非常に悪い)
・カギ付き書庫を求める指定権者が多い

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4.人員配置を満たす

就労継続支援B型には必要な職種や人数が決まっています。そのため各事業所ごとに必要な人数が変わります。

人員配置基準

就労継続支援B型の人員配置基準は、利用者と従業員(職業指導員、生活支援員)の比率により、2パターンあります

利用者と従業員の比率必要な職員数
7.5:1の場合利用者7.5名に対して職員(職業指導員、生活支援員)1名の配置が必要
10:1の場合利用者10名に対して職員(職業指導員、生活支援員)1名の配置が必要
職種配置人数常勤の有無
管理者1名 ※兼務可なし
サービス管理責任者(サビ管)利用者数60名以下:1名以上
利用者数61名以上:1名+60名を超えて40またはその端数を増すごとに1名増
あり 
※1名以上
職業指導員各1名以上常勤換算で利用者10人(7.5人)につき1名必要あり
※1名以上
生活支援員

利用者数が61名ならば、サビ管は2名必要です。
利用者数が100名まではサビ管2名でよいですが、101名になったらサビ管は3名必要となります。

どのような媒体を利用して採用活動をするか検討しましょう。無事採用となれば雇用契約の締結や社会保険の手続きが必要となります。また、シフトや研修の調整も行うことになります。

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5.就労継続支援B型の指定申請をする

就労継続支援B型の指定申請をおこないます。就労継続支援B型で事業者指定を受けるためには、事前協議を経て都道府県に対して指定申請手続きを行います。(※都道府県によって必要となる書類が変わる場合があります)
種類が豊富にあるため、必ず抜けや漏れがないようにチェックしておきましょう。主な書類は下記のとおりです。

【就労継続支援B型の開設に必要な主な書類】

  • 事業計画書
  • 事業所の平面図・内外の写真
  • 指定申請書
  • 指定に係る記載事項
  • 組織体制図
  • 役員名簿
  • 管理者・サービス管理責任者の経歴書
  • スタッフの資格証明書
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6.運営準備を行う

障害福祉の事業には様々なマニュアル(虐待防止・感染症対策・非常災害・緊急時対応)や入居者との契約書類(契約書・重要事項説明書・個人情報同意書・個別支援計画・金銭管理・)、業務日報など書類が必要となってきます。

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7.営業を行う

まずはコンセプト・ターゲット設定をします。就労継続支援B型はたくさんあるため、他との差別化が重要となります。どういう作業ができるのか、どういった能力が身につくのかというコンセプトとターゲットを明確にしましょう。
その上で、利用者確保するための営業ツールを作成し、営業回りや地域の連絡協議会・研修会に参加して横の繋がりをつくっていきましょう。就労継続支援B型では作業の体験が重要となります。最近ではSNSの活用やインターネット対策も重要となっています。

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まとめ

就労継続支援B型を開設するためには最短でも6ヵ月かかると言われています。その6カ月間の中にも様々な手続きや準備で大忙しな状況となるはずです。スケジュールを立て行動することが重要となります。準備が遅くなればなるだけ、経費も嵩むため計画的に行いましょう。

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くまくまさん
この記事を書いた人

泉州地域の現役福祉地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・精神保健福祉士
・行政書士試験合格(R5年度)
【略歴】
・大阪泉州在住
・病院CWを経て、地方公務員に従事
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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