今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回は障害福祉サービスの就労継続支援B型の開設するための費用は事業所の規模や地域、施設の設備などによって変わりますが、大まかな目安としては800万円~1,000万円前後と言われています。その内訳を概算してみようと思います。
就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。
初期費用
就労継続支援B型を開設するためには様々な手続きや準備が必要となります。
法人設立費用
新規で株式会社を設立する場合、最低「25万円」程度は必要になります。
物件の賃貸に必要な費用 (賃料と敷金・保証金などの初期費用)
物件の訓練・作業室の面積は指定権者によって異なりますが、面積基準は、利用者1人当たり「3.3㎡」から「訓練に支障のない広さ」となっており、ここでは、1人当たり3㎡の訓練・作業室で計算とします。
最低定員が20名なので、「3㎡×20名=60㎡」にプラスして相談室兼多目的室が必要となり、事務スペースも考慮に入れて 「70㎡」程度の物件を検討しましょう。また、敷金、礼金、不動産業者への手数料が、家賃のおおむね1か月分必要になります。
もし、送迎をする場合は駐車場付きの物件にするか、近くに駐車場を借りる必要があります。
そして、内装や消防設備の設置工事中も家賃が発生するので、従業員を早く集めて指定申請の手続きを行なうことが重要です。物件の取得費用でおおよそ100万円はかかる予想をしておきましょう。
内装や消防費用
就労継続支援B型でどのような訓練、作業内容に するかにより、内装は若干変わりますし、備品も大きく変わってきます。
誘導灯・消火器程度の設置ですむ物件なら費用は十数万円程度ですが、 自動火災報知機が必要な物件の場合、賃貸する部屋だけでなく、建物全体に自動火災報知機の設置が必要な場合があり、100万円以上かかるケ ースもあります。
備品、電化製品や家具など
電話、FAX、パソコンなどの費用として「20万円」を見込みます。また、ネットWi-Fiなどの回線がないと、国保連に請求する際も不便 です。電話回線とネット回線の工事費が必要となるので、「5万円」を 見込んでおきます。どんな訓練、研修、作業を行なうにしても、たいていデスクと椅子などは必要になります。また訓練、研修、作業用具に加え、事務机、書庫や文房具な どの備品も必要となるのでそれぞれ見込んでおきましょ う。
備品はおおよそ50万円ほどかかる予想です。
人件費
準備を行なうことが多数あるため、管理者兼サービス管理責任者を1 名、「25万円」(社会保険料や交通費等込み)で指定前から雇い入れることとします。
自動車代(3か月分のガソリン代等も込みで)
送迎や物品搬送(特に内職用品の納入)などに使用するため、自動車が必要となるので、中古車代として「100万円」程度を見込んでおきま しょう。
その他
上記以外にも、物件選びなどにかかる交通費等や、申請時に必要な書 類集めの実費、求人媒体への費用、損害賠償保険への加入代なども必要となるため、ひとまず「10万円」程度を見込んでおきます
以上を合計すると、410万円(概算)となります。
開設直後のランニングコスト

先ほどの施設で指定申請が下りた場合に事業が始まりますが、すぐに利用者が集まるわけではないため、3ヵ月~6ヵ月の必要な費用を計算しておきましょう。(定員20名の就労継続支援B型。管理者兼サービス管理責任者1名、生活支援員2名、就労支援員1名、職業指導員2名の従業員でスタート。)
家賃(6か月間、利用者がいない場合を想定)
家賃1か月18万円/月×3か月=「54万円」
人件費
管理者兼サービス管理責任者1名、生活支援員2名、就労支援員1名、職業指導員2名
合計「360万円」
光熱費等(6か月間、利用者がいない場合を想定)
1万円/月×3か月=「3万円」
営業代・雑費
利用者獲得のための交通費等や広告費などが必要になってきます。月に2万円程度を見込んでみましょう
2万円/月×3か月=「6万円」
以上を合計すると、423万円(概算)となります。
最終の合計
開設のための初期費用(410万円)+開設直後のランニング費用(423万円)=「833万円」となりました。これはあくまで概算でありこれ以上の費用がかかる可能性があります。また、今回の概算費用に専門の行政書士を雇うとさらに費用がかかってきます。
まとめ
今回は就労継続支援B型を開設するための費用について計算してみました。自己資金や別事業で資金を確保することが出来ればいいのですが、1000万円という多額の投資が必要となります。
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