今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回は障害福祉サービスの就労継続支援B型の開設するための必要な人員基準について説明します。令和6年度に報酬改定もされていますので確認していきましょう。
就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。
就労継続支援B型の人員配置基準
管理者
常勤1人。事務所の従業者及び業務の管理、その他の管理的業務を一元的に行います。管理業務に支障がない場合は他の職務の兼務が可能です。
サービス管理責任者
個別支援計画の作成、従事者に対する技術指導等のサービス内容の管理、他事業や関係機関との連絡調整等を行います。
- 利用者数60以下:1人以上
- 利用者数61以上:1人に、利用者数が60人を超えて40又はその端数を増すごとに1人を加えて得た数以上
職業指導員及び生活支援員
職業指導員は、障害をお持ちの方でも力が発揮できるように実際に一緒に仕事をしながら技術指導などを行います。生活支援員は、身の回りの支援から創作・生産活動まで、生活に密着しながら障がいをお持ちの方の自立をサポートします。
- 常勤換算で、利用者数を 6 or 7.5 or 10 で除した数以上
- 職業指導員 1人以上
- 生活支援員 1人以上
※職業指導員と生活支援員のうち1人以上は常勤であること。
人員配置と報酬算定
就労継続支援B型の人員配置には、「従業者配置6:1」「従業者配置7.5:1」「従業者配置10:1」の3パターンがあることを解説しましたが、これは「利用者数」に対しての「従業者数」が6:1の配置割合になるのか、7.5:1の配置割合になるか、10:1の配置割合になるかどうかの違いです。
そして、ここでいう「利用者数」は、原則として「前年度の平均利用者数」のことをいいます。ただ、新規で指定をとった場合は「前年度(前年4月1日~本年3月末日)」の実績がまだありませんので、「前年度」の実績ができるまでは、以下のような方法で「利用者数」を計算することになります。
- 指定時から6ヶ月未満の実績しかない
利用定員の90%
- 指定時から6ヶ月以上1年未満の実績ができた
直近6ヶ月間の「延利用者数」÷直近6ヶ月間の「開所日数」
- 指定時から1年以上の実績ができた
直近1年間の「延利用者数」÷直近1年間の「開所日数」
- 指定時から1年以上経過し、前年度(前年4月1日~本年3月31日)の実績ができた
前年度(前年4月1日~本年3月31日)の「延利用者数」÷前年度(前年4月1日~本年3月31日)の「開所日数」
以上のように、就労継続支援B型の人員配置では、「利用者数」を計算してから、職業指導員や生活支援員の人員配置を考えることになります。
令和6年度改訂された目標工賃達成指導
目標工賃達成指導員配置加算 45単位(定員20人以下)
新たに人員配置「6:1」の報酬体系が創設されたことにより、目標工賃達成指導員配置加算の要件が見直されました。
現行では、89単位ですので、約半分に引き下げられた形です。
目標工賃達成指導員配置加算の要件
① 目標工賃達成指導員を常勤換算で 1.0人以上配置
② 職業指導員+生活支援員の総数が常勤換算で 6:1以上
③ 職業指導員+生活支援員+目標工賃達成指導員の総数が常勤換算で 5:1以上
目標工賃達成加算【新設】 10単位/日
- 目標工賃達成指導員配置加算の対象となる B 型事業所が、各都道府県において作成される工賃向上計画に基づき、自らも工賃向上計画を作成するとともに、当該計画に掲げた工賃目標を達成した場合に加算されます。
現行の目標工賃達成指導員配置加算が、②が7.5:1以上でかつ③6:1以上の要件で報酬単価が89単位であることから、改定後は取得の要件が厳しくなり、報酬が約半分になります。
新設の目標工賃達成加算を算定できたとしても、-34単位となるため、この加算に関しては、厳しい見直しとなります。
まとめ
今回は就労継続支援B型の人員配置基準について説明しました。人員配置基準を満たさないと開設運営が出来ませんが、人件費との兼ね合いもあるためどのように配置し報酬単位をとっていくのかも重要になります。報酬単位と人員配置、人件費を含めて経営判断をしていきましょう。
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