今回の記事から現在業務で行っている福祉関係の知識と、行政書士としての知識を組み合わせ、福祉についての知識を記事にしていきたいと思います。福祉業務を専門としている行政書士は数がまだ少ないと聞いています。理由としては、福祉知識の難しさが挙げられています。
今回は障害福祉サービスの就労継続支援B型には在宅支援というものがあります。在宅支援を行うことで、通勤が出来ない精神障害の方にも訓練の機会を提供することが出来ます。厚生労働省より指針も出されているため、ご紹介します。
就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。
在宅就労支援での基本報酬が認められる要件について
就労継続支援B型事業所において、在宅でのサービス利用を希望する者であり、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者(在宅利用者)に対して、就労継続支援を提供することが認められています。
以下のいずれにも該当する場合に基本報酬の算定が認められています。
【基本報酬の算定要件】
① 常に在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されていること。
② 1日2回は連絡、助言又は進捗状況の確認等の支援が行われ、日報が作成されていること。また、作業活動、訓練等の内容又は在宅利用者の 希望等に応じ、1日2回を超えた対応も行うこと。
③ 緊急時の対応ができること。
④ 在宅利用者が作業活動、訓練等を行う上で疑義が生じた際の照会等に対し、随時、訪問や連絡等による必要な支援が提供できる体制を確保すること。
⑤ 事業所職員による訪問又は利用者による通所により評価等を1週間につき1回は行うこと。
⑥ 在宅利用者については、原則として月の利用日数のうち1日は事業所に通所し、事業所内において訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと。 また事業所はその通所のための支援体制を確保すること。
⑦ ➄が通所により行われ、あわせて➅の評価等も行われた場合、➅による通所に置き換えて差し支えない。
就労継続支援B型での在宅利用申請の手続きについて
就労継続支援B型において在宅利用を希望される場合、利用者及び事業所により「在宅利用に係る申立書」の提出が必要になります。また、就労継続支援B型事業所の運営規程において、在宅で実施する訓練及び支援内容を明記しておく必要があります。
就労継続支援B型で「在宅でのサービス」を提供されるにあたっては、利用者本人が在宅でのサービス利用を希望していること、且つ在宅でのサービス利用による支援効果が認められる場合のみ、就労継続支援B型の報酬算定が可能となっています。
そのため、就労継続支援B型での在宅利用の適用開始を希望される場合には、「在宅利用に係る申立書」に、利用者本人の希望理由と在宅でのサービス利用における支援効果について詳細に記入し、担当部署に提出する必要があります。そして、その提出された「在宅利用に係る申立書」が担当部署で審査され、在宅での支援効果が認められると判断された場合には、「在宅利用対象者」と明記した受給者証が交付されます。※各自治体によって、手続き内容が違います。詳しくは各自治体にご確認ください。
在宅時生活支援サービス加算とは

普段から居宅介護や重度訪問介護を利用している利用者が、在宅で就労支援を受けるときにもそれらのサービスが必要な場合に、就労移行支援事業者等が費用を負担して居宅介護や重度訪問介護の職員を派遣すると算定できます。
報酬単価
在宅時生活支援サービス加算の報酬単価は、1日につき300単位です。具体的な単価は地域ごとに異なるため、たとえば1単位10円の地域であれば1日あたり3,000円の報酬が事業所に支払われます。
利用者の条件
在宅時生活支援サービス加算を算定するためには、以下のような利用者の条件が必要です。
- 通所が困難であること:身体的な制約や通所に対する不安、家族の状況などにより、通所が難しい場合。
- 市町村が在宅での支援が効果的と認めていること:事前に市町村の判断が必要であり、在宅支援が必要と認められていること。
- 居宅介護や重度訪問介護のサービスを受けていること:生活の維持のために介護支援が行われている場合に限定されます。
支援内容の要件
在宅での就労支援と生活支援を同時に行うことが必須で、具体的には以下のような支援内容が含まれます。
- 就労支援と生活支援の併用:在宅での就労支援を受ける時間帯に、生活支援も併せて提供。
- 生活支援としての具体的な内容:家事援助、入浴、排泄支援など、利用者の生活に必要なサポートを提供。
就労継続支援事業所で在宅ワークができる仕事
パソコンを使う仕事が多くイメージされますが、今は通所でおこなう作業も在宅でできるようにしたり、「サービス・接客」の仕事もできたり、幅広い業務が在宅でできるように工夫されています。
製造や組立作業の仕事
郵送または支援員が自宅に訪問して、必要な部品を利用者のもとに届けます。制作物の目標個数が決まっており、利用者は自宅で部品を組み立てたり検品したり、完成したものを郵送または支援員に渡します。ポップやチラシなどの制作をして生産活動をしたり、スキルアップのための訓練として部品を組み立てたりする作業があります。
ウェブ関係・事務系などPCを使う仕事
ウェブページ作成やウェブデザイン、システム管理や、パソコンをつかった入力作業などの仕事が多くあります。パソコンを持っていなくても、就労継続支援事業所によってはパソコンを貸与してもらえます。

まとめ
今回は就労継続支援B型が行える在宅支援についてご紹介しました。在宅支援は病状によって通勤できない利用者にとっては、選択肢が広がる支援方法となります。さまざまな就労継続支援B型の支援が広がればと思います。
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