【大阪 就労継続支援B型の設備基準を分かりやすく解説】~行政書士試験合格者が解説~

今回は障害福祉サービスの就労継続支援B型を開設するために必要な物件について解説します。
就労継続支援B型を開設するためには3つの要件、①人員基準②運営基準③設備基準を満たす必要があります。その中で、設備基準について説明します。
設備基準が整った物件を探す、または改築する必要がありますので、基準を確認しなるべく改築する必要がない物件を探すことで開設経費を抑えられます。
また、国が示している設備基準以外にも建物には建築基準や消防基準もあるため、その点も含めてご紹介しますので、参考になれば幸いです。

就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方に参考にしてもらえたらと思います。

目次

就労継続支援B型の設備基準

訓練・作業室:
・サービス提供に支障のない広さを備えること(利用者1 人当たりの面積が3.3㎡必要な指定権者もあるので、その場合、最低定員が20名であることから訓練・指導室の 最低面積は66㎡必要)
・訓練、作業に必要な機械などを備えること
相談室:プライバシーに配慮できる空間にすること
多目的室:相談室と兼用とすることも可能
洗面所・トイレ:
・利用者の特性に応じたものである必要がある
・トイレ手洗いと洗面所の兼用は不可の指定権者が多い
事務室:
・設備基準上は不要だが、指定権者によっては必要な場合 がある(運用上ないと作業効率が非常に悪い)
・カギ付き書庫を求める指定権者が多い

訓練・作業室

訓練・作業室は、利用者に就労と就労に向けた訓練をしてもらうためのスペースです。

訓練や作業などのサービスを提供するにあたり、支障がない広さが確保されていることや、必要な器具や備品を備えていることが求められます。

広さの規定は、一人当たり3㎡程度とされます。つまり、定員を20名にすると20×3㎡で60㎡が必要になります。ただし、自治体によって多少基準が変わることがあるため、事業所を開設する自治体の基準を確認しましょう。

相談室

利用者と面談をする際に利用する部屋で、話の内容が他人に漏えいしないよう、間仕切りなどを設置することが求められます。特に基準などはありませんが、相談には家族やケースワーカーが同席することもあるので、3〜4人が座れるように椅子や机を用意するといいでしょう。

洗面所

トイレの手洗いとは別に、利用者の特性に応じた洗面所を設けます。誰でも利用しやすいように自動水洗やレバー式水洗を設置したり、石鹸やペーパータオル、アルコール消毒液といった備品の設置を求められる場合があります。

トイレ

トイレは利用者の特性に応じたものを設置します。

安全に使用できるように、手すりの設置や、段差の解消が求められることがあります。洗面所と同様、誰でも利用しやすいように、自動水洗、レバー式水洗などの設置もすると良いでしょう。

多目的室

利用者が休憩や食事の際に利用するスペースです。利用者の支援に支障がない場合は、相談室と兼用することも可能です。

スペースを兼用する場合は、いろいろな使い方ができる設備と家具を設置しておくと、いざという時に便利です。

就労継続支援B型の開業にあたり、設備基準をクリアするだけでなく、建築基準法や消防法の基準も満たさなければいけません。

建築基準法

建築基準法とは、建築物の敷地や構造、設備、用途に関する最低の基準を定めた法律です(建築基準法1条)。
これらを定めることにより、国民の生命・健康・財産の保護を図ることや、公共の福祉の増進に資することを目的としています。

建築基準法で就労継続支援B型は「児童福祉施設等」に分類され、これは防火・避難に対する基準が厳しい「特殊建築物」にあたります。

床面積が200㎡を超える既存の建物を利用して、就労継続支援B型を開業する場合は、用途変更の確認申請手続きが必要です。

用途変更とは
住宅や事務所として使っていた建物を、コンビニや飲食店、福祉施設にするなど、当初の用途から別の用途に転用すること。
床面積が200㎡以下の場合、用途変更の確認申請手続きは不要ですが、新たな用途の建築基準法や消防法への適合は引き続き求められます。
違反すると、使用禁止や除却命令が下される可能性もあるので、不安がある場合は事前に自治体の建築指導部などに確認・相談するといいでしょう。

消防法

消防法とは、火災の予防や災害発生時の被害軽減を目的に定められた法律です。

 この法律は、人々の生命や財産を保護するために必要な規制を定めており、消防設備の設置や点検、避難訓練の実施などが義務付けられています。

消防法では火災予防の対象となるものを「防火対象物」といいます。

その中でも、災害時要援護者(※)が利用する福祉施設や病院、不特定多数の人が出入りする施設は、火災が発生した場合の人命危険が高いことから「特定防火対象物」という扱いになります。

就労継続支援B型は、特定防火対象物に該当するので、消防設備を設置しなくてはいけません

設置基準は、建物の用途や障害支援区分4以上の利用者の割合、利用形態によって変わります。

就労継続支援B型は「6項ハ」の区分に当てはまるため、設置が必要な消防設備は次の通りです。

<就労継続支援B型に必要な消防設備>

消防設備設置基準
誘導灯建物のどの階でも設置
消火器延べ面積150㎡以上
屋内消火栓設備延べ面積700㎡以上
スプリンクラー設備延べ面積6000㎡以上(平屋建以外のもの)
自動火災報知設備延べ面積300㎡以上
漏電火災警報機延べ面積300㎡以上
火災通報装置延べ面積500㎡以上
非常警報設備収容人員50人以上
避難器具収容人員20人以上(2階または地下の場合)

スタッフと利用者が計30人以上になる場合は、防火管理者の選任も必要です。

なお、防火対象物を使用する際には、使用開始7日前までに、防火対象物を管轄する消防署に防火対象物使用開始届を提出する必要があります。計画段階から管轄の消防署に相談しましょう。

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まとめ

今回は就労継続支援B型を開設するための設備基準など物件の要件をご紹介しました。

物件の要件を確認し、設備を整えていきましょう。物件を探す段階から設備基準を頭に入れ、不動産会社に依頼することでスムーズな開設に繋がります。

どのような環境が作業をしやすいかも検討し物件を探していきましょう。

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