【大阪 就労継続支援B型 運営指導のポイント】~行政書士試験合格者が解説~

新型コロナ感染の対応がひと段落つき、自由な外出が出来るようになったため3年間中止されていた運営指導が去年から再開になりました。事業所の中には、去年行政職員が運営指導に来たというところもあるかもしれません。そういった声はこれから増えていくことになります。

障害福祉サービスでは基本的には3年に1回以上の運営指導が行われます。運営指導は以前実地指導と言われていましたが、名称が変わりました。理由としては、運営指導の目的はよりよい質のいい支援を行うための確認であるからです。

しかし、運営指導で不適切な支援が発見されたり、整備されていない事案が見つかると注意指導が行われます。指導されること自体は問題ないのですが、指導後に改善されないと減算といった報酬の返金や、場合によっては監査による事業運営の停止・指定の取消になることもありえます。

そういった側面のある運営指導ですが、どういったところを確認されるのかを行政に確認しても明確に返答をもらえないことが多々あります。理由としては、事業所によって見るべきポイントが違うからというのと、運営指導としてみるべき場所を伝えると隠されてしまう恐れがあるからといったところでしょうか。

また、運営指導のポイントとしては市町村や都道府県のホームページに載っていますが、分かりづらく感じるかもしれません。今回は就労継続支援B型に絞って、運営指導のポイントをまとめていますので、参考にしていただければと思います。

就労継続支援B型がどういった施設なのか興味がある方、今後就労継続支援B型の事業を行っていきたいと考えている方、現在就労継続支援B型を経営されている方に参考にしてもらえたらと思います。

目次

運営指導とは

行政が行う指導には2種類あります。

集団指導全ての障害福祉事業所を対象に行う。講習会形式。
運営指導個別に事業所を訪問してサービスの提供に関する書類の精査や関係者からの聞き取りを行う

集団指導は毎年行われるもので事業所運営において注意すべきポイント等、行政から説明があります。集団指導は事業所向けに講義のような形で知らせる機会なので、特に注意すべきポイントはありません。内容を理解して、事業所運営の改善につなげます。
一方、運営指導は指定権者が事業所を訪問し、適正に運営できているか確認するのが運営指導です。運営指導では記録や書類などの各種資料や事業所内の状況のチェック、職員へのヒアリングなどが実施されます。
具体的には人員や設備、支援、報酬の請求、会計など広範囲にわたって運営は適正か、本来必要な書類や記録が正しく存在するかなどの確認がなされます。運営指導後には運営に関する助言、不備があれば口頭や文書での指導が行われます。

指定権者が確認する書類

運営指導時に確認される主な書類には以下のようなものがあります。

1.人員関連勤務体制一覧表やタイムカード
給与台帳、給与明細
職員の雇用契約書
秘密保持契約書
雇用保険関連書類
健康診断の記録
研修計画とその記録
2.サービス関連重要事項説明書
利用契約書
個人情報同意書
アセスメント
個別支援計画
モニタリング
契約内容報告書
3.運営関連運営規定
事故発生報告書
各委員会の設置、報告書
BCP関係
虐待防止・身体拘束適正化関係書類
加算の要件を満たすことを示す書類
苦情・事故・感染症対応など各種マニュアル
4.請求関連法定代理受領通知
利用者への請求書、領収書
実績記録表
5.その他賠償責任保険の書類
会計書類

これらの書類は、適切に作成・保管されているだけでなく、その内容が実際のサービス提供と整合しているかも確認されます。

令和6年度改正による項目

①業務継続計画の策定等

感染症や災害が発生した場合でも、必要な障がい福祉サービスが継続的に提供できる体制を構
築する観点から、全ての障がい福祉サービス等事業者を対象に、運営基準において、業務継続に
向けた計画等の策定や研修の実施、訓練の実施等が義務になりました。

②衛生管理等

感染症の発生及びまん延の防止等に関する取組の徹底を求める観点から、全ての障がい福祉サー
ビス等事業者を対象に、運営基準において、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シ
ミュレーション)の実施が義務になりました。

③虐待の防止

施設・事業所における障がい者虐待防止の取組を徹底するため、障がい者虐待防止措置を未実施
の障がい福祉サービス事業所等について、虐待防止措置未実施減算(所定単位数の1%の減算)
が創設されました。

④身体拘束等の禁止

令和 6 年度から身体拘束等の適正化の徹底を図るため、施設・居住系サービスについては、 身
体拘束廃止未実施減算の減算額が5単位から所定単位数の 10%に引き上げられ、訪問・通所系
サービスについては、減算額が5単位から所定単位数の1%に見直されました。

就労継続支援B型の運営指導ポイント

工賃の支払い等

第201条 指定就労継続支援B型の事業を行う者(以下「指定就労継続支援B型事業者」という。)は、利用者に、生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない。
2 前項の規定により利用者それぞれに対し支払われる一月当たりの工賃の平均額(第四項において「工賃の平均額」という。)は、三千円を下回ってはならない。
3 指定就労継続支援B型事業者は、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことを支援するため、工賃の水準を高めるよう努めなければならない。
4 指定就労継続支援B型事業者は、年度ごとに、工賃の目標水準を設定し、当該工賃の目標水準及び前年度に利用者に対し支払われた工賃の平均額を利用者に通知するとともに、都道府県に報告しなければならない。

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まとめ

障害福祉サービスでは3年に1回適切に運営されているか確認が行われます。

ここで不適切と判断され、改善がされない場合は減算として報酬の返金が発生する可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

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