就労継続支援B型の施設は増えているのですが、職員の人材不足が問題視されています。人材不足は事業所のサービスの質の低下や職員の負担増加につながり、利用者の生活にも直接影響を及ぼします。
独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループの2023年の調査によると、障害福祉サービス事業所の約52%が「職員が不足している」と回答しているデータもあります。
職員が不足している要因としては給与や労働条件の問題、認知度の低さにより魅力が十分に理解されていないことが言えます。
そのため、人材不足を起こさないために職員の離職率を下げ、障害福祉のイメージアップを図ることが必要となります。
事業所運営者様の中には、職員が悩みを抱えてそうだけどどうしたらいいか分からない、上司であるため、直接本人に聞くことも出来ず困ることもあるかもしれません。
職員が抱える悩みを迅速に解消できなければ、サービス利用者に十分な支援を提供できないだけでなく、離職されることによって人手不足に陥る危険性があります。
今回は就労継続支援B型事業所で職員が抱える悩みを紹介し、改善策をとることで離職率の低下につながればと思います。
この記事を読んでわかること
・就労継続支援B型の職員が抱える悩みの種類
・就労継続支援B型が抱える問題点
・就労継続支援B型の職員が抱える悩みの対処法
就労継続支援B型の職員が抱える悩み

就労継続支援B型の職員が抱える悩みを探ってみましょう。
1.コミュニケーション上の精神的な負担が大きい
就労継続支援B型事業所は、比較的重度の障がいを持つサービス利用者が多い傾向にあり、対応の仕方に悩みを抱える職員の声が多く聞かれます。
最近は精神障害や発達障害の利用者が増えており、対応の難しさが顕著となっています。同じ精神障害でも症状や性格は人によって異なるため、どんなに深い福祉の知識がある方でも利用者一人ひとりに寄り添った対応ができなければ、上手くコミュニケーションを図れません。
また知的障害や発達障害の利用者は自分の思いを伝えるのが苦手な方がおり、良かれと思った何気ない一言で傷つけてしまう場合もあり、どう対応していいか分からないと精神的な負担が大きいと感じている職員もいます。
未経験の新人スタッフなら、なおさらストレスを感じるでしょう。
2.収入が低い
厚生労働省の「障害福祉サービス等従事者の平均給与額等の状況」によれば、就労継続支援B型事業所の令和4年12月時点での職員の平均給与額は常勤は279,990円、非常勤は106,140円です。
所有資格や勤続年数によっても給与額は大きく変わりますが、常勤の場合は福祉・介護職員全体の平均給与額を下回っており、キャリアパス制度が導入されていないことで職員の給与が上がりづらい就労継続支援B型の事業所も存在します。
3.業務量が多い
就労継続支援B型事業所でサービス利用者に直接的な支援をおこなうのは、職業指導員と生活支援員です。
・職業指導員は、事業所で提供している作業をおこなうために必要な知識・技術をサービス利用者に指導する職業であり、働く能力の向上を図ります。
・生活支援員は、サービス利用者の作業のサポートをおこなうほか、健康管理や日常生活の相談に対応する職業です。
職業指導員・生活支援員共に業務量が多い傾向にあり、特に慢性的な人手不足に陥っている事業所の場合は気持ちに余裕が持てなくなってしまうケースもあります。
就労継続支援B型の職員が抱える悩みの対処法

就労継続支援B型の職員が抱える悩みを知ったことで改善策を考えてみましょう。
1.課題を全体で共有する仕組みをつくる
職員が感じている悩みや課題が長期化しないように、事業所全体で共有・解決を図るための仕組みをつくるとことで職員の抱え込みを防ぐことが出来ます。
また、経営者や管理者と経営方針・支援方針を職員に浸透させる場を設けることで、事業所全え体で同じ方向を向きやすくなります。
職員が利用者との対応や経営方針・支援方針に対して相談できない状態が続くと、最終的に深刻なトラブルに陥ってしまうおそれがあります。
職員同士・経営者・管理者が相談できる環境であれば、チームワーク力も向上できるため、サービス利用者へのより良い支援を提供に繋がります。
2.キャリアアップと給料アップを導入する
法改正によって福祉サービス職員の平均給与額も上がってきてはいるものの、それでも一般企業よりも低い水準にあるため、キャリアパス制度や資格取得をサポートする制度などを導入すると良いでしょう。
3.負荷を下げるためのツールやソフトを導入する
就労継続支援B型事業所で支援の提供を続けていくために職業指導員・生活支援員のマンパワーが重要であり、もし離職された場合は安定した運営ができなくなってしまうおそれがあります。
職業指導員・生活支援員の業務の業務過多を改善するために業務効率化を図れるツールやソフトを導入を検討しましょう。
職業指導員・生活支援員の業務量を少しでも減らし、気持ちに余裕を持たせることがサービス利用者により良い支援に繋がります。
例えば、業務内容の整理をすることが必要です。業務日誌をどの程度書くのか、手書きをPCに変えるだけでも時間の削減に繋がります。一度業務の内容を精査し不要な業務を削減、効率化していきましょう。

まとめ
どのような職場でも悩みは生じますが、就労継続支援B型事業所の職員の悩みを解決できなければ最終的に離職されてしまい、人手不足で他の職員にも負担がかかることで十分な支援や安定した経営ができなくなるおそれがあります。
また、不適切な職場環境が継続すると利用者の不適切な支援、障害者虐待にも繋がり大きな問題がトラブルになるおそれもあります。
逆に職員が悩みを抱え込まない働きがいのある職場であれば、職員の気持ちに余裕が生まれサービス利用者の自立に向けたより良い支援を提供しやすくなります。
職員一人ひとりに目を向けて安定した事業運営をしていきましょう。
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