今回は多くの就労継続支援B型事業所が支援を行っている送迎の加算についてご紹介します。
利用者の集客のために送迎をしていたけど、加算として報酬請求できるの??と疑問に持たれている事業所が多くあります。今まで支援のサービスとして行っていたという事業所様もいるでしょう。
しっかりと要件を整えて請求することで今までサービスとして行っていた送迎に収益がつくことになります。そのため、送迎加算の要件を確認し適切な支援整備を行いましょう。
この記事を読んで分かること
・送迎加算の算定要件
・送迎加算取得するための準備方法
・送迎加算が売上にどう影響するのか


送迎加算とは

送迎加算は利用者を自宅や最寄り駅、集合場所などまで送迎した場合に算定できる加算です。片道の送迎を1回、往復の場合は2回とカウントします。
〈要件1〉
定員20人以上の事業所の場合
1回の平均で10人以上が送迎を利用している
定員20人未満の事業所の場合
1回の平均で定員の50%以上が送迎を利用している
〈要件2〉
週3回以上の送迎を実施している
送迎加算(Ⅱ)… 10単位×該当する利用者の数×回数(片道)
送迎加算(Ⅱ)… どちらか一方だけを満たす
利用者の居宅だけでなく、最寄り駅などとの間の送迎も対象になりますが、その場合は事前に利用者と合意の上、特定の場所を決める必要があります。
平均利用回数の考え方
「片道1回あたり、何名の送迎をしたか?」を計算します。
1日の中で、迎え10名、送り8名だとしたら、(迎10名+送8名)=18名÷往復=9名
「1回の送迎につき9名」という判定になります。週当りの送迎回数を算出すると
第1週目:往復で90回の送迎実施
第2週目:往復で80回の送迎実施
第3週目:往復で80回の送迎実施
第4週目:往復で80回の送迎実施実施
の場合、(90+80+80+80)= 1ヶ月合計330回送迎実施
月330回÷4週÷週5日営業÷2(片道あたり)≒1回につき8.25名の送迎、という計算になります。
週5日営業の、15名定員事業所などであれば、要件1「1回あたり定員50%以上の利用者を送迎すること」を満たします。
送迎回数の考え方
1日の中で、居宅への迎え / 居宅への送りを行ったとしたら「2回送迎を行った」と算定します。
それを踏まえたうえで、週当りの送迎回数を算出すると、たとえば
第1週目:木と金に送迎往復で、計4回実施
第2週目:月、木、金に送迎往復、計6回実施
第3週目:水、木、金、送迎往復計6回実施
第4週目:火曜~金曜、往復で、計8回実施
の場合、
(4+6+6+8)= 1ヶ月合計24回送迎実施
月24回送迎÷4週間=1週間あたり約6回の送迎を行ったと計算できます。
この場合要件2の「週3回以上の送迎を行うこと」を満たします。
必要な書類

実地指導の観点から、弊所として備えていただきたい書類は以下ようなものが挙げられます。
- 送迎記録(担当者、送迎対象者、送迎場所、時間等。任意の様式)
- サービス提供実績記録表(送迎回数の適切な管理)
- 送迎に関する事前同意書(居宅-事業所間以外の送迎を行う場合。または個別支援計画書に備考として記載するなど)
- 業務委託契約書(外部事業者への委託の場合)


送迎加算の費用対効果

送迎加算を導入するためには車の手配や従業員の給料など、大きな経費がかかります。元々送迎支援を行っていて、加算を算定するだけならプラスにしかなりませんが、新たに送迎を始める事業所様は費用対効果を考えて支援を行う必要があります。
収益
平均利用回数の考え方でご紹介した事業所の場合の収益を考えてみましょう。
で算定。15名の事業所で週5日開設。月330回であれば、
送迎加算21単位(片道)×月330回×地域区分10円=69,300円/月の収益増となります。
年間計算すると69,300円×12か月=831,600円もプラスとなります。
費用
次に経費を考えてみましょう。必要な経費として今回は人件費と福祉車両の購入をあげてみました。
人件費
送迎加算の算定に関わらず、送迎は生活支援員の業務とみることができます。ですから、常勤換算から除外する必要はありません(大阪府下)。また、生活支援員以外の職業指導員・就労支援員・看護師・作業療法士・理学療法士なども、同じく、運転手との勤務時間を分ける必要はありません(大阪府下)。
厚生労働省の「障害福祉サービス等従事者の平均給与額等の状況」によれば、就労継続支援B型事業所の令和4年12月時点での職員の平均給与額は常勤は279,990円、非常勤は106,140円です。仮に、8時間勤務の常勤で1時間が送迎時間の場合は、常勤は279,990円÷8時間=34,998円/1時間と計算になります。
車のレンタル料
福祉車両購入には各自治体が助成金を設けている場合があります。
福祉車両を購入する前に専門家に相談するといいでしょう。福祉車両を助成を受け購入した場合、軽自動車の車椅子スロープタイプは160万円~200万円前後の相場になります。1,300cc程度のコンパクトカーだとスロープタイプは電動式で250万円前後です。と言われています。
今回は車に乗せる人数が必要なため、購入に250万円かかったとしましょう。
単純計算で車の耐久年数を10年と仮定した場合、250万円÷10年÷12ヵ月で20,833円となります。なお、車には維持費がかかるので、実際はもっと費用が嵩むと考えた方がいいでしょう。
以上の概算から必要経費として55,831円となり、収益69,300円/月-55,831円=13,469円の収益アップと考えられます。(※あくまで概算です)

まとめ
今回は多くの就労継続支援B型事業所が支援を行っている送迎の加算についてご紹介しました。
送迎をしているにも関わらず、算定していない事業所は算定要件を整えることでプラスの収益が得られます。今後、送迎加算を取得していきたいと考えている事業所様は福祉車両の助成金を活用し購入することで大きく経費削減し収益アップに繋がります。
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