障害福祉事業所では利用者が複数のサービスを活用している場合がほとんどです。
例えば、グループホームと就労継続支援B型の利用している場合や、在宅で居宅サービスを利用しており、就労継続支援B型に通所しているなど、さまざまなサービスを組み合わせて生活しています。
障害福祉サービスは利用者負担1割ですが、利用者負担の上限が決まっています。ほとんどは負担がない場合が多いですが、世帯の収入によっては負担上限がある利用者もいます。
そうした時に、複数ある事業所の中で、何処が負担額を利用者から徴収するのかが問題となってきます。そこで、今回説明する負担上限管理が重要となってきます。
この記事を読んで分かること
・障害福祉サービスの負担上限について
・負担上限の管理方法と手続きについて
・負担管理加算の概要について


障害福祉サービスの負担上限とは

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば障害福祉サービスを利用できます。費用負担は1割と非常に安いうえに、負担上限月額が設定されています。
負担上限月額の設定:非課税世帯と生活保護は無料
利用者負担に加えて、負担上限月額が設定されています。サービス利用料が1割負担であることに加えて、ある一定の金額以上については支払いが不要になるのです。
世帯収入によって負担上限月額は変わりますが、以下のようになっています。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
特に親元を離れて暮らしている障害者であれば、ほとんどの人が住民税の非課税世帯または生活保護に該当します。この場合、1割負担どころか障害福祉サービスの利用料金は無料です。
複数の障害福祉サービスを利用する際、それぞれの障害福祉サービスで負担額が発生します。その場合、負担額が一定額以上を超える場合、事業所間で管理・調整が必要となります。
上限管理をする事業所の決め方
上限管理をする事業所を決めるには、利用者本人が「障害福祉サービス受給者証」の発行窓口(市町村)に対して「上限管理事務依頼届」を出す必要があります。受給者証に他の事業所の記載があるときは、まずは利用者本人に上限管理について確認してみましょう。
上限管理事務依頼は利用者本人が手続きしますが、自治体によっては事業所による代行も可能です。上限管理事務を担当する事業所が決まると、利用者の「障害福祉サービス受給者証」に記載されます。
上限額管理を行う事業所の優先順位は?
- 居住系サービス
- 相談支援事業所
- 日中活動系サービス
- 訪問系サービス
- 短期入所
の順番となっています。
負担上限管理の手続き方法

まずは利用者にしてもらう手続きがあります。以下が手続きの流れです。
複数利用する障害サービスの中で、最も頻度の多い事業所に「上限管理」をしてもらう旨を伝えましょう。
市町村に対して、
・利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届
・受給者証の原本
を提出します。
1〜2週間の期間を経て、「上限管理」する事業所名が反映された受給者証が送られてくるので、それを受け取りましょう。

次に事業所の手続きの流れを確認しましょう。
利用者から、「利用者負担上限額の管理依頼」を受けたら、他の事業所へ連絡をいたします。
上限管理事業所が、他の事業所から「利用者負担額一覧表」を受け取ります。
上限額管理事業所が、他事業所に対して「利用者負担上限額管理結果票」を送付します
これでで、複数事業所を利用していても、過度な負担がなく適切に請求処理をできるようになります。
利用者・その家族などに交付して、署名押印を受け、1:他の事業所、2:利用者・保護者の方へ渡します。


上限額管理結果1、2、3について

利用者負担上限額の管理結果は1、2、3の3つの分かれます。
利用者負担上限額管理結果1
たとえば受給者証に定められる利用者負担上限額が3,000円だった場合
- 管理事業者での利用料 5,000円
- その他の事業所での利用料 1000円
だとしたら、上限額3,000円を超えているため、
- 管理事業者での利用料 3,000円
- その他の事業所での利用料 0円
に調整します。
管理事業所のみが利用料を受け取るため、管理結果1に該当します。
利用者負担上限額管理結果2
たとえば受給者証に定められる利用者負担上限額が3,000円だった場合で、
- 管理事業者での利用料 1,500円
- その他の事業所での利用料 合計1,200円
この場合、上限額3,000円を下回っています。
それぞれの事業所が利用料を受け取ることができて、利用料の調整がいらないため、管理結果2に該当します。
利用者負担上限額管理結果3
たとえば受給者証に定められる利用者負担上限額が3,000円だった場合で、
- 管理事業者での利用料 2,500円
- その他の事業所での利用料 合計10,000円
だとしたら、上限額3,000円を超えてしまっています。
- 管理事業者での利用料 2,500円(取り分そのまま)
- その他の事業所での利用料 合計500円(上限3,000円ー管理事業所500円)
に調整します。
それぞれの事業所が利用料を受け取ることができるものの利用負担額の調整を行ったため、管理結果3に該当します。
上限額管理加算とは

利用料の本人負担がある利用者が他の障害福祉サービスなどを併用している場合には、利用者負担の上限額管理という事務が発生します。その管理事務を担当する事業所が算定できる加算です。
申請方法と必要書類
- 利用者負担額管理加算を受けるためには、所定の書類を提出する必要があります。具体的には、利用者負担額の管理状況を示す記録やサービス提供に関する明細書などが求められることがあります。

まとめ
障害福祉事業所では利用者が複数のサービスを活用している場合がほとんどです。
障害福祉サービスは利用者負担1割ですが、利用者負担の上限が決まっています。ほとんどは負担がない場合が多いですが、世帯の収入によっては負担上限がある利用者もいます。
そうした時に、複数ある事業所の中で、何処が負担額を利用者から徴収するのかが問題となってきます。基本的には利用量が多い事業所が負担管理事業所となります。
負担管理事業所となった場合には、「上限管理加算」を活用しながら請求業務を行いましょう。
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