【多機能型事業所とは:特徴・メリットデメリットを徹底解説】

障害福祉の多機能型事業所といった名前を聞いたことはないでしょうか?多機能型事業所ってどんな要件やどんなことをしているのかイメージがつき辛いかもしれません。

多機能型事業所について知らなくても、実は多機能型事業所として運営されている施設を利用していた、ということはあるかもしれません。

今回は、多機能型事業所とは何か、多機能型事業所を運営する際のメリットデメリットなど、多機能型事業所について詳しく解説します。

事業所の状況や提供するサービスによって、どちらが適しているのかをぜひ考えてみてくださいね。

この記事を読んでわかること

・多機能型事業所の定義や特徴が分かる
・多機能型事業所のメリット・デメリットが分かる
・一体型と多機能型の違いか分かる

目次

多機能型事業所とは

多機能型事業所とは、同一敷地内(一つの事業所)にて2つ以上の障害福祉に関する異なるサービスを提供している施設のことです。つまり、「就労継続支援A型 と 就労移行支援」や「就労継続支援A型 と B型」、「児童発達支援 と 放課後等デイサービス」等、自由に組み合わせることができます。

ポイントは同じ敷地内に2つ以上の障害福祉の異なる種類のサービスが展開しているところです。1つのサービスを単体で運営するよりも、利用者の増加や仕事の効率化が見込めるため、事業所の収入増加につながると言われています。

すでに単独型で指定を受けている事業所でも、事業を続けながら多機能型事業所へ移行することも可能です。

多機能型事業所として運営できるサービスは以下の通りです。

就労継続支援A型
就労継続支援B型
就労移行支援
生活介護
自立訓練(生活訓練・機能訓練)
児童発達支援
放課後等デイサービス
保育所等訪問支援
医療型児童発達支援

多機能型として指定を受けるための【7つの条件】

多機能型事業所として指定を受けるには、以下7つの項目をクリアする必要があります。

  • それぞれ利用定員が5人以上であること。
  • 2つの事業所の距離がおおむね30分以内で移動できる距離にあり、サービス管理責任者の業務の遂行上支障がないこと
  • 事業所の利用申し込みにかかわる調整・職員に対する技術指導等が一体的であること。
  • 勤務体制・勤務内容が一元管理されており、異なる場所で行う事業所間で相互支援が可能な体制が整っていること。
  • 苦情処理や損害賠償に対して、一体的な対応ができる体制ができている。
  • 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料を定める同一の運営規定が定められている。
  • 人事・給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われるとともに、事業所の会計が一元的に管理されていること。

多機能型事業所に適用される3つの特例

多機能型事業所の指定を受けられた場合、3つの項目において適用される特例があります。

利用定員に関する特例

まず、利用定員に関する特例です。事業所全体の利用定員が20人以上の場合、各サービスの最低利用定員数が少なくなります。

サービスの種類最低利用定員数従来の最低利用定員数
放課後等デイサービス5人以上10人以上
児童発達支援
医療型児童発達支援
生活介護6人以上10人以上
就労移行支援
機能訓練
生活訓練
就労継続支援A型10人以上20人以上

事業所職員に関する特例

事業所職員に関する特例です。多機能型事業所では、一部の職種において兼務が可能です。雇用する人数を減らせるため、人件費の削減につなげることができるでしょう。

児童発達支援管理責任者共に兼務が可能
サービス管理責任者
常勤の従業員利用定員数が20人未満の場合、サービス管理責任者との兼務が可能
児童福祉法に基づいたサービス(放デイなど)であれば事業所間の兼務が可能

設備基準に関する特例

サービスの提供に支障が出ない範囲であれば、相談室・便所・洗面所・多目的室などを兼用することが可能です。
ただし、訓練・作業室はそれぞれのサービスごとに設置する必要があるため注意が必要です。

多機能型事業所を運営するメリット

多機能型事業所を運営するメリットとして、一貫性のある支援の提供が可能であることがあげられます。障害福祉サービスの中には、利用者の年齢や段階によって適応されるサービスが移行する場合があります。関連した分野のサービスを扱う事業所であれば、環境を変えることなく一貫した支援を受けることができます。

一貫性のある支援で利用者の成長を促せる

多機能型事業所の本来の目的にもある通り、一貫性のある支援ができることで、一人の利用者を長期的に支援できることがメリットです。

①就労継続支援A型 と 就労継続支援B型
就労継続支援B型(非雇用型)とA型(雇用型)の多機能事業所では、一人ひとりの利用者の状況に合わせた支援を提供できます。ステップアップだけではなく、利用者の要望などを考慮してA型からB型へ柔軟に支援を変更できるのは、多機能型事業所の大きなメリットと言えます。

⓶就労継続支援A型 と 就労移行支援
一般企業への就職が困難な方へ働く機会を提供するサービスである「就労継続支援A型」と一般企業への就職の就職のために必要な知識・スキルのサポートを行う「就労移行支援」を組み合わせることで、一般就労までの道のりを総合的・長期的にサポートできます。

経営の安定化を図れる

サービスの組み合わせ方次第で長期利用が見込めるため、多機能型事業所では安定した経営が期待できます。
例えば、放課後等デイサービスは18歳までですが、就労継続支援B型や生活介護が併設していれば18歳以降も継続した支援をうけることができるため、長期利用の満足度を向上させることで良い口コミも広がりやすく、利用者(保護者)間で長く通い続けられる事業所として注目されやすくなります

特例対象になる

特例の対象となることも、多機能型事業所を運営する大きなメリットです。
多機能型事業所では利用定員や事業所職員、設備に関することが特例の対象となります。
各役職の兼務が可能だったり設備の兼用が可能だったりと、単独型からの移行がしやすいため、多機能型事業所は比較的運営しやすいと言えるでしょう。

しかし、運営するサービスが障害者福祉法に基づくサービスなのか、児童福祉法に基づくサービスなのか、あるいはその両方それぞれに基づくサービスなのかによって、特例には細かな違いがあります。自身が運営する事業所がどれに当てはまるのかをしっかりと確認し、特例をうまく活かせるようにしましょう。

多機能型事業所を運営するデメリット

多くのメリットがある中で、デメリットも存在しますので、注意しましょう。

単独型運営よりも報酬単価が下がる

多機能型事業所は、多機能型事業所において行うサービスの利用定員総数を利用定員として報酬を算定することなっています。

特例では人員配置基準に関する特例がありますが、多機能型では兼務が可能となり人件費を削減可能となるため、報酬単価が下がってしまう可能性があります。

スタッフへの負担が大きくなることがある

多機能型事業所では、人員配置基準に関する特例が受けられるので、通常の2倍の人材を配置する必要はありません。

その一方で、年代や特性が異なる利用者を同時に相手しなければいけない状況にもなるため、限られた人員だけでは一人ひとりのスタッフの負担が大きくなり、職場環境が悪化してしまうケースも少なくありません。

一体型事業所と多機能型事業所の違い

最後に事業を拡大する際に一体型事業所と多機能型事業所の違いを確認しておきましょう。

一体型事業所は、複数の事業所の監督を一体化して行う事業所のことを指します。つまり、一体型事業所ではそれぞれのサービスを提供する複数の事業所が、代表の事業所によって運営されています。

多機能型事業所と一体型事業所では利用定員や従業員配置について違いがあります。       

利用定員従業員配置
多機能型事業所20人以上が必要事業所全体で常勤1名
一体型事業所20人以下も可能それぞれの事業所に常勤1名

どちらが事業所の展開に適しているのか検討してみましょう。

よくある質問

多機能型事業所のよくある質問をまとめました。

従たる事業所の最低定員は?

従たる事業所は、6人以上の人員を利用させることができる規模を有するものとしなければ ならない。 (自立訓練(機能訓練)(第55条において準用)、自立訓練(生活訓練)(第61条において 準用)、就労移行支援事業(第70条において準用)も同様。

生活介護と就労継続支援の多機能型事業所も可能?

生活介護と就労継続支援の多機能型事業所も可能です。就労継続支援B型では多くの事業所で生活介護が併設されています。

まとめ

今回は、多機能型事業所が受けられる特例や多機能型事業所の運営例など、多機能型事業所について詳しく解説しました。

多機能型事業所として運営することで、さまざまなサービスをより効率的に行うことができます。
しかし、スタッフの負担増加や報酬単価の減少などデメリットも存在するため、しっかりとした試算する必要があります。

多機能型事業所のメリット・デメリットを考慮したうえで事業拡大をしてきましょう。

くまくまさん
この記事を書いた人

泉州地域の現役福祉地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・精神保健福祉士
・行政書士試験合格(R5年度)
【略歴】
・大阪泉州在住
・病院CWを経て、地方公務員に従事
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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