近年ネットが普及し、情報量が増えたことにより発達障害の特徴を知る人が増えました。発達障害を知ることで、小中学校で同級生が授業中じっとしていない子やこだわりが強い子などがいたかもしれません。クラスの中では変わった子や困った子と認識されていた時代もありました。学校の先生さえも発達障害を知らなかった時代がありました。
しかし、発達障害の種類や特徴が世に認知されたことにより、小中学校時代の変わった子や困った子が発達障害の特徴だったと思う人が多くいたと思います。
今回は改めて発達障害の種類や特徴をご紹介します。発達障害の特徴を知ることで、その特徴を理解した対応が可能となります。
この記事を読んで分かること
・発達障害の種類と特徴が分かる
・発達障害の対応方法が分かる
発達障害とは

発達障害は、脳の働き方の違いにより、物事のとらえかたや行動のパターンに違いがあり、そのために日常生活に支障のある状態です。発達障害には、知的能力障害(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(学習障害)、協調運動症、チック症、吃音などが含まれます。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、他の発達障害や精神疾患を併せ持つこともあります。
発達障害の種類

自閉スペクトラム症 (ASD)
コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称です。目を合わせない、指さしをしない、微笑みかえさない、あとおいがみられない、ほかの子どもに関心をしめさない、言葉の発達が遅い、こだわりが強いといった様子がみられます。
自閉症、アスペルガー症候群があります。
自閉症
自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障害です。最近では、自閉症スペクトラムと呼ばれることもあります。
アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、興味・関心のかたより」があります。
自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障害があることが分かりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。
注意欠陥多動性障害(ADHD)
発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があります。
多動性−衝動性と不注意の両方が認められる場合も、いずれか一方が認められる場合もあります。
学習障害(LD)
学習障害(LD)とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、「聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する」などの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態をいいます。
知的障害との違い
知的障害とは過去には精神遅滞と言われており、今でも医学用語として残っています。以下が診断内容です。
- 知的機能の全般で、同年齢の人と比べて遅れや成長の停滞が明らかであること(IQがおおよそ70以下)
- 意思伝達、自己管理、家庭生活、社会・対人技能、地域社会資源の利用、自律性、学習能力、仕事、余暇、健康、安全などの面での「適応機能」に明らかな制限があること
- 成長期(概ね18歳未満)の時点から見られること
実際には知的障害には、国際的に統一された定義や日本の法律における明確な定義がないため、さまざまな定義が存在しています。そのため、知的障害は「発達障害」の枠組みの中に含まれるということになります。
知的障害は「発達障害」に含まれるほかの疾患である「ASD(自閉スペクトラム症)」や「ADHD(注意欠如・多動性障害)」、「学習障害(LD)/限局性学習症(SLD)」や「発達性協調運動障害」と併存する場合もあります。
知的障害と発達障害の子どもが抱えている困りごとは似ていますが、困りごとの原因が違うため、支援の方法も変わってきます。以下のような違いがあります。
知的障害の場合は、全般的な知的発達が数歳(数学年)遅れているため、困りごとは「漢字の読みが苦手」に限定されません。ほかの学習科目や、日常生活におけるコミュニケーションや行動のコントロールなどにも困難がみられる場合があります。
発達障害の場合は、困りごとは「漢字を読むことが苦手」ということに限定されています。ほかの学習科目や日常生活では、支障をきたすレベルの困りごとはみられません。
発達障害の疑いがある場合の相談先

「発達障害かな?」と思ったら、身近な相談機関に相談しましょう。まずは無料で相談できる地域の専門機関を利用することをおすすめします。
相談先
地域の子育て支援センター・家庭児童相談室・児童相談所・保健センター・発達障害者支援センター・療育センターなどで子育て相談や療育相談など相談支援をおこなっています。
また、かかりつけの小児科医や、1歳半健診、3歳児健診などの機会に保健師や医師に相談することもできます。
相談機関などでは、必要に応じて発達検査や児童発達支援などの支援や専門の医療機関につなげてくれます。
発達障害の検査
発達障害であるかどうかを調べるために発達検査や知能検査をおこなう必要があります。
発達検査は発達の特性や、困難がどこにあるかを客観的に見るための検査です。さまざまな側面から発達度合いを評価し数値化することで、サポートが必要な部分を見つけることができます。
知能検査は発達検査と同じように発達の特性や困難がどこにあるかを見るのと同時に知的能力の程度を調べるために実施します。
発達障害児・者の公的なサポート

発達障害のある児童や大人は公的な支援制度を受けることができます。
障害者手帳
障害者手帳を取得することで、障害の種類や程度に応じてさまざまな福祉サービスを受けることができます。
発達障害の場合、精神障害者保健福祉手帳の対象に含まれます。知的障害を併存する場合は、療育手帳も対象となります。障害者手帳を取得することで、税金等の優遇や就労を障害者雇用として受けれるなどメリットがあります。
障害福祉サービス
障害福祉サービスを児童の場合は児童発達支援、放課後等デイサービスのほか、医療型児童発達支援や保育所等訪問支援を受けることができます。
大人の場合は、就労支援や入居支援、外出支援などを受けることができます。
よくある質問

まとめ

発達障害は社会の理解が進み診断される人が増えました。しかし、発達障害の特徴があっても診断されずに生きづらさを感じている方もいます。
発達障害を理解することで、特性を理解することができ適切な支援や対応を行うことができますので、まずは特徴のチェックから始めてはどうでしょうか。

コメント