障害福祉サービス施設を開設するために、都道府県や市からの指定を受けることは、重要な意味をもっています。
障害福祉サービスの指定申請とは「行政に認められた事業者になるための許可」のことで、国・市町村(行政)からの給付費をもらうことができる事業者になることです。給付金をいただく以上、行政の指定する様な基準を満たす必要があるということになります。
今回の記事では障害福祉サービスが必要となる指定申請の書類をご紹介します。
この記事を読んで分かること
・障害福祉サービスを開始するための許可(指定申請)が分かる
・障害福祉サービス指定申請に必要な書類が分かる
障害福祉サービスの指定申請とは

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)に規定する障害福祉サービス事業等を行うためには、行政から事業所としての正式な認可を受ける必要があります。これを指定申請と呼びます。
障害者総合支援法第36条及び条例には法人格を有すること(種類は問われません)、指定基準を満たすこと、適正な運営が見込めることが規定されています。
行政から事業所としての正式な認可を受けるためには、指定申請を行います。指定申請をするには、指定申請書類を作成する必要があるため、指定権者の都道府県や市町村のホームページなどから指定の様式をダウンロードし、申請の準備を進めましょう。
障がい福祉サービスの指定権者とは
指定権者とは、障がい福祉サービス事業所の開設や運営に関する許可を与える行政機関のことです。
障がい者グループホームでは、基本的に事業所のある都道府県が指定権者となります。サービス提供を始める際は都道府県に指定申請をしましょう。指定権者の主な役割は、以下のとおりです。
- 必要に応じて指導や改善要求を行う
- サービス事業所の申請内容を精査する
- 法的要件の適合性を確認する
- 事業所の運営状況を定期的に監督する
障がい福祉事業開業までの流れ

障害福祉サービスを開始するための許可である指定申請の流れを確認しておきましょう。
指定権者に障害福祉サービスの事業を開始するため事前相談を行います。内容としては、人員配置基準や施設のレイアウトなどの相談を行います。
消防法で求める設備を設置し、消防に対して防火対象物使用開始届を提出します。
この開始届を提出した後に、消防署の担当官が現地調査を行います。その際に、防火対象物使用開始届に調査済の印を押してもらい本申請の際に、開始届を提出する必要があります。
本申請の必要書類が揃え、申請を行います。人員配置については、多くの自治体で、本申請までに決まっている必要があります。
指定日前までに指定前研修が行われます。指定権者による現地調査が行われます。現地調査は、指定の1週間から2週間前に実施されること場合が多くあります。
無事クリアできれば、事業スタートとなります。
障害福祉サービス施設開始(指定申請)に必要な書類

指定申請の流れを確認した上で、指定申請に必要な書類をご紹介します。障害サービスの種類によっては、必要な書類が変わりますが、全般的に必要な書類をご紹介します。
自社で作成する書類の主なもの
- 指定申請書
事業を開始する障害福祉サービス種類や施設の所在地、代表者や管理者を記入します。 - 付表
- 指定申請に係る添付書類一覧表
障害福祉サービス申請に必要な書類を確認することができます。 - 経歴書(管理者・サビ管)
管理者及びサービス管理責任者には資格要件があります。経歴と資格を記載します。 - 組織体制図
障害福祉サービスを行う上での組織図を作ります。 - 従業者等の勤務体制および勤務形態一覧表
世話人や生活支援員などの職種や氏名、各 日・各週の勤務時間などの記載が求められます。 - サービス管理責任者従事者研修修了証・相談支援従事者研修修了証
経歴にも記載した資格を確認するための修了証の写しを準備します。 - 運営規程
障害福祉サービスがどのようなサービスを提供するのか、詳しい詳細を作成します。 - 事業所の写真
- 平面図
平面図は、建物内部の図面です。建物を建てたときに用意される平面図を流用できます。各部屋や廊下などの寸法や面積、使用用途を記載 し、場合によっては使用用途ごとの色分けも必要です。 - 居室面積等一覧表
障害福祉サービスの設備基準を確認するための書類です。各部屋の面積を記載します。 - 設備・備品等一覧表
障害福祉サービスの施設の設備や備品を記載します。 - 事業計画書
事業計画書には、主に次の内容を記載します。
事業内容、事業の目標、事業主や事業所、事業の対象者 など - 収支予算計画
障害者グループホームの事業計画書や予算書は、融資申請のために銀行へ提出するような細かいものでなくても構いません。 - 利用者またはその家族からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
参考様式や記入例があるので、それらを確認しながら必要事項を記載しておくとよいでしょう。利用者や家族から苦情が出た場合、どのよう な手順で解決していくのか、具体的に想像して作成することが大切です。 - 障害者総合支援法第36条第3項各号の規定に該当しない旨の誓約書(放 課後等デイサービスなどの児童系のサービスを行なう場合は「児童福 祉法第21条の5の15第2項各号の規定に該当しない旨の誓約書」)
- 介護給付費の算定に係る届出書兼体制等状況一覧表
障害福祉サービスをどのような基準で運営するか、どのような給付を申請するのかを記載します。 - 加算の届出書
基本報酬に加え、事業所が追加で行うサービスの加算申請を行います。 - 社会保険及び労働保険への加入状況にかかる確認票
- 情報公表システムにおける基本情報登録依頼書
障害福祉サービスの事業を開始後、インターネット上に施設の情報公開をしなければなりません。情報公開を怠ると、報酬を返還しなければならない場合があります。
自社以外で作成する書類
- 実務経験証明書(従業員が実務経験を積んだ(働いていた)事業所が作成)
- 損害保険加入を証明する書類(損害保険会社が作成)
- 協力医療機関との契約書(実務的には事業所作成の契約書などに医療 機関が押印等を行なったもの)
障害者グループホームのように、医師の常駐がない障害福祉サービスは協力医療機関などとの協定が必要です。協力歯科機関は任意のケースが多いです が、協力医療機関との協定内容の写しはほぼ提出必須です。
法務局や消防などの行政機関が作成する書類
- 防火対象物使用開始届出書(届出書は事業所などが作成・提出し、現地調査の後で消防が押印したものをもらう)
消防関係の設備は、建物の種類や広さによって必要なものが変わってきます。消防署に確認し、必要な手続きを済ませておく必要がありま す。
- 確認済証、検査済証
- 履歴事項全部証明書、法人印鑑証明書(法務局が発行)
- 土地・建物の賃貸借契約書又は登記簿謄本(3ヶ月以内原本)
行政書士にできること

障害福祉サービスを開始するために行政書士がお手伝いをすることが出来ます。例えば以下の点が挙げられます。
- 行政書士は、主に役所に申請・提出する書類を作成・申請代行したり、契約書の作成をしたりできる専門家です。そのため、障害福祉業務についてのサポートでは開設、運営する際に必要となる書類の作成がメイン業務になります。
書類の作成や障害福祉サービスを開設するためには、開設場所や人員基準を満たすなど準備にかなりの時間と準備が必要になりますので、行政書士がプロジェクトマネージャーのような働きをすることもあります。 - 障害福祉サービスを開始するためには、株式会社や一般社団法人など法人格が必要になります。行政書士業務で定款作成をしている場合は法人格から取得を依頼することもできます。
- 企業支援をしている行政書士であれば、融資を受ける際の事業計画作成支援など行っている事務所もあります。障害福祉事業所を立ち上げる際には、多くの経費が必要になりますので、事前に準備だけで足りない部分は融資を検討しましょう。
- 補助金申請:行政書士の中には補助金申請サポートをしている事務所もあります。自治体によって様々な補助金があります。最近では処遇改善に関する職場環境改善補助金などがありました。補助金情報は申請期間が短い場合もあり、補助金に精通する行政書士に依頼することで事業所運営の資金繰りが改善します。
このように障害福祉専門の行政書士であれば、障害福祉サービスを開始する際にさまざまな支援を行い、スムーズな事業開始が行えます。
よくある質問

まとめ

障害福祉サービスを開始するために必要な指定申請について説明しました。指定申請を行うためにはさまざまな書類を作成する必要があります。
また、申請してからも1ヶ月程度の時間が必要ですので、スケジュール管理が重要です。指定申請は自分でも出来ますが、必要に応じて、専門家に相談し準備を進めていきましょう。

コメント