相談支援専門員の役割と資格取得のルートについて〜現役福祉系行政職員が解説〜

本記事では、障がい福祉サービスの計画相談支援事業所で働く、相談支援業務の専門職「相談支援専門員」について詳しく説明します。

相談支援専門員の資格取得に必要な実務経験、初任者研修など必要な研修、その後のキャリアアップについても分かりやすく解説しておりますのでぜひご覧ください。

この記事を読んで分かること

・相談支専門員の役割・ケアマネとの違い
・相談支援専門員に必要な資格取得方法
・相談支専門員のキャリアップ方法

目次

相談支援専門員の役割とは

相談支援専門員は、障害者総合支援法に基づき、障害のある方やご家族の困りごとや希望を聞き、必要な支援につなげていく「相談の専門職」です。そして、その目指している生活に向けた「サービス等利用計画」を作成します。この時大切なのは、本人らしい暮らしを実現するための支援計画を作ることです。

ケアマネジャーなど他の支援職との違い

相談支援専門員とよく比較されるのが「ケアマネジャー」です。相談を受けて計画を立てる仕事は一緒ですが、対象者や制度が異なります。相談支援専門員は、障害者総合支援法及び児童福祉法に基づき、障害のある方・児童を対象に支援計画を作成します。
一方ケアマネージャーは介護保険制度に基づき、高齢で介護が必要な方を対象に介護保険サービスを調整します。

相談支援専門員になるためには

相談支援専門員になるために必要な実務経験が必要となります。
相談支援専門員に必要な実務経験を満たすためには、業務経験や資格によっていくつかのルートがあります。

相談支援業務ルート(相談支援の業務経験5年以上)


障害のある方の生活について様々な相談に応じたり、実際にアドバイスしたりする相談支援業務を一定年数以上経験すると、必要な実務経験を満たすことができます。具体的には次に挙げる内容の業務経験が5年以上ある場合に認められます。

実務経験となる業務


以下aまたはbに該当する場合が実務経験として認められます。

a)障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業、精神障害者地域生活支援センター等の施設等における相談支援業務

b)医療機関において相談支援業務に従事し、次のいずれかに該当する
(1)社会福祉主事任用資格を有する
(2)訪問介護員2級以上に相当する研修を修了
(3)国家資格等を有する(国家資格等とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士を含む栄養士、精神保健福祉士)
(4)次の施設等における相談支援業務に従事した期間が1年以上ある
●就労支援に関する相談支援の業務
●特別支援教育における進路相談・教育相談の業務
●その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務

介護業務ルート(介護等の業務5~10年以上)

介護職に携わってきた人については、資格がある場合は通算5年、ない場合は通算10年以上の実務経験があることが要件となります。具体的な実務経験は以下の通りです。

実務経験となる業務

・施設及び医療機関等における介護業務
・その他これらの業務に準ずると都道府県知事が認めた業務

対象となる資格

以下いずれかの資格がある場合は5年、ない場合は10年の実務経験期間が必要となります。
社会福祉主事任用資格、介護実務者研修以上修了者、保育士、児童指導員任用資格、精神障碍者社会復帰指導員任用資格者

国家資格ルート

国家資格業務を5年以上経験し、さらにA、Bの相談支援業務または介護業務を3年以上経験することが要件となります。

対象となる国家資格

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士
これらの要件は、管轄の自治体によって異なる場合があるため、確認してください。

資格取得に必要な研修の流れ

STEP
自治体ホームページで研修の確認

研修情報をチェックお住まいの自治体や福祉人材センター等のホームページで、開催時期や申し込み方法を確認しましょう。開催は年1回程度のため、見逃さないよう早めに情報収集しておくことが必要です。

STEP
申し込み

申し込み・受講申請は個人名ではできず、所属法人からの申請のみ受け付けている場合が多いです。合計研修期間は42.5時間で、一般的にはおおむね7日間程度かけて受講します。講義が20時間、演習が22.5時間程度に分かれているのが一般的です。※ただし、カリキュラムの内容は都道府県によって異なります。お住まいの地域の情報を事前に確認しましょう。

STEP
修了証を受け取る

修了証をもらう研修をすべて受講すると「修了証」が交付され、相談支援専門員として働ける資格が得られます。

相談支援専門員のキャリアップについて

相談員支援専門員として経験を積んだあとのキャリアアップとして、地域で中核的なポジションを担う主任相談支援専門員という役割があります。主任相談支援専門員は、ソーシャルワークの高い技術を持ち、相談支援専門員や地域に対する指導的役割を持ちます。

主任相談支援専門員の研修内容

主任相談支援専門員の研修を受講するには、相談支援従事者現任研修24時間の受講と、3年以上の実務経験を積むことが必要です。なお、現任研修は5年ごとに受講することで、相談支援専門員の資格を更新できます。

主任相談支援専門員研修は30時間のカリキュラムで構成され、「相談支援従事者の人材育成」「地域援助技術」の講義・演習が合計24時間実施されます。このほかに「障害福祉の動向及び主任相談支援専門員の役割と視点」「運営管理」などの講義などをすべて履修した後に、主任相談支援専門員として事業所に配置されます。

主任相談支援専門員の役割

主任相談支援専門員は、以下のような役割や仕事内容を担います。

  • 相談支援専門員の人材育成や指導
  • 自立相談支援機関や地域におけるリーダー的存在
  • サービスの向上や業務管理など相談業務全般のマネジメント
  • 地域課題の把握と新たな社会資源の開拓・開発
  • 地域の関係機関と協力し、充実した支援体制をつくる

主任相談支援専門員は障害のある利用者だけでなく、地域や関係機関にもアプローチします。

よくある質問

相談支援専門員の給料は?

相談支援専門員の平均年収は、常勤の場合で約429.6万円(令和3年9月時点)となっています。

相談支援専門員に資格更新はありますか?

相談支援専門員として働くためには、相談支援従事者初任者研修の受講から5年後に、相談支援従事者現任研修を受講する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。相談支援専門員として働くためには、実務経験(3〜10年)と研修の受講が必要ですが、相談支援専門員は実務経験の要件を満たし、必要な研修を修了すれば、相談支援専門員として働くことができます。
まずは、実務要件を満たしているかどうかなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。

くまくまさん
この記事を書いた人

泉州地域の現役福祉地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・精神保健福祉士
・行政書士試験合格(R5年度)
【略歴】
・大阪泉州在住
・病院CWを経て、地方公務員に従事
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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