【冗談で言ったのに契約成立って本当!?】意思表示について~行政書士合格者が分かりやすく解説~

民法

タイトルの答えからお話します。嘘の口約束の贈与や売買契約でも相手方が信じていれば原則有効な意思表示となります。ただし、相手方が意思表示者の意思表示が真意でないことを知っているか、または知ることが出来た時には無効となります。このように民法の知識を活用し、さまざまなトラブルの対処を考えることが出来るようになります。
 今回も行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。今回は民法の意思表示について説明しようと思います。この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。

意思表示とは

意思表示とは表示者が一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に対して表示する事です。
意思表示の流れとしては①動機(このお菓子は美味しいと評判だ)②効果意思(このお菓子を買いたい)③表示意思(レジに持って行って買おう)④表示行為(このお菓子を買います)となっています。動機自体は意思表示ではありません。民法では意思表示を意思の不在①心裡留保②虚偽表示③錯誤、瑕疵ある意思表示④詐欺⑤強迫についてさまざまな対応を取り扱っています。

心裡留保

ウソや冗談のことです。例えばAさんがあげるつもりがないのにこの車をただであげるよと言ったとします。それを言われたBさんが売ってもらえると信じた場合にこの贈与契約は有効なのか、無効なのかということがポイントです。

原則:契約は有効(理由はウソをついたAさんより、Bさんを守る必要があるため)
例外:相手方(Bさん)が表意者(Aさん)の意思表示が真意でないことを知っているか又は知ることができた場合には無効になります。(Aさんのウソを知っているBさんを保護する必要がないためです。)

通謀虚偽表示

仮装売買契約のことです。例えば売買の意思がないのに,相手と通じて行う見せかけの売買。例えば,差し押さえを免れるために,不動産を他人に売ったように見せかけたりすることです。
Aさんへ滞納が嵩み家を強制執行されそうなBさん。Bさんは友人のCさんに頼んでBさんの家を売却(名義のみ変更)した場合、この売買契約は有効か?

原則:契約は無効。ただし、Cさんが善意(虚偽表示の事実を知らない)第三者に売却した場合はBさんは第三者に対抗できません。(返してもらうことは出来ない)
Bさん(虚偽の売却)⇒Cさん(売却)⇒善意の第三者(Bさんは無効と言えない)
この第三者には事例によって第三者となりえるのか様々な見解があります。例えば、借家人は取引をしていないため第三者にあたりません。

錯誤

錯誤とは「勘違い」 のことです。錯誤には2種類あります。①表示の錯誤:1万円と言うつもりが、1,000円と言ってしまった場合です。②動機の錯誤:この土地は電車の駅が近々出来るらしいから、安く買えると思ったら全く違う場所だった場合です。
錯誤には要件があります。
①錯誤「勘違い」に基づくものであること
②その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであること
③その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたこと
④表意者に重過失がないこと

です。
原則は契約を取り消すことが出来ます。しかし、重過失な過失があった場合は取り消すことが出来ません。⇒ですが、相手方が同じ錯誤に陥っていた時は取り消すことが出来ます。

詐欺

詐欺とは他人を欺罔(ぎもう:人をあざむき、だますこと)して 錯誤 に陥れることを言います。
原則は取り消すことが出来ます。
ここで第三者が出来てた時には少しややこしくなります。
善意無過失の第三者には対抗することが出来ない。これは騙された人にも落ち度があるため、何も知らない第三者は保護されることになるからです。
また、第三者による詐欺の場合もあります。第三者Cさんが騙し、AさんがBさんに物を売ってしまった場合、Bさんが詐欺の事実を知り、または知ることができた時に限り取り消しを認めています。

強迫

強迫とは不法に害悪を告知して、相手に畏怖を生じさせ、その畏怖によって意思表示を行わせることです。
強迫による意思表示はあってはならないことであるため、取り消すことができます。

まとめ

今回は契約する際に重要となる意思表示についてご紹介しました。さまざまな意思表示があり、その表示したことが有効になるのか、無効または取り消しできるのか、様々な状況で判断することになります。心裡留保や虚偽表示は聞いたことがないかもしれませんが、錯誤や詐欺は聞いたことがあるかもしれません。これらの判断は誰を保護するべきかを基準となっているため、誰にどの程度の落ち度があるのかをイメージしてみると分かりやすいかもしれませんね。

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