【GH】利用者の金銭トラブルを防ぐ!施設内「預かり金管理」のリスクと成年後見制度の活用

こんにちは。「くまくま相談事務所」です。 障害福祉のグループホーム(GH)を運営する中で、管理者の皆様が最も神経をすり減らす業務。それは「利用者の金銭管理(預かり金)」ではないでしょうか。
「本人がすぐ使ってしまうから」「家族から頼まれたから」と、なんとなく通帳や現金を施設で預かっていませんか? 実はそれ、事業所の存続を揺るがすほどの問題に発展する可能性があります。
精神科病院のPSWとして8年、市役所の障害福祉課で勤務してきた私から見ると、曖昧な金銭管理は実地指導(運営指導)で最も厳しく追及されるポイントになります。
今回は、GHにおける金銭管理の法的リスクと、事業所と職員を守るための「成年後見制度」の活用法について解説します。
✅ この記事を読んでわかること
- 「通帳預かり」が重大違反になり得る理由
- 「お金を盗まれた!」という妄想が招く、支援関係の崩壊
- 責任を抱え込まない「成年後見制度」と「日常生活自立支援事業」の使い分け
目次
1. GHで「預かり金」の闇

運営指導に入る際、真っ先に、そして最も念入りにチェックするのが「利用者の財産侵害がないか」です。
- 「同意書」と「規程」のない管理はアウト
金銭管理を行う場合、必ず「金銭管理規程」を整備し、利用者本人(または適切な代理人)と「金銭管理に関する同意書」を書面で交わす必要があります。これが口約束で行われている場合、行政からは「不適切な管理(最悪の場合は横領の疑い)」とみなされます。 - 「キャッシュカード・暗証番号」の預かりは原則NG
「記帳が面倒だから」とキャッシュカードを預かり、暗証番号を聞き出してATMで引き出している事業所がありますが、これは極めて危険です。万が一使途不明金が出た場合、事業所は身の潔白を証明できません。原則は「通帳と印鑑の別管理(印鑑は本人が持つ)」です。 - 出納帳とレシートの「1円のズレ」
預かった現金から日用品を買う場合、必ず個別の「金銭出納帳」を作成し、すべてのレシートを添付、さらに「複数職員によるダブルチェックのサイン」が必要です。この記録がないと、指導官から厳しい追及を受けます。
2. 「お金を盗まれた」が支援を破壊する

精神障害や知的障害のある方を支援する中で、職員が最も傷つく瞬間があります。それは、大切に支援してきた利用者から「職員にお金を盗まれた」と疑われることです。
- 精神症状や認知機能低下による「物盗られ妄想」
精神疾患の症状の波や、加齢による認知機能の低下により、本人が「いくら使ったか」を忘れ、身近な支援者を犯人扱いしてしまうケースは頻繁に起こります。 - 「疑われる環境」を作らないことが最大の防御
一度「お金を盗んだ・盗まない」のトラブルが起きると、それまで築き上げてきた信頼関係は完全に崩壊します。「職員に金銭を触らせない仕組み」を作ることこそが、経営者の最大の責務です。
3. 事業所を守る法務:成年後見制度の活用

「じゃあ、金銭管理は一切やらない!」と突き放すだけでは、福祉サービスは成り立ちません。ここで必要になるのが、法務の知識を使った「責任の切り離し」です。
- 第一の防衛線:「日常生活自立支援事業」の導入
日常的な金銭管理(家賃の支払いや小遣いの受け渡し)に不安がある場合、まずは社会福祉協議会が行う「日常生活自立支援事業」の利用を検討します。第三者である専門員が介入することで、GH側は「お小遣い帳の確認をサポートするだけ」の立場に回れます。 - 第二の防衛線:「成年後見制度」への移行
判断能力が著しく低下しており、契約行為や大きな財産管理が困難な場合は、「成年後見制度(保佐・補助含む)」の申し立てへ動きます。専門職後見人(弁護士、司法書士、社会福祉士等)が財産を管理することで、GHは完全に「お金の責任」から解放されます。
よくある質問(Q&A)

まとめ:「お金の管理」は福祉の仕事ではない

グループホームの職員の仕事は、「利用者の生活を豊かにし、自立を支援すること」です。決して「銀行の窓口」や「金庫番」になることではありません。
曖昧な善意で預かった通帳一つが、職員を犯罪の疑いから追い詰め、事業所の指定取消という最悪の事態を招くことがありますので、成年後見人などの法制度を活用し、トラブルを防ぎましょう。




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