令和8年6月からの処遇改善加算はどうなる?就労継続支援B型の計算例で解説

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こんにちは。「くまくま相談事務所」です。

障害福祉事業所の経営者・管理者様、日々の運営や「運営指導(実地指導)」への対策、そして何よりスタッフの採用・定着に向けて、処遇改善加算の算定は常に頭の痛いテーマかと思います。処遇改善加算の制度は「頻繁に変わりすぎ」て、現場の理解が追いつかないのが当然です。

令和6年度の法改正によって「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3つが一本化されましたが、経過措置を経て、新しい加算率(Ⅰイ・Ⅰロなど)へ移行するのは「令和8年度6月以降」となります。

今回は、制度の完全移行となる「令和8年6月以降」の処遇改善加算の加算率と、事業所が押さえておくべき計算のポイントについて解説します。

✅ この記事を読んでわかること

  • 【令和8年6月以降】完全移行後の新しいサービス別加算率
  • 【要注意】相談支援事業所にも加算が適用?
  • 放課後等デイサービスを例にした実際の計算イメージ

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目次

1. 【令和8年6月以降】新・処遇改善加算の加算率(主要サービス抜粋)

令和8年6月以降は、旧制度の引き継ぎ期間が終了し、新しい区分である「Ⅰイ」「Ⅰロ」「Ⅱイ」「Ⅱロ」「Ⅲ」「Ⅳ」での算定が基本となります。

事業所の売上(基本報酬+各種加算・減算)に対して、以下の加算率を掛け算して処遇改善加算の単位数を算出します。ここでは、ご相談の多い主要なサービスを抜粋してご紹介します。

  • 就労継続支援B型
    • Ⅰイ:10.5% / Ⅰロ:10.9%
    • Ⅱイ:10.3% / Ⅱロ:10.7%
    • Ⅲ:8.8% / Ⅳ:7.4%
  • 共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
    • Ⅰイ:16.3% / Ⅰロ:16.9%
    • Ⅱイ:16.0% / Ⅱロ:16.6%
    • Ⅲ:14.4% / Ⅳ:12.1%
  • 放課後等デイサービス
    • Ⅰイ:15.5% / Ⅰロ:16.1%
    • Ⅱイ:15.2% / Ⅱロ:15.8%
    • Ⅲ:14.2% / Ⅳ:11.9%
  • 生活介護
    • Ⅰイ:9.3% / Ⅰロ:9.7%
    • Ⅱイ:9.2% / Ⅱロ:9.6%
    • Ⅲ:7.9% / Ⅳ:6.7%

※「イ」と「ロ」の違いは、職場環境等要件などの詳細な算定要件のクリア状況によって分かれます。体制を整えれば整えるほど、高い加算率(ロ)を取得できる仕組みです。

処遇改善加算の算定要件(賃金改善以外の要件)令和8年6月以降 相談支援系以外

 ①月額賃金改善
要件
②キャリアパス
要件Ⅰ
③キャリアパス
要件Ⅱ
④キャリアパス
要件Ⅲ
⑤キャリアパス
要件Ⅳ
⑥キャリアパス
要件Ⅴ
⑦職場環境等要件⑧R8特例要件
処遇改善
加算区分
加算Ⅳの1/2以上の
月額賃金改善
任用要件・賃金体系
(R8特例要件)
研修の実施等
(R8特例要件)
昇給の仕組み
(R8特例要件)
改善後460万1人以上 or
「職場環境等要件」14以上
配置等要件
(福専加算等)
区分ごとに1以上
(生産性向上2以上)
全体で8以上
区分ごとに2以上
(生産性向上3以上)
公表生産性向上5以上 or
連携推進法人

加算Ⅱロ1/2以上
加算Ⅰイ
加算Ⅰロ
加算Ⅱイ
加算Ⅱロ
加算Ⅲ
加算Ⅳ

※「△」・・・キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの(R8特例要件)を満たす場合には、結果的に「R8特例要件」を満たすことになるので△。そのため、加算Ⅰイ、加算Ⅱイのキャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを(R8特例要件)で満たす場合には、結果的に加算Ⅰロ、加算Ⅱロの算定要件を満たすことになります。

2. 相談支援事業所にも加算が新設!(5.1%)

これまで、計画相談支援や障害児相談支援、地域相談支援といった「相談系サービス」は、処遇改善加算の算定非対象でした。

しかし、令和8年6月以降は、これらの相談支援サービスに対しても「5.1%」の加算率が設定されます。相談支援専門員の処遇改善や人材確保が急務となっている背景が反映された形です。相談支援事業所を併設している法人は、必ずこの加算の取得準備を進めてください。

処遇改善加算の算定要件(賃金改善以外の要件)令和8年6月以降 相談支援系

 ①R8年特例要件②加算Ⅳに準ずる要件
(ⅰ)キャリアパス
要件Ⅰ
(ⅱ)キャリアパス
要件Ⅱ
(ⅲ)職場環境
要件
処遇改善
加算区分
生産性向上5以上 or
連携推進法人
任用要件
賃金体系
研修の実施等区分ごとに1以上
(生産性向上2以上)
加算or                  〇

※相談支援系の事業所については、令和8年4月5月は算定対象外です。

就労継続支援B型などの場合、6級地の1単位あたりの単価は10.36円となります。先ほどと同じ条件(1人あたりの総単位数13,000単位、利用者20名)で再計算してみましょう。

令和8年6月以降:就労継続支援B型(岸和田市・6級地)の計算例

【モデルケース】

  • 算定加算:処遇改善加算(Ⅰロ) = 加算率10.9%
  • 地域区分:大阪府岸和田市(6級地:1単位10.34円)
  • 1か月の総単位数:利用者1人あたり月間「13,000単位」
  • 利用状況:20名

① 処遇改善加算の単位数を計算 13,000単位 × 10.9% = 1,417.0単位 (※1単位未満四捨五入で 1,417単位

② 金額に換算 1,,417単位 × 10.34円 = 14,651.78円 (※1円未満切捨てで 14,651円 / 1人あたりの月額

③ 20人の利用者がいた場合 14,651円 × 20人 = 293,020円(1月あたりの処遇改善加算の総額)

月額で「293,020円」、年間で「3,516,240円」が処遇改善加算の総額となります。

よくある質問(Q&A)

令和8年5月までは、現在の加算率で計算して良いのでしょうか?

はい、その通りです。令和8年5月サービス提供分までは、経過措置期間の加算率(旧制度に基づくもの)が適用されます。今回解説した新しい加算率(Ⅰイ・Ⅰロなど)への完全移行は「令和8年6月分から」となります。つまり、年度の途中で給与計算の仕組みや請求システムの切り替えが必要になるという点に、くれぐれもご注意ください。

計算した加算額の「全額」をスタッフの基本給に上乗せしなければならないのでしょうか?

いいえ、全額を「基本給」に組み込む必要はありません。「新加算Ⅳの加算額の1/2以上を、基本給または毎月決まって支払う手当に充てる」などのベースアップ等要件を満たせば、残りの金額は賞与(ボーナス)や年度末の一時金として支給することも可能です。毎月の固定費を上げすぎると経営を圧迫するため、事業所の状況に合わせた配分ルールを就業規則(賃金規程)に定めることが大切です。

もしスタッフへの支給総額が、事業所に入金された加算額を「1円でも」下回ってしまったらどうなりますか?

非常に厳しいですが、原則として算定した処遇改善加算の「全額返還」の対象となります。「足りなかった数千円だけを追加で払えば許される」という甘いものではありません。これを防ぐためには、毎月国保連から届く「福祉・介護職員処遇改善加算総額のお知らせ」を必ず確認し、年度末の一時金などで過不足を最終調整できるような計画を立てておくことが極めて重要です。

まとめ:複雑な加算の手続きは「専門家」に任せるのも一つの手

令和8年6月に向けて、加算の区分やパーセンテージは確定していくものの、「入金された加算額以上の賃金改善をどう行うか」「加算算定期間と賃金改善実施期間をどうずらして資金繰りを安定させるか」といった実務的なパズルは、事業所ごとの就業規則や給与規程と密接に関わってきます。

日々の支援や送迎、家族対応に追われる中で、行政の複雑な手引きを読み込み、間違いのない計画書・実績報告書を作成するのは至難の業です。要件を満たせず「全額返還」となるリスクを考えれば、福祉専門の行政書士へのご相談をおすすめします。

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くまくまさん
この記事を書いた人

大阪の福祉系地方公務員が障害福祉に関連する知識を収集し、情報提供するブロガー
【資格】
・福祉系の資格あり
・行政書士試験合格
【略歴】
・大阪在住
・福祉専門の行政書士として開業準備中!!
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