就労継続支援B型で指定場所以外での作業は可能?施設外就労・農福連携の注意点

就労継続支援B型事業所を運営する中で、「近隣の企業から作業を請け負って現場で働かせたい」「自社の別店舗や農地で作業させたい」といったご相談を頻繁にいただきます。
結論から申し上げますと、条件を満たせば指定申請場所以外(事業所の外)で作業することは可能です。
しかし、ルールを理解せずに事業所の外で作業を行わせると、実地指導(運営指導)において人員配置基準違反や、最悪の場合は報酬の返還(不正受給)を指摘される重大なリスクが潜んでいます。
この記事では、厚生労働省の見解を踏まえ、指定場所以外で作業を行うための「施設外就労」の要件や、自社業務・農作業を行う際の適法な運用ルートについて詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
- 指定場所以外での作業(施設外就労)を適法に行うための必須要件とルール
- 自社の別業務や別店舗の作業を行う場合の正しい解決策(従たる事業所・内部取引)
- 農福連携(農作業)における請負契約の要否と、実地指導で指摘されないための対策
1. 厚生労働省の基本見解:指定場所以外での作業は「例外」

まず大前提として、厚生労働省の留意事項通知等において、障害福祉サービスは「指定を受けた事業所内で行うこと」が原則とされています。これは、利用者の安全確保や、支援の質(人員配置や設備)を担保するためです。
ただし、利用者の一般就労への移行促進や、より高い工賃の確保を目的とする場合に限り、例外的なスキームとして以下の運用が認められています。
- 施設外就労: 企業等と請負契約を結び、発注元の企業等に出向いて作業を行う
- 在宅支援: 利用者の自宅等で作業を行う(いわゆる在宅利用・テレワーク)
厚労省は、これらを「利用者の就労能力の向上につながる重要なステップ」として推奨する一方で、「単なる安価な労働力の提供(搾取)になっていないか」「支援員が不在のまま放置されていないか」を厳しく監視しています。
2. 「施設外就労」として認められるための必須要件

外部企業等の現場に出向いて作業を行う(施設外就労)場合、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
- 請負契約(業務委託契約)の締結: 発注元企業等と、適正な単価で契約を書面で交わしていること。
- 事前の明記・同意: 事業所の運営規程に「施設外就労を実施する」旨を記載し、利用者の個別支援計画にも位置づけて本人の同意を得ていること。
- 人員配置の確保: 施設外就労先への同行職員(生活支援員等)と、事業所本体に残る人員配置基準を、双方同時に満たしていること。
【要注意】令和6年(2024年)報酬改定での変更点
これまでは毎月自治体へ「実績報告書」を提出する必要がありましたが、令和6年度改定により提出は不要となりました。 しかし、提出が不要になっただけで、書類作成の義務がなくなったわけではありません。日々の作業日報や職員の同行記録を作成し、事業所内に確実に保管しておくことが義務付けられており、運営指導で必ずチェックされます。
3. 同一法人(自社)の別業務を行う場合の適法化ルート

「今の指定場所のまま、同じ法人が運営する別の飲食店や清掃現場に行って作業させたい」というケースがあります。 しかし、法律上「自社と請負契約を結ぶことはできない」ため、これは原則として施設外就労には該当しません。
この場合、目的と場所に応じて以下のいずれかで適法化する必要があります。
- A. 別の場所で行う場合 =「従たる事業所」の追加指定
その作業場所をB型の「従たる事業所」として自治体へ申請します。ただし、その場所単独で必要な設備基準(広さやトイレ等)や人員基準をクリアする必要があります。 - B. 指定場所内で行う場合 =「内部取引」としての適正処理
別部門の仕事を「指定事業所の中」に持ち込んで作業することは可能です。ただし、工賃搾取とみなされないよう、市場価格と同等の適正な単価で内部取引として厳格に会計処理し、その根拠を残す必要があります。
4. 農作業(農福連携)における請負契約と場所の考え方

国策としても推進されている「農福連携」ですが、農地の事業主体が誰であるかによって、契約の要否と指定場所の考え方が明確に分かれます。
- 外部の農家の畑で行う場合(請負契約:必要)
「施設外就労」の扱いとなるため、農家との請負契約が必須です。農機具の事故や熱中症等の責任の所在を契約書で明確にしておくことが重要です。 - 自社所有・賃借の畑で行う場合(請負契約:不要)
自社の自主生産活動となるため契約は不要ですが、「指定外の場所での作業」にならないよう注意が必要です。事業所と一体的とみなされる隣接地以外の場合は、前述の「従たる事業所」の指定が必要になります。 ※農地であっても、利用者の体調管理のために近接地に休憩室・トイレ・手洗い場等を備えた建屋(プレハブ等)を確保するよう設備基準で求められるため、事前の行政確認が必須です。
よくある質問(Q &A)

まとめ

就労継続支援B型において、事業所の外で作業を行うことは、利用者の工賃向上や就労スキルの獲得に非常に有効です。 しかし、厚生労働省のルールを逸脱した運用は、行政処分に直結する大きなリスクとなります。
- 外部への作業は「施設外就労」の要件(請負契約・人員配置・記録)を徹底する
- 自社の別事業や離れた農地での作業は「従たる事業所」の指定を検討する
「自社のケースは施設外就労にあたるのか?」「従たる事業所の要件を満たせるか?」など、ご不安な点があれば、指定権者(自治体)のローカルルールにも精通した専門家へ事前にご相談されることを強くお勧めいたします。




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