【就労継続支援B型】前年度「平均工賃月額」の正しい計算方法。開所日数の罠と小数点のルール
こんにちは。 障害福祉サービス専門で皆様をサポートする「くまくま相談事務所」です。
就労継続支援B型事業所にとって、毎年の「平均工賃月額」の算定は、翌年度の基本報酬や各種加算の算定に直結する最も重要な業務の一つです。
しかし、この計算ルールは非常に細かく、実地指導(運営指導)の際に行政の担当者が電卓を叩いて再計算した結果、「端数処理が間違っていたため報酬区分が下がり、過去に遡って過誤調整(返還)になった」という悲惨なケースが後を絶ちません。
今回は、行政が定めている正しい「平均工賃月額の算定方法」を、ミスが起きやすいポイントに絞って徹底解説します。
✅ この記事を読んでわかること
- 【基本の計算ステップ】 1・2・3の順で確実に導き出す、「平均工賃月額」の正しい算定手順
- 【開所日数の計算】 レクリエーションやバザーの日はどう扱う?工賃計算における「開所日」の厳格なルール
- 【小数点の取り扱い】 返還金リスクを防ぐ!「切り上げ」と「四捨五入」を使い分ける、小数点の正しい処理方法
1. 平均工賃月額を算出する「3つのステップ」

平均工賃月額は、単純に「支払った工賃の合計を人数で割る」だけでは出せません。以下のア・イ・ウの順序で計算を行う必要があります。
- 【ステップ 1前年度における「工賃支払総額」を算出する まずは、前年度の1年間(4月〜翌年3月)で、利用者全員に支払った工賃の総額を計算します。
- 【ステップ 2】前年度における開所日1日あたりの「平均利用者数」を算出する 計算式:「前年度の延べ利用者数」 ÷ 「前年度の年間開所日数」
- 【ステップ 3】1人あたりの「平均工賃月額」を算出する 計算式:(ア)工賃支払総額 ÷ (イ)平均利用者数 ÷ 12ヶ月
流れ自体はシンプルですが、実は「(2)の開所日数」と「端数(小数点)の処理」に大きな落とし穴があります。
2. ここが落とし穴!「開所日数」の正しい数え方

ステップ(イ)の計算で使う「開所日数」。皆さんの事業所では、1年間の営業日をそのまま足していませんか?
行政のルールでは、開所日数について以下のように厳格に定められています。
つまり、「今日は1日みんなでバス旅行(レクリエーション)に行った」「今日は施設内でクリスマス会をしただけで、作業は一切していない」という日は、工賃計算上の「開所日数」からは除外しなければなりません。
例外:バザーや販売会はどうなる?
「じゃあ、地域のバザーに参加した日はどうなるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。 これについては、「地域のバザーなどの行事で、利用者が作成した生産品等を販売した場合に関しては、開所日として算定して差し支えない」とされています。 販売活動=立派な生産活動(工賃が発生する活動)とみなされるためです。監査で突っ込まれた時のために、「この日はバザーで販売活動を行った」という記録(日報や写真)を必ず残しておきましょう。
3. 小数点の取扱いは?

よく問題になるのは、計算結果の「小数点」の扱いです。ここを自己流で丸めてしまうと、計算結果が狂ってしまいます。ルールは以下の通りです。
①「平均利用者数(ステップ 2)」の小数点処理
- ルール: 小数点第1位までを算出する。小数点第2位以降もある場合は「切り上げる」。
- 【例】 計算結果が「14.679人」だった場合 ⇒ 「14.7人」とする。 ※四捨五入ではなく「切り上げ」であることに注意してください。「14.61人」でも「14.7人」になります。
②「平均工賃月額(ステップ 3)」の小数点処理
- ルール: 円未満を「四捨五入」する。
- 【例】 計算結果が「15,432.4円」だった場合 ⇒ 「15,432円」。 計算結果が「15,432.5円」だった場合 ⇒ 「15,433円」。
よくある質問(Q&A)

まとめ:少しのミスが経営を揺るがす前に

就労継続支援B型の工賃計算は、「たかが数十円、小数点数桁のズレ」が、事業所の基本報酬ランクを落とし、数百万円単位の減収(返還)に繋がる恐ろしい爆弾になり得ます。
- レクリエーションの日は開所日数から抜いているか?
- 平均利用者の計算は「第2位を切り上げ」ているか?
- 最終的な金額は「四捨五入」しているか?
毎年の報告前に、必ずこの3点をダブルチェックする体制を整えてください。




コメント