共同生活援助の物件選び|居室の内法面積7.43㎡以上とは?測り方と注意点を解説
大阪・泉州地域を中心に、障害福祉サービス事業所の立ち上げや運営をサポートする「くまがい行政書士事務所」です。
共同生活援助、いわゆる障がい者グループホームの開業準備では、物件選びが非常に重要です。
物件を探していると、不動産会社から次のように説明されることがあります。
「この部屋は6畳あるので、居室として使えると思います」
「間取り図では8㎡と書かれています」
しかし、共同生活援助の居室面積は、単に不動産資料に記載された面積や畳数だけで判断することはできません。
共同生活援助の居室は、原則として利用者1人につき1室を確保し、収納スペースを除いた床面積が7.43㎡以上必要です。
大阪府の障がい者グループホーム開設ハンドブックでは、さらに「内法面積」で確認することが示されています。内法面積とは、壁の中心ではなく、壁で囲まれた内側だけの床面積をいいます。
物件の契約後に居室面積が不足していることが分かると、間取りの変更が必要になったり、予定していた定員で指定申請ができなくなったりする可能性があります。
そのため、物件契約前の段階で、各居室の内法寸法を実測し、指定権者へ確認しておくことが大切です。
なお、基本的な設備基準は法令や条例などに基づいていますが、居室面積の確認方法、図面への記載方法、収納部分や柱の取扱い、端数の考え方、事前協議の方法など、具体的な運用は指定権者によって異なる場合があります。
この記事の内容だけで物件の適否を判断せず、必ず事業所所在地を管轄する指定権者へ事前に確認してください。
この記事を読んでわかること
この記事では、次の内容について解説します。
・共同生活援助の居室面積基準
・内法面積と壁芯面積の違い
・押入れやクローゼットの取扱い
・居室面積でよくある間違い
1.共同生活援助の居室面積は7.43㎡以上

共同生活援助の居室は、原則として利用者1人につき1室を確保しなければなりません。
また、居室の床面積は、収納設備を除いて7.43㎡以上必要とされています。厚生労働省の資料でも、共同生活援助の居室面積について「収納設備を除き7.43㎡」と示されています。
大阪府の障がい者グループホーム開設ハンドブックでは、居室について次のように示されています。
「1人一室の居室を確保し、居室面積は収納スペースを除き内法面積で7.43㎡以上とすること」
同ハンドブックでは、内法面積について「壁で囲まれた内側だけの床面積」と説明されています。
つまり、大阪府内で共同生活援助の物件を検討する場合、居室について主に次の点を確認する必要があります。
・原則として利用者1人につき1室であること
・壁の内側から測った内法面積で確認すること
・押入れやクローゼットなどの収納スペースを除くこと
・収納スペースを除いた面積が7.43㎡以上あること
「部屋全体では7.43㎡ある」というだけでは、必ずしも基準を満たしているとは限りません。
収納部分を除いた、利用者が実際に居室として使用できる部分が7.43㎡以上あるかを確認する必要があります。
基準と具体的な取扱いは分けて考える
「収納設備を除いて7.43㎡以上」という基本的な基準と、実際の物件でどこまでを居室面積に含めるかという具体的な判断は、分けて考える必要があります。
例えば、次のような事項は指定権者への確認が必要になることがあります。
・柱の出っ張りをどのように計算するか
・床の間を居室面積に含められるか
・扉を撤去した押入れを居室として扱えるか
・造り付けの棚が収納設備に該当するか
・小数点以下をどのように表示するか
・平面図にどの範囲の寸法を記載するか
大阪府のハンドブックにも、事業所所在地によって申請先、申請方法や取扱い基準などが異なる旨が記載されています。
他の自治体で認められた物件や計算方法が、申請先の指定権者でも同じように認められるとは限らないため注意しましょう。
2.内法面積とは?

内法面積とは、壁の内側から反対側の壁の内側までを測って計算した床面積です。
簡単にいうと、壁の厚みを含めず、実際に室内として使用できる部分の広さを表します。
例えば、長方形の居室の内側を測ったところ、次の寸法だったとします。
・横幅:2.7m
・奥行き:3.0m
この場合の内法面積は、次のとおりです。
2.7m×3.0m=8.10㎡
この部屋に押入れやクローゼットなどの収納スペースがなければ、7.43㎡以上を確保しているため、居室面積の基準を満たすことになります。
ただし、室内に収納スペースがある場合は、その収納部分を除いて計算しなければなりません。
3.内法面積と壁芯面積の違い
不動産資料や建築図面に記載されている面積が、そのまま共同生活援助の指定申請に使用できるとは限りません。
建物や部屋の面積には、主に「壁芯面積」と「内法面積」という考え方があります。
| 計算方法 | 測定する位置 | 特徴 |
|---|---|---|
| 壁芯面積 | 壁の中心線から反対側の壁の中心線まで | 壁の厚みの一部が面積に含まれる |
| 内法面積 | 壁の内側から反対側の壁の内側まで | 実際に使用できる室内部分を測る |
壁芯面積は、壁の厚みの一部を含めて計算するため、通常は内法面積よりも広くなります。
そのため、不動産資料に「8.0㎡」と記載されていても、その数字が壁芯面積であれば、実際の内法面積は8.0㎡よりも小さくなります。
共同生活援助の居室として使用できるかを確認する際は、募集図面に記載された面積だけで判断せず、現地で壁の内側から壁の内側まで測ることが重要です。
4.物件資料に「8㎡」と書かれていても安心できない

不動産会社から受け取った図面に「洋室8.0㎡」と記載されていたとします。
一見すると、7.43㎡以上あるため問題ないように思えます。
しかし、次のような可能性があります。
- 8.0㎡が壁芯面積で計算されている
- 押入れやクローゼットを含んでいる
- 柱や壁の出っ張りが反映されていない
- 図面の寸法が概算で記載されている
- 図面作成後に間取りが変更されている
- 現在の建物の状態と図面が一致していない
特に注意したいのは、図面上の面積が7.5㎡や7.6㎡など、基準に近い場合です。
壁の厚みや収納スペースを除いた結果、内法面積が7.43㎡を下回る可能性があります。
基準ぎりぎりの居室は、測定方法や指定権者の確認によって判断が変わるおそれがあるため、できる限り面積に余裕のある物件を選ぶことをおすすめします。
5.収納スペースは居室面積から除く
共同生活援助の居室面積を計算するときは、収納設備や収納スペースを除かなければなりません。
代表的な収納スペースには、次のようなものがあります。
- 押入れ
- クローゼット
- 物入れ
- ウォークインクローゼット
- 建物に固定された収納設備
例えば、居室全体の内法面積が7.80㎡あり、その中に0.60㎡のクローゼットがある場合は、次のように計算します。
この場合、収納スペースを除いた面積が7.43㎡未満となるため、居室面積の基準を満たしません。
不動産会社から「部屋全体で7.8㎡あります」と説明された場合でも、その面積に収納部分が含まれていないかを確認する必要があります。
家具を置く部分も差し引くの?
ベッド、机、タンスなど、入居後に設置する一般的な家具の面積を、居室面積から差し引いて計算するわけではありません。
居室面積の計算で問題となるのは、主に建物の間取りや設備として設けられている押入れ、クローゼット、物入れなどです。
ただし、造り付けの棚や収納設備、床の間、特殊な形状の収納部分などを居室面積に含められるかどうかは、構造や使用方法によって判断が分かれる可能性があります。
事業者側だけで判断せず、平面図、寸法、現況写真、改修予定図などを準備したうえで、指定権者へ確認しましょう。
6.居室の内法面積の測り方

居室面積を確認するときは、メジャーやレーザー距離計を使用し、壁の内側から反対側の壁の内側までを測ります。
長方形の部屋の場合
長方形の部屋であれば、基本的には次の計算方法で確認できます。
横幅×奥行き=内法面積
例えば、次の寸法の部屋を考えてみます。
・横幅:2.65m
・奥行き:3.00m
計算結果は次のとおりです。
2.65m×3.00m=7.95㎡
収納スペースがなければ、7.43㎡以上を確保しています。
収納スペースがある場合
先ほどの7.95㎡の部屋に、次の寸法のクローゼットがあるとします。
・横幅:0.90m
・奥行き:0.50m
クローゼットの面積は、次のとおりです。
0.90m×0.50m=0.45㎡
居室全体の内法面積から、クローゼット部分を除きます。
7.95㎡-0.45㎡=7.50㎡
この場合は、収納部分を除いても7.43㎡以上あるため、面積上は基準を満たしています。
ただし、最終的に居室として認められるかどうかは、面積以外の設備基準なども含めて指定権者が確認することになります。
凹凸のある部屋の場合
柱や壁の出っ張りがあり、きれいな長方形になっていない部屋は、一度に計算しようとすると誤差が出やすくなります。
その場合は、部屋を複数の長方形に分け、それぞれの面積を計算して合計します。
例えば、部屋をA部分とB部分に分けた場合は、次のように計算します。
A部分の面積+B部分の面積=居室の内法面積
ただし、柱の出っ張りや特殊な形状の部分をどのように計算するかについては、指定権者へ確認した方がよい場合があります。
指定申請で提出する平面図には、各居室の内法寸法、収納部分の寸法、収納部分を除いた面積を分かりやすく記載しましょう。
7.居室面積でよくある5つの間違い

間違い1.壁芯面積で計算している
建築図面に記載された壁芯寸法を、そのまま使って計算してしまうケースです。
壁芯面積には壁の厚みの一部が含まれているため、実際の内法面積よりも広くなります。
間違い2.押入れやクローゼットを含めている
居室全体では7.43㎡以上あっても、押入れやクローゼットを除くと基準を下回ることがあります。
部屋全体の寸法だけでなく、収納部分の幅と奥行きも測定しましょう。
間違い3.不動産会社の図面だけで判断している
不動産会社が作成した募集図面は、障害福祉サービスの指定申請を目的として作成されたものではありません。
寸法が省略されていたり、概算で表示されていたりすることがあります。
必ず現地で実測しましょう。
間違い4.小数点以下を安易に切り上げている
実測した面積が7.426㎡だった場合に、四捨五入して7.43㎡と判断するのは危険です。
小数点以下の表示方法や端数の考え方については、指定権者の取扱いを確認する必要があります。
面積が基準ぎりぎりの場合は、わずかな測定誤差で7.43㎡を下回る可能性があります。
間違い5.物件契約後に指定権者へ相談している
物件契約後に指定権者へ相談し、「この部屋は居室として認められません」と判断されても、簡単に物件を変更できないことがあります。
予定していた定員を減らさなければならなかったり、間取りの変更工事が必要になったりする可能性もあります。
家賃、保証金、仲介手数料、設計費用、改修費用などが無駄になることを防ぐためにも、指定権者への相談は物件契約前に行うことが重要です。
8.指定権者によって取扱いが異なる場合がある
共同生活援助の基本的な設備基準は、法令や各自治体の条例などに基づいて定められています。
一方で、指定申請の進め方や物件確認の具体的な取扱いは、指定権者によって異なる場合があります。
大阪府のハンドブックでも、共同生活援助を含む障害福祉サービスの指定・指導権限が各市や広域の所管部署へ移譲されており、事業所所在地によって、問い合わせ先、申請先、申請方法や取扱い基準などが異なると説明されています。
例えば、次のような点は指定権者ごとに確認しましょう。
- 内法寸法の測定方法
- 図面に記載する寸法の範囲
- 小数点以下の表示や端数の取扱い
- 柱や壁の出っ張りの計算方法
- 床の間や造り付け棚の取扱い
- 押入れを改修した場合の確認方法
- 事前協議で必要となる資料
- 申請書類の提出時期
同じ大阪府内であっても、事業所の所在地によって指定権者が異なることがあります。
「以前、別の市では認められた」
「知り合いのグループホームでは、この計算方法で申請できた」
という事情があっても、申請先の指定権者が同じ判断をするとは限りません。
物件の所在地が決まった段階で、管轄する指定権者を確認し、個別に相談することが大切です。
9.物件契約前に確認する手順
共同生活援助の物件を検討するときは、次の順番で確認しましょう。
まずは、不動産会社や物件所有者から間取り図を入手します。
可能であれば、各部屋の寸法が記載された建築図面も確認しましょう。ただし、図面に記載された寸法だけで居室面積を確定するのは避けてください。
図面の数字だけを信用せず、現地で壁の内側から反対側の壁の内側まで測ります。次の箇所も確認しましょう。
・柱の出っ張り
・押入れ
・クローゼット
・物入れ
・床の間
・造り付けの棚
・間仕切り壁
・増改築された部分
各居室について、収納スペースを除いた内法面積を計算します。
例えば、4部屋ある物件でも、1部屋が7.43㎡未満であれば、予定していた4名定員で指定を受けられない可能性があります。すべての居室を個別に確認してください。
現地確認時には、各居室の写真と測定した寸法を記録しておきましょう。どの壁からどの壁まで測ったのか分かるように、間取り図へ寸法を書き込んでおくと、指定権者への相談や申請用平面図の作成に役立ちます。
同生活援助の指定申請を担当する指定権者へ、物件契約前に相談します。
相談する際は、次の資料を準備しておくとスムーズです。
・物件の所在地
・間取り図
・各居室の内法寸法
・収納部分の寸法
・収納部分を除いた居室面積
・建物内外の写真
・予定する利用定員
・建物の種類
・改修を予定している場合は改修予定図
基準ぎりぎりの居室や特殊な形状の居室がある場合は、その部分が分かる写真や図面を提示し、具体的に確認しましょう。
共同生活援助の物件は、指定権者だけでなく、消防法や建築基準法などの確認も必要です。
大阪府のハンドブックでも、指定申請に当たり、所在地を管轄する消防署への手続きや、建築基準法に基づく確認が必要であると案内されています。
指定権者から面積について問題がないと言われても、消防法や建築基準法上も使用できるという意味ではありません。福祉、消防、建築の各担当部署へ、それぞれ確認する必要があります。
各関係機関への確認が終わってから、賃貸借契約や売買契約を進めます。
確認が終わる前に契約する場合は、共同生活援助として使用できないことが判明したときに契約を解除できるよう、停止条件や解除条件を設けられないか、不動産会社や物件所有者と相談することも大切です。
11.面積以外にも確認が必要
すべての居室で内法面積7.43㎡以上を確保できていても、それだけで共同生活援助の物件として使用できるとは限りません。
物件全体について、次のような確認も必要です。
- 台所が設けられているか
- トイレや浴室が利用人数に適しているか
- 居間や食堂などの相互交流スペースがあるか
- 利用者の障がい特性に適した構造になっているか
- 車いす利用者に必要な廊下幅や段差対策ができるか
- 物件所有者から事業利用の承諾を得られるか
- 消防設備を設置できるか
- 建築基準法上の問題がないか
- 用途地域や市街化調整区域に問題がないか
- 避難経路を確保できるか
大阪府の設備基準では、台所、トイレ、浴室などの日常生活に必要な設備に加えて、食堂やダイニングなど、利用者が相互に交流できるスペースを確保することが示されています。
また、既存の戸建て住宅や共同住宅の一部を共同生活援助として使用する場合には、別途の取扱い基準が設けられている場合があります。大阪府の公式案内でも、既存戸建て住宅や既存共同住宅の一部を活用する場合は、別途取扱いがあることが案内されています。
居室面積だけを確認して契約するのではなく、物件全体を総合的に確認することが重要です。
よくある質問

まとめ

共同生活援助の居室には、原則として利用者1人につき1室を確保し、収納スペースを除いて7.43㎡以上の床面積が必要です。
大阪府のハンドブックでは、壁で囲まれた内側だけを測る「内法面積」で7.43㎡以上確保することが示されています。
物件資料に記載された面積や「6畳」といった表示だけでは、基準を満たしているか判断できません。
物件を選ぶ際は、特に次の点に注意しましょう。
・壁芯ではなく内法で測る
・押入れやクローゼットを除いて計算する
・図面だけでなく現地で実測する
・基準ぎりぎりの物件はできる限り避ける
・物件契約前に指定権者へ相談する
・消防署や建築担当部署にも確認する
また、居室面積の具体的な確認方法、収納スペースや柱の取扱い、端数の表示、必要書類、事前協議の方法などは、指定権者によって異なる場合があります。
この記事で紹介した内容は一般的な確認方法であり、すべての自治体で同じ判断になるとは限りません。
「以前、別の自治体で認められた」「同じ間取りのグループホームがある」という理由だけで物件を契約せず、必ず事業所所在地を管轄する指定権者へ確認することが大切です。
共同生活援助の物件選びでお悩みの方へ
共同生活援助の物件選びでは、居室の内法面積だけでなく、収納部分の取扱い、共用スペース、消防設備、建築基準法、物件所有者の承諾など、さまざまな事項を確認しなければなりません。
「検討している物件の居室面積を確認してほしい」
「この間取りで何名定員にできるか分からない」
「指定権者へどのように相談すればよいか分からない」
「物件を契約する前に、指定申請上の問題がないか確認したい」
そのような場合は、くまがい行政書士事務所へご相談ください。




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