精神障害者支援体制加算とは?算定要件・対象研修・届出の注意点を解説

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相談支援事業所の加算には、専門的な支援体制を評価するものとして「精神障害者支援体制加算」があります。

名称から、共同生活援助や就労継続支援B型などでも算定できるように思われることがありますが、精神障害者支援体制加算の対象となるのは、主に次の相談支援です。

  • 計画相談支援
  • 障害児相談支援

すべての障害福祉サービス事業所が算定できる加算ではないため、注意が必要です。

この記事では、令和8年度の報酬体系を踏まえ、精神障害者支援体制加算の単位数、算定要件、対象研修、届出時の注意点を解説します。令和8年度の報酬算定構造では、計画相談支援と障害児相談支援の双方に同加算が設けられています。

この記事を読んでわかること

この記事では、精神障害者支援体制加算について、次の内容を解説します。

  • 精神障害者支援体制加算の対象となるサービス
  • 加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)の違い
  • それぞれの単位数と算定要件
  • 加算算定でよくある間違いと注意点

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目次

精神障害者支援体制加算とは?

精神障害者支援体制加算は、精神障害のある方に対して適切な計画相談支援を提供できる体制を整えている相談支援事業所を評価する加算です。

精神科病院などに入院している方や、地域で単身生活をしている精神障害者に対し、地域移行支援・地域定着支援のマネジメントを含めた相談支援を行うことが想定されています。

算定するためには、精神障害の障害特性や支援技法に関する所定の研修を修了した、常勤の相談支援専門員を1名以上配置する必要があります。

なお、算定体制を整えている事業所は、精神障害があることや障害特性への対応が難しいことだけを理由として、利用申込みを拒むことは認められていません。

加算の単位数

令和8年度の精神障害者支援体制加算は、次の2区分です。

区分単位数主な違い
精神障害者支援体制加算(Ⅰ)60単位/月対象者への支援実績と医療機関等との連携が必要
精神障害者支援体制加算(Ⅱ)30単位/月研修修了者の配置と体制の公表が中心

計画相談支援、障害児相談支援のいずれも、令和8年度はⅠが月60単位、Ⅱが月30単位です。

精神障害者支援体制加算(Ⅱ)の算定要件

加算(Ⅱ)は、基本となる支援体制を整えている事業所が対象です。

主な要件は次のとおりです。

1.対象研修を修了した相談支援専門員を配置する

精神障害者の障害特性や支援技法に関する研修を修了した、常勤の相談支援専門員を1名以上配置します。

精神保健福祉士などの資格を持っているだけで、自動的に加算の研修要件を満たすわけではありません。別途、都道府県が加算対象として認める研修を修了しているか確認する必要があります。

2.支援体制を公表する

研修修了者を配置し、精神障害者へ対応できる体制を整えていることを公表しなければなりません。

一般的には、事業所内への掲示やホームページへの掲載などにより公表します。

3.指定権者へ届け出る

加算を算定する前に、研修修了者を配置していることを市町村などの指定権者へ届け出ます。

厚生労働省の通知では、指定権者への届出に加えて、体制を事業所内に掲示し、公表することが求められています。

精神障害者支援体制加算(Ⅰ)の算定要件

加算(Ⅰ)は、加算(Ⅱ)の体制に加えて、実際の支援実績と医療機関等との連携が必要です。

1.精神障害者が支援対象者に含まれている

事業所の支援対象者に、障害者総合支援法上の精神障害者がいることが必要です。

対象者の確認には、例えば次の書類が考えられます。

  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 自立支援医療受給者証(精神通院医療)
  • 医師の診断書
  • 医療機関からの診療情報提供書

対象となる精神障害者がいる場合、要件を満たしていれば、精神障害者だけでなく事業所のすべての利用者について加算できます。

2.前6か月以内に実際の支援を行っている

研修を修了した相談支援専門員が、精神障害者に対して実際に計画相談支援を行っている必要があります。

「現に指定計画相談支援を行っている」とは、前6か月以内に精神障害者へ指定計画相談支援を行った実績があることをいいます。

そのため、対象者の氏名、支援日、担当者、支援内容などを確認できるよう、支援実績を管理しておかなければなりません。

新規開設した事業所は、原則として前6か月の支援実績をすぐには満たせないため、まず加算(Ⅱ)を算定し、実績を積んでから加算(Ⅰ)へ変更する流れが考えられます。実際の切替時期は指定権者へ確認しましょう。

3.医療機関や訪問看護事業所との連携体制がある

加算(Ⅰ)では、利用者が通院または利用している病院等や訪問看護事業所の次の専門職と連携する体制が必要です。

  • 保健師
  • 看護師
  • 精神保健福祉士

連携体制があると認められるためには、少なくとも年1回以上、研修修了者と医療機関等の専門職が面談または会議を行い、精神障害者への支援について検討する必要があります。

会議を開催するだけでなく、開催日、参加者、検討した内容、今後の支援方針などを議事録として残しておくことが重要です。

4.連携先となる医療機関等にも条件がある

加算(Ⅰ)の連携先は、どの病院や訪問看護事業所でもよいわけではありません。

厚生労働省の通知では、対象となる医療機関等について、次のように定められています。

  • 療養生活継続支援加算を算定している病院等
  • 精神科重症患者支援管理連携加算の届出をしている訪問看護事業所

また、対象利用者が、その医療機関等へ前1年以内に通院または利用している必要があります。

単に地域の精神科病院と意見交換をしているだけでは、加算(Ⅰ)の要件を満たさない可能性があるため注意しましょう。

算定前に準備しておきたい書類

精神障害者支援体制加算を届け出る際は、少なくとも次の資料を整理しておきましょう。

  • 対象研修の修了証書
  • 研修修了者の勤務形態一覧表
  • 常勤であることが分かる雇用契約書等
  • 事業所内に掲示する支援体制の案内
  • ホームページ等への公表内容
  • 精神障害者に該当することを確認した記録
  • 前6か月の支援実績一覧
  • 医療機関等との面談・会議記録
  • 連携先医療機関等の算定・届出状況を確認した記録
  • 加算に関する届出書類

必要書類や提出方法は指定権者によって異なる場合があります。事業所所在地を管轄する指定権者の様式と案内を確認してください。

算定でよくある間違い

研修修了者が非常勤である

加算の趣旨では、対象研修を修了した常勤の相談支援専門員を1名以上配置することが求められています。

勤務時間や兼務状況を含め、常勤として配置できているか確認しましょう。

精神保健福祉士の資格だけで届け出ている

精神保健福祉士の資格があっても、都道府県が対象と認める研修を修了していなければ、研修要件を満たしません。

資格証だけでなく、加算対象研修の修了証書を確認してください。

加算(Ⅰ)を支援実績なしで算定している

加算(Ⅰ)では、研修修了者が前6か月以内に精神障害者へ計画相談支援を行った実績が必要です。

研修修了者を配置しただけでは、加算(Ⅰ)は算定できません。

医療機関との会議記録がない

年1回以上の面談・会議を実施していても、記録がなければ要件を確認できません。

日時、参加者、所属、検討内容、今後の方針を記録しておきましょう。

公表をしていない

指定権者へ届出を提出しただけでは足りません。

事業所内への掲示と、ホームページなどによる公表状況も確認しましょう。

研修修了者の退職後も算定している

研修修了者の退職や勤務形態の変更により要件を満たさなくなった場合は、速やかに加算の取下げまたは区分変更を届け出る必要があります。

要件を満たさないまま請求を続けた場合、過誤調整や返還の対象となる可能性があります。厚生労働省の通知でも、要件を満たさなくなった場合は速やかに届け出て、要件を失った日以降は算定しないこととされています。

よくある質問

精神障害者だけに加算できますか?

加算(Ⅰ)は、事業所の支援対象者に精神障害者がおり、所定の支援実績などを満たしていれば、事業所のすべての利用者に対して算定できます。精神障害者本人だけに算定する加算ではありません。

障害児相談支援でも算定できますか?

障害児相談支援にも精神障害者支援体制加算があります。

同一敷地内の計画相談支援事業所と障害児相談支援事業所で研修修了者が兼務し、精神に障害のある児童の保護者へ障害児相談支援を行っている場合、その実績を加算(Ⅰ)の要件として取り扱える場合があります。

研修修了者が退職した場合はどうなりますか?

常勤の研修修了者がいなくなれば、加算要件を満たさなくなります。

退職や異動が決まった段階で指定権者へ相談し、加算の取下げや区分変更を行いましょう。

まとめ

精神障害者支援体制加算は、計画相談支援事業所や障害児相談支援事業所が、精神障害者へ専門的に対応できる体制を整えていることを評価する加算です。

令和8年度の単位数は、次のとおりです。

  • 加算(Ⅰ):月60単位
  • 加算(Ⅱ):月30単位

算定時には、特に次の点を確認しましょう。

  • 加算対象研修を修了した常勤の相談支援専門員がいるか
  • 研修修了者の配置を掲示・公表しているか
  • 指定権者へ事前に届け出ているか
  • 加算(Ⅰ)は前6か月の支援実績があるか
  • 加算(Ⅰ)の対象となる医療機関等との連携があるか
  • 面談や会議の記録を残しているか

研修修了者を配置しているだけで、すべての要件を満たすわけではありません。

特に加算(Ⅰ)は、支援対象者、過去の支援実績、医療機関等との連携先、年1回以上の面談・会議など、複数の要件を確認する必要があります。

精神障害者支援体制加算の届出でお悩みの方へ

くまがい行政書士事務所では、相談支援事業所の加算届について、研修修了状況、勤務体制、支援実績、医療機関との連携記録などを確認し、必要書類の作成をサポートしています。

「加算(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらを算定できるか分からない」

「受講した研修が加算対象か確認したい」

「現在の支援記録で要件を満たすか確認してほしい」

「研修修了者の退職に伴う変更届が必要になった」

このような場合は、事業所所在地を管轄する指定権者への確認も含めて、早めにご相談ください。

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行政書士 熊谷辰裕
この記事を書いた人

障害福祉専門の行政書士
【資格】
・精神保健福祉士
・行政書士
【略歴】
・大阪府貝塚市
・精神科病院PSWの経験と元地方公務員の経験を活かし、障がい福祉専門の行政書士として、令和8年5月より行政書士事務所登録し開業。
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