就労継続支援B型の開業時に申請するべき加算とは?取り忘れを防ぐポイントを行政書士が解説
大阪・泉州地域を中心に、障害福祉サービス事業所の立ち上げや運営をサポートする「くまがい行政書士事務所」です。
くまがい行政書士事務所では、元地方公務員として障害福祉サービスに関する業務に携わった経験と、精神保健福祉士としての視点を活かし、事業所様の開業から運営まで伴走支援しています。
就労継続支援B型を開業するとき、指定申請とあわせて確認しておきたいのが「どの加算を算定するか」です。
障害福祉サービスの報酬は、基本報酬だけで決まるものではありません。職員配置や送迎体制、工賃向上への取組などによって、加算を算定できる場合があります。
一方で、「指定は取れたけれど、送迎加算の届出をしていなかった」「目標工賃達成指導員を配置できる体制だったのに、開業時に検討していなかった」「初期加算を請求し忘れていた」といったケースも考えられます。
加算には、事前に行政へ体制届を提出するものと、利用者ごとの実績に応じて請求するものがあります。
この記事では、就労継続支援B型を開業するときに特に確認しておきたい加算を絞って解説します。
この記事を読んでわかること
- B型開業時に確認したい主な加算
- 開業時から検討できる加算
- 開業時には算定できない加算
- 加算届でよくある間違い
1.指定申請と加算届はセットで考える

就労継続支援B型の開業では、人員基準・設備基準・運営基準を満たしたうえで指定申請を行います。
しかし、指定を受ければ、算定可能な加算が自動的にすべて付くわけではありません。
加算によっては、「算定要件を満たし、行政へ体制届を提出していること」が必要です。
そのため、指定申請が終わってから加算を考えるのではなく、人員配置や事業計画を作る段階で、どの加算を算定するか検討することが重要です。
2.B型開業時に特に確認したい加算
新規開業時には、まず次の加算を確認するとよいでしょう。
| 加算 | 開業時の確認ポイント |
|---|---|
| 福祉・介護職員等処遇改善加算 | 職員の賃金改善・給与設計 |
| 目標工賃達成指導員配置加算 | 工賃向上と人員配置 |
| 送迎加算 | 送迎体制・実施回数等 |
| 初期加算 | 新規利用者の利用開始日 |
| 欠席時対応加算 | 相談援助と記録体制 |
重要なのは、単に「加算単位が高いから取る」という考え方ではありません。
特に人員配置を伴う加算では、加算収入と追加する人件費のバランスを確認する必要があります。
3.福祉・介護職員等処遇改善加算
B型を開業する場合、特に検討したいのが福祉・介護職員等処遇改善加算です。
職員の賃金改善を目的とする加算であり、人材確保や職員定着の面でも重要です。ただし、単に職員へ給与を支払っていれば算定できるわけではありません。加算区分に応じて、
- 賃金改善
- キャリアパス
- 月額賃金改善
- 職場環境等要件
- 必要な規程や体制
などを確認する必要があります。計画書の提出だけでなく、加算取得後には実績報告も必要です。
開業前に給与設計まで考える
処遇改善加算は、事業所を開業した後になってから検討すると、既に作成した給与体系や賃金規程を見直さなければならないことがあります。
そのため、
- 基本給
- 手当
- 賞与
- 昇給
- キャリアパス
などを決める段階から、処遇改善加算を踏まえて設計しておくことをおすすめします。
4.目標工賃達成指導員配置加算
就労継続支援B型で開業時に検討したいのが、目標工賃達成指導員配置加算です。
目標工賃達成指導員を配置し、通常の人員配置よりも手厚い支援体制を整え、工賃向上に取り組む事業所を評価する加算です。
例えば20人以下のB型では、現在45単位/日が設定されています。
ただし、職員を追加配置する必要があるため、加算が取れる=必ず利益が増えるとは限りません。
開業前に収支をシミュレーションする
例えば、目標工賃達成指導員を1名追加すると、
- 給与
- 社会保険料
- 通勤手当
- 賞与
- 採用費
などの人件費が増えます。
そのため、加算による年間収入と追加人件費を比較することが重要です。
また、単に職員を配置するだけではなく、工賃向上計画を作成し、生産活動の収益向上に取り組むことも必要です。
5.送迎加算
就労継続支援B型では、利用者の通所支援として送迎を行う事業所も多いため、送迎加算は開業時に必ず確認したい加算の一つです。
現在は、
- 送迎加算(Ⅰ)
- 送迎加算(Ⅱ)
があり、所定の要件を満たして送迎を実施した場合に算定します。
ただし、「送迎車を用意しているだけ」で算定できるものではありません。
送迎人数や実施状況など、区分ごとの要件を確認する必要があります。
開業前に送迎ルールも決める
送迎を予定している場合は、加算だけでなく、
- 送迎範囲
- 送迎ルート
- 使用車両
- 運転担当者
- 乗降場所
- 事故発生時の対応
- 車両保険
- 緊急時の連絡方法
なども決めておきましょう。
指定申請時に送迎を予定しているのであれば、送迎加算についても同時に確認しておくとスムーズです。
6.初期加算は忘れずに算定する
新規開業時に特に忘れたくないのが初期加算です。
就労継続支援B型では、新たに利用を開始した利用者について、一定期間(開始から30日間)、初期加算を算定できる場合があります。
開業直後は、ほとんどの利用者が新規利用者となるため、対象者が多くなる可能性があります。
初期加算は、送迎加算などのような「事業所の体制を事前に届け出る加算」とは性質が異なります。
そのため、
- 利用開始日
- 算定対象期間
- 請求ソフトへの登録
を適切に管理し、請求漏れを防ぎましょう。
7.欠席時対応加算も開業時から準備する
B型を利用している方が、急病などにより利用予定日に欠席することがあります。
一定の要件を満たして相談援助を行い、その内容を記録した場合には、欠席時対応加算を算定できることがあります。
ただし、「電話で欠席連絡を受けただけ」では十分ではありません。
例えば、
- 欠席理由
- 本人の体調や状況
- 必要な相談援助
- 次回利用予定
- 今後必要となる支援
などを確認・記録します。
開業前に「欠席時対応記録」などの様式を用意しておけば、職員による記録のばらつきを防ぐことができます。
8.開業時には算定できない加算もある

B型の報酬にはさまざまな加算がありますが、すべてを開業初日から算定できるわけではありません。
前年度の利用実績などが必要な加算については、新規開業時には原則として算定できないものがあります。
目標工賃達成加算
「目標工賃達成指導員配置加算」と名前が似ていますが、別の加算です。
目標工賃達成加算は、工賃向上計画の目標や実際の工賃実績などをもとに判定されます。
そのため、目標工賃達成指導員配置加算は開業時から検討する
一方で、目標工賃達成加算は開業後の実績をもとに検討するという違いがあります。
就労移行支援体制加算
一般就労等への移行実績を評価する加算です。
開業後、一般就労への移行支援を行い、実績ができてから検討することになります。
9.加算届でよくある間違い

①指定を取れば加算も自動的に付くと思っている
加算によっては、別途体制届の提出が必要です。指定申請だけを提出して安心しないようにしましょう。
②開業後に加算を考える
加算によっては、人員配置や給与体系、送迎体制などに影響します。そのため、開業後ではなく、指定申請前から確認することが重要です。
③目標工賃達成加算と目標工賃達成指導員配置加算を混同する
名称は似ていますが、全く別の加算です。
開業時にまず検討するのは、目標工賃達成指導員配置加算です。
④送迎を開始してから届出を考える
送迎を行うことが決まっているのであれば、指定申請時から送迎加算の算定要件を確認しましょう。
⑤加算額だけを見て判断する
特に人員配置を伴う加算は、加算収入 < 追加人件費となる場合があります。加算単位だけではなく、年間の収支で判断することが重要です。
よくある質問

まとめ

就労継続支援B型を開業する際は、指定申請だけでなく、開業初日からどの加算を算定するのかまで考えて準備することが重要です。
特に確認したいのは、福祉・介護職員等処遇改善加算、目標工賃達成指導員配置加算、送迎加算です。また、初期加算、欠席時対応加算については、利用者ごとの状況や記録に基づいて適切に請求できる体制を整えておきましょう。
一方で、目標工賃達成加算、就労移行支援体制加算など、開業後の実績をもとに検討する加算もあります。
大切なのは、取れる加算をすべて取ることではありません。人員配置、工賃、生産活動、送迎、給与、人件費を含めて、「その加算を取得することが事業所運営にとって本当にプラスになるのか」を開業前に検討することが重要です。
就労継続支援B型の加算申請でお困りの方へ
「開業時にどの加算を届け出ればいいか分からない」「目標工賃達成指導員を配置した方がいい?」「送迎加算を算定できる体制か確認してほしい」「処遇改善加算まで含めて準備したい」「基本報酬と加算を含めた収支を確認したい」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
くまがい行政書士事務所では、元地方公務員として障害福祉サービスに関する業務に携わった経験と、精神保健福祉士としての視点を活かし、指定申請だけでなく、開業後の運営を見据えた加算の確認までサポートしています。
開業時に申請する加算と、開業後に取得を目指す加算を整理し、事業所の運営計画に合った形で準備を進めます。




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