障害福祉事業所の開業後3か月で見直したいこととは?行政書士が解説
大阪・泉州地域を中心に、障害福祉サービス事業所の立ち上げや運営をサポートする「くまがい行政書士事務所」です。
障害福祉事業所を開業して3か月ほど経つと、指定申請時には分からなかった課題が少しずつ見えてきます。
「思っていたより利用者が増えていない」「職員の勤務時間が当初の予定と変わった」「算定できると思っていた加算が取れていない」「個別支援計画や記録が追いついていない」といったことも珍しくありません。
開業直後は、利用者対応や国保連請求などで慌ただしくなりがちですが、3か月を一つの区切りとして、事業所の運営状況を見直しておくことが重要です。
この記事では、障害福祉事業所が開業後3か月を目安に確認しておきたいポイントを解説します。
この記事を読んでわかること
- 利用者数と売上の確認
- 人員配置の見直し
- 取得できる加算の再確認
- 個別支援計画や記録の確認
- 国保連請求のチェック
- 運営指導に向けて整えておきたいこと
1.利用者数と稼働率を確認する

まず確認したいのが、当初予定していた利用者数と実際の利用状況です。
例えば、定員20人の就労継続支援B型で、
「3か月後には15人程度の利用を想定していた」
にもかかわらず、実際の平均利用者数が8人程度であれば、今後の収支計画を見直す必要があります。
確認したいのは、
- 契約利用者数
- 1日平均利用者数
- 利用予定日数
- 欠席率
- 新規問い合わせ数
- 見学件数
- 契約につながった件数
などです。単に契約人数だけを見るのではなく、実際に何日利用しているかまで確認することが重要です。
放課後等デイサービスや児童発達支援であれば、曜日による利用人数の偏りも確認しましょう。
2.人員配置が現在の運営に合っているか確認する

開業時に作成した勤務形態一覧表どおりに運営できているかも確認します。開業後には、
- 職員が退職した
- 非常勤職員を増やした
- 管理者の兼務状況が変わった
- サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者の勤務体制が変わった
といったことが起こることがあります。
重要なのは、「職員数が足りているように見えるか」ではなく、人員基準上必要な配置を毎月満たしているか」という点です。
常勤換算が必要なサービスでは、実際の勤務時間から改めて計算してみましょう。
また、指定申請時から職員体制が変更されている場合は、変更届が必要になっていないかも確認します。
3.新しく取得できる加算がないか確認する

開業時には取得できなかった加算でも、3か月ほど運営することで算定を検討できる場合があります。
また、開業後に職員を増員したことで、新たに加算要件を満たしていることもあります。例えば、
- 児童指導員等加配加算
- 専門的支援体制加算
- 人員配置に関する加算
- 夜間支援に関する加算
- 送迎に関する加算
などは、人員や運営体制の変化によって再確認する価値があります。
反対に、開業時に届け出た加算の要件を現在も満たしているかという確認も必要です。
職員の退職や勤務時間減少によって加算要件を満たさなくなっている場合は、変更・取下げの手続きが必要になる可能性があります。
4.個別支援計画と日々の支援がつながっているか確認する

開業後3か月頃になると、利用者の状況や支援上の課題も少しずつ見えてきます。
そこで確認したいのが、個別支援計画と実際の支援内容です。
例えば、個別支援計画に、「集団活動への参加機会を増やす」と記載されているにもかかわらず、サービス提供記録では毎日同じ内容しか記載されていない場合、計画に基づいた支援が確認しにくくなります。
確認したいのは、
- アセスメント
- 個別支援計画
- 本人・家族への説明と同意
- 個別支援計画の交付
- サービス提供記録
- ケース記録
- モニタリング
です。
利用者が増えてからまとめて整理するのではなく、3か月程度の段階で記録方法を統一しておくことをおすすめします。
5.国保連請求に間違いがないか確認する

開業後3か月になると、国保連請求も数回経験している頃です。
このタイミングで一度、請求内容を確認しましょう。
特に注意したいのが、
- 受給者証の支給量
- 利用実績
- 基本報酬
- 加算
- 送迎
- 欠席時対応
- 利用者負担額
などです。
例えば、「加算届は出しているのに請求ソフトで設定していなかった」というケースもあります。
反対に、算定要件を満たしていない加算を請求してしまうと、後から返還が必要になる可能性があります。
行政へ届け出ている体制と、国保連へ請求している内容が一致しているかを確認しておきましょう。
6.収支計画を実績に合わせて見直す

開業前の収支計画は、あくまで予測です。
3か月程度運営すると、実際の数字が見えてきます。
確認したいのは、
- 障害福祉サービス報酬
- 利用者負担
- 人件費
- 家賃
- 水道光熱費
- 車両費
- ガソリン代
- 食材費
- 消耗品費
- 工賃や生産活動費用
などです。
特に障害福祉事業では、人件費が支出の大きな割合を占めます。
「加算を取るために職員を増やしたけれど、加算収入より人件費の方が高かった」ということも考えられます。
開業前の予測ではなく、実際の売上・経費をもとに半年後、1年後の収支を改めて計算しましょう。
7.契約書類・利用者ファイルを点検する

利用者数がまだ少ない3か月目までに、一度利用者ファイルを整理しておくことをおすすめします。
例えば、
- 利用契約書
- 重要事項説明書
- 個人情報使用同意書
- 受給者証
- サービス等利用計画
- アセスメント
- 個別支援計画
- モニタリング
- サービス提供記録
- 緊急連絡先
などがそろっているか確認します。利用者が20人、30人と増えてから不足書類を確認するよりも、早い段階でファイルの作り方を統一する方が管理しやすくなります。
8.研修・委員会・BCPなどの年間予定を確認する

障害福祉事業所では、日々のサービス提供以外にも、各種研修や委員会などの実施が必要です。
例えば、
- 虐待防止
- 身体拘束等の適正化
- 感染症対策
- BCP研修・訓練
- 非常災害訓練
などです。
開業直後は利用者対応を優先し、「研修は年度末にまとめてやればいい」となりがちです。
しかし、実施時期が重なると職員の負担が大きくなります。3か月程度経過した段階で年間スケジュールを作り、誰が、いつ、何を実施するのかを決めておきましょう。
よくある質問

まとめ

障害福祉事業所の開業後3か月は、開業時に作った計画と実際の運営を比較する大切なタイミングです。
特に確認したいのは、
- 利用者数・稼働率
- 職員の人員配置
- 取得している加算・新たに取得できる加算
- 個別支援計画・サービス提供記録
- 国保連請求
- 実際の収支
- 利用者ファイル
- 研修・委員会・BCP等の年間予定
です。開業時には問題がなくても、実際に運営を始めると、人員配置や利用者数、支援内容などは少しずつ変化します。
「指定を取ったときの状態を維持する」のではなく、現在の事業所の状況に合わせて運営体制を見直すことが重要です。
開業後の運営を一度見直してみませんか?
「開業して3か月経ったけれど、この運営方法で大丈夫?」「現在の職員配置で人員基準を満たしているか確認してほしい」「新しく取得できる加算がないか知りたい」「利用者ファイルや個別支援計画を確認してほしい」「運営指導に備えて今のうちに書類を整理したい」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
くまがい行政書士事務所では、元地方公務員として障害福祉サービスに関する業務に携わった経験と、精神保健福祉士としての視点を活かし、指定申請だけでなく、開業後の人員配置、加算、契約書類、運営書類の見直しまでサポートしています。



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