行政書士試験合格に必要な知識の中から皆さんの日常生活にかかわり合いのある民法についてご紹介していけたらと思います。行政書士は争いのある法律行為は行えませんが、様々な法律を駆使した権利義務に関する書類の作成や事実証明に関する書類の作成を行います。その中で民法とは一般私法であり、人間の社会生活における個人の財産関係や家族関係を規律するルールの役割があります。
今回は民法の親族法の部分について記事を書きたいと思います。皆さんは誰と一緒に生活していますか??家族ってどこまでの人が対象なのでしょうか?民法では親族の定義や婚姻、離婚などを規定しています。なお、親族の管理については戸籍法という別の法律が存在ましす。戸籍の読み方は後日、相続関係のブログを書く際に触れていきたいと思います。
この記事は、法律に興味がある方、行政書士試験の合格を目指す方などに参考になる内容になっています。
親族とは
一定の血縁関係や婚姻・養親子関係にある者相互の身分関係を親族といいます。親族関係の発生原因である血族関係には、出生によって発生し、死亡によって終了する自然血族と養子縁組の成立とともに発生し、離縁によって終了する法定血族があります。
親族の範囲
親族の範囲は6親等以内の血族、配偶者、3親等内の婚族と定められいます。(民法725条)婚族とは、婚姻によって配偶者の一方と他方の血族との間に生じる親族関係をいいます。つまり、配偶者の父母、兄弟姉妹は婚族となります。しかし、配偶者の両親と自分の両親とは婚族にならないので注意してください。
直系と傍系
親族関係には直系と傍系の区別があります。
直系とは、親と子、祖父母と孫の関係のように血のつながりが上下の関係になっているものを言います。直系尊属:両親や祖父母。直系卑属:子や孫
傍系とは、兄弟姉妹のようにそれぞれが横の関係になっているものを言います。
婚姻
婚姻とは結婚すること、及び結婚している状態をいいます。
婚姻の成立
婚姻が成立するためには男女が合意して夫婦になることが必要です。婚姻の実質的要件としては婚姻意思の合致、形式的要件としては戸籍法の定めに基づき婚姻届けの提出をすることです。
婚姻意思の合致
婚姻意思が有効に成立するためには、実質的な要件として婚姻意思、すなわち当事者間に社会観念上夫婦であると認められる関係を築く意思がなければなりません。つまり、婚姻意思とは、単に届出をする意思でなく、実質的に夫婦関係を形成する意思であることを要します。したがって、子に摘出子としての地位を得させるための便法としてなされた婚姻は、届出をすること自体について意思の合致があったとしても、婚姻意思を欠き無効とされます。
婚姻の届書作成時に意識があった場合には、その後に翻意したという事情がない限り、その届出が役所に受理された時点で意識不明の状態であったときでも、その婚姻は有効に成立します。成年被後見人は成年後見人の同意なく婚姻することができます。
婚姻の届出
形式的な要件として婚姻の届出をすることが必要です。男女間の婚姻する意思があり、夫婦と同様の共同生活を営んでいたとしても、結婚式を挙げたとしても届出をしない限りは婚姻は成立しません。
婚姻の届出は当事者および成年の証人2人以上から、口頭または書面でしなければなりません。
婚姻障害の不存在
婚姻適齢
男女ともに成年年齢である18歳にならなければ婚姻することは出来ません。
重婚の禁止
重婚とは婚姻届出のある者が重ねて婚姻届を出す場合です。後婚は取消原因となり、前婚は離婚原因となり得ます。
近親婚の禁止
①直系血族又は3親等内の傍系血族の間(この血族には法定血族も含まれる。ただし、養子と養方の傍系血族との間は婚姻可能)
②直系婚族の間
③養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と、養親又はその直系尊属との間
再婚禁止期間
女性は前婚の解消又は取消の日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚することが出来ない。これは父性確定の困難を避けるためです。
婚姻の無効・取消し
婚姻の無効
婚姻意思の存在という実質的要件または婚姻の届出という形式的要件を満たさない婚姻は無効になります。
内縁について
実質的には夫婦関係にありながら,婚姻の届出をしていないために法律上の夫婦とは認められない男女関係。準婚として法律上の婚姻に準じて扱われます。民法には内縁の定めはありませんが、婚姻する旨の当事者間の合意があるため、不当に破棄した場合には債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を負うことになります。
婚姻の取消し
公益的見地から取消が認められるものは上記の婚姻障害の不存在が挙げられます。私益的見地から取消しが認められるものとして、詐欺・強迫による婚姻の取消があります。
取消しの方法
婚姻を取り消すためには、家庭裁判所に請求しなければなりません。
取消の効果
婚姻取消しの効果は、遡及しません。婚姻の取消しについて、離婚に関する規定(子の監護者の決定、離婚復氏、財産分与等)が準用されます。
婚姻の効力
婚姻をすることで当事者間に夫婦関係が形成され、身分上、財産上の効力を生じます。
①夫婦は、婚姻の際に定めるところにより夫または妻の氏を称します。夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻がそれぞれ戸籍の筆頭者になります。
②夫婦は同居し、互いに協力し扶助する義務を負います。強制することは出来ません。
③夫婦間で婚姻中にした契約はいつでもその一方から取り消すことが出来ます。ただし、実質的に破綻している時は取り消すことが出来ません。
④夫婦の財産関係は、一方が婚姻前から有していた財産及び婚姻中に自分の名で取得した財産はその特有財産となり、夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産は夫婦の共有財産と推定されます。
まとめ
今回は親族ってどこまでが親族なのか、婚姻の成立と婚姻するとどうなるのかを民法の観点から説明しました。普段一緒に過ごしている家族。法律で規定されているなんて不思議ですよね。次回は婚姻の解消(離婚)について焦点を充ててみようと思います。
コメント